ROCKでもない奴。

  40歳音楽バカ。 通称たか兄。 ここは、洋邦、ジャンルを問わず音楽を語る場所。  

土に撒かれた起死回生の花。

       FLOWERS IN THE DIRT     PAUL McCARTNEY

                     amazonへ

                    My Brave Face
                    Rough Ride
                    You Want Her Too
                    Distractions
                    We Got Married
                    Put It There
                    Figure Of Eight
                    This One
                    Don't Be Careless Love
                    That Day Is Done
                    How Many People
                    Motor Of Love 

 今宵は、久し振りにポールのネタでお付き合いを。

 なんか、ポールがあのスタバが新しく設立するレーベルと契約して、
 過去の作品も含めて、今年発売予定の新作も発売されるというニュース。
 なんかヤダ。 
 コーヒーのメニューと一緒に、ポールのアルバムが店頭に並べられるのかなぁ。
 ますますヤダ。
 前作「CHAOS 〜 BACKYARD」と、昨年のビートルズの「LOVE」に対する、
 EMIのプローモーションを含めた仕事のやり方に不満を持ったみたいだけど。
 なんか寂しいなぁ。 
 ポールには、あの“Parlophone”レーベルの称号が一番相応しいと思うんだけど、
 これはどうなるの。 まぁ、EMIを離れるのなら、なくなるんだろうなぁ。
 でも、ポールが決めたことなんだし、 仕方ないんだけど・・。

 さてあなたなら、 ポールのアルバムを3枚選んでと聞かれたらどれにします?

 私としては、デビュー作と「RAM」は、もう永遠不滅の作品なんで、
 あと一枚を何にするかなんだけど・・・。 (たぶんこの意見の人多いかも)
 ウィングス時代の最高傑作「BAND ON THE RUN」も素晴らしい出来だったし、
 ジョンの死後、自らの音楽に真摯に向き合い、S.ワンダーとの出会いも功を奏し、
 ジョージ・マーティンと再び取り組んだ会心作「TUG OF WAR」も捨てがたいし、
 近作としては、アンソロジー・プロジェクトで信頼を勝ち得たジェフ・リンの力も得て、
 完成した“枯れた名作”「FLAMING PIE」も悪くない。
 でも、“生まれるべくして生まれた”、’89年のこの奇跡の大傑作を迷わず選ぶ。

 前にも書いたけど、ポールという20世紀が生んだ奇蹟のメロディーメイカーは、
 過去に珠玉の名曲を数多く生み出してきたんだけど、その人間性もあってか、
 波もあって、時には目も当てられない駄作も作ってしまう。
 (それも、なんか人間臭くて、憎めないんだよなぁ・・。)
 だから、“良い曲”がどれだけそのアルバムに詰められたかで、
 ポール本人も含め、評価されてきたと思う。

 「RAM」は、ほぼ捨て曲なし。 ビートルズ以降の彼の音楽スタイルの、
 プロトタイプともいえる基本の曲群で固められている。
 逆に「McCARYNEY」は、どうでもいい曲が散りばめられている中でも、
 その穴を埋めて余る珠玉の名曲3曲がその存在感を決定づけている。
 そして、この奇跡の大傑作「FLOWERS IN THE DIRT」は、
 エルヴィス・コステロとの“化学反応”の凄まじさが顕著だけども、
 ポール単独の作品も、甘さ控えめで、レヴェルの高い曲がズラリと並び、
 複数のプロデューサーを使い分けるも、バラつきがなく統一感があるのは、
 とにもかくにも、すべて“良い曲”で埋め尽くされているからだ。

 ポールにとって、80年代は不遇の時代だと世には言われているけれど、
 私は、“ビートルズへの回帰”のための試行錯誤の時代だと思ってる。
 やっぱ、この人には真のパートナーがいないとダメ。
 キチンとモノが言える人がいないと。 ジョンみたいな。
 そんな意味でも、エルヴィス・コステロとの出会いは本当に大きかった。
 (おまけに、2人ともリヴァプール出身だし)
 互いに顔を突き合わせて、意見しアイデアを出し合い、そして笑い、
 又は衝突したり、そして盗んだりと。
 このセッションで生まれた11曲は(その内4曲がこのアルバムに)、
 その後の2人のアルバムにそれぞれ収められることになるけど、
 “仮想ジョン・レノン”という言葉は、コステロには失礼なくらいに、
 ポールに刺激を与えてくれたことが、この大成功に繋がった。

 復調の兆しを感じたのは、87年のシングル“Once Upon A Long Ago”の、
 B面になった“Back Of My Feet”を聴いた時だった。 
 コステロとの共作が初めて世にお披露目した曲でもある。
 おまけに、なんとプロデュースはあのビリーを手掛けたフィル・ラモーン。
 “Once Upon A Long Ago”なんかベストに入れないで、
 こっちをベストに入れるかA面にしたら良かったのにと思うくらいに、
 躍動感いっぱいの元気が出てくるような良い曲だった。
 (現在は、このアルバムのボーナストラックで聴けますぞ)

 第1弾シングルの「マァ〜ブレ〜・マァ〜ブレ〜♪」のかけ声一発、
 コステロに進言されて再び握ったヘフナーのベースがグイグイ引っ張る、
 “My Brave Face”を聴くたび、曲展開もアレンジもだけど、
 ミドルエイトでのマイナー進行の部分なんか、「これビートルズじゃん」と、
 思わずニンマリしてしまうし、(おまけにギターもリッケンバッカーだ)
 “You Want Her Too”なんて、コステロとの立位型ヴォーカルなんて、
 まるで現代版“She's Leaving Home”みたいだし、
 (最後にビッグバンド風で終わるとこなんて、もろコステロのアイデアだろうなぁ)
 “Don't Be Careless Love”みたいな屈折ポップやニッキー・ホプキンスが、
 ピアノで参加した“That Day Is Done”のクラウディな雰囲気など、
 化学反応の凄まじさを感じさせられる。
  
 ポール主導で共同プロデュースしたトレヴァー・ホーンやミッチェル・フルーム、
 デヴィッド・フォスターらを曲ごとにうまく使い分けたことも成功。
 特に、うまくまとめたエンジニアのニール・ドフツマンの技量は大きい。
 (フォスターとやった“We Got Maried”は素晴らしい出来。
  スパニッシュ風からシンセ展開、そして、デイヴ・ギルモアのギターが、
  曲全体の空間を覆う構成なんか見事。)

 そして何といっても、ポールにとって一番大きかったことは、
 ロビン・マッキントッシュ(g)やヘイミッシュ・ステュアート(g、b、vo)らといった、
 信頼できるバック・メンバーと出会えたことだと思う。
 このワールド・ツアーの大成功(やっと、初来日公演も)は当然だった。
 (第3弾シングルの“Figure Of Eight”は、トレヴァー・ホーンとやった、
  やや無機質なアレンジよりも、このバックらと録り直して、
  ボブ・クリアマウンテンがリミックスを手掛けた、
  シングル・ヴァージョンの方が、数倍カッコイイ。)
 
 なんか全曲解説みたいになってきてしまったんだけど、
 こういった様々な要素がプラスとなって、ポールは、
 「いいアルバムを作り、いいバンドを組んだ。」
 この意義は大きい。
 私は、このアルバムがなければ、現在も意欲的に新作を発表し、
 ツアーに出て、70年代には、あれほどためらっていたビートルズの曲を、
 惜しげもなく披露する姿などなかったのではと思っている。

 あれほどの才能を持ちながら、これほどアップダウンのある人もいない。
 しかし、栄光と挫折を繰り返しながらも、己の才能だけで切り抜けてきた、
 とてつもないモンスターでもある。

 ビートルズへの回帰の下、生まれるべくして生まれた大傑作。
 モンスター伝説は、今も現在進行形だ。  

もう魅せられ、惑わされで・・。

      BELLA DONNA / THE WILD HEART     STEVIE NICKS

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      Bella Donna                   Wild Heart
      Kind Of Woman                If Anyone Falls
      Stop Draggin' My Heart Around     Gate And Garden       
      After The Glitter Fades          Nightbird
      Edge Of Seventeen             Stand Back
      How Still My Love              I Will Run To You
      Leather And Lace              Nothing Ever Changes
      Outside The Rain               Sable On Blond
      The Highway Man              Beauty And The Beast

 「世の中には、こんなに綺麗な女性がいるんだ・・」
 我ら80's世代のバイブル的TV番組「ベストヒットUSA」のCOUNTDOWN USAの
 コーナーで、“If Anyone Falls”のクリップを見て目が釘付けになってしまった。
 セピアとモノクロとカラーが絶妙なコントラストで、彼女の美しさを際立たせる。
 曲もいい。 それに一度聞いたら忘れられないあの声。
 美貌と媚声(?)。 このアンバランスさ、アンニュイさ、気だるさといい、
 間違いなく、彼女のNo.1プロモ・クリップだ。
 (また、あのUSフェスティバルでの“Stand Back”のライブも鮮明に焼き付いてる。)
 当時高1だった私にゃ、もうやられるどころか、もう魔法にかけられたも同然。

 すぐに、LPを買いに行った。 魔法にかかったままだ。
 「THE WILD HEART」。 ジャケットもいい。
 「こんなに美しい魔女がいるんかいな・・」とか思いつつ・・。
 そして、これがセカンド・アルバムだってことを初めて知った。
 そして、彼女がフリートウッド・マックというバンドにいることも。
 ファーストが聴きたくなった。 また、買いに走った・・。

 ベラドンナって、幻覚や錯乱作用を引き起こす毒草のことなんだって。
 スティーヴィー・ニックス。 まさにぴったり。
 フリートウッド・マックの歌姫かつ妖精。 そして、“麗しのベラドンナ”。
 もうここでは、歳の話は抜きにして、あのシェリル・クロウや、
 先のグラミー賞を独占したディクシー・チックスにも多大な影響を与え、
 今もなお、世界のロック・ファンを魅了し続ける永遠の女性ロッカーだ。 

 可憐な容姿と美貌。 そしてロックシンガーとしてはあまりも魅力的な歌声。
 ハスキーでドスが効いてるんだけど、時には恐ろしく繊細で情感あふれるセンスが、
 絶妙に同居している。 こんな声は世界で彼女だけだろう。
 
 マックのアルバムのレビューの前に、彼女のアルバムを先にレビューするのは、
 順番が逆になってしまうんだけど、え〜い、今回は2枚まとめてまいります。

 まず、ソロデビュー作の「BELLA DONNA」から、
 これは文句なく彼女の最高傑作であり最重要作。
 フリートウッド・マックはリード・ヴォーカル兼ソング・ライターが3人いるんで、
 アルバムあたり、彼女の作品はせいぜい3、4曲しかなかった。
 だから、「もっとスティーヴィーの曲が聴きたい!」というファンは、
 狂喜したことでしょう。
 
 このソロ・アルバムは、彼女が大ファンであるトム・ペティを通じて、
 プロデューサーである、ジミー・アイオヴィンに働きかけて実現した。
 トム・ペティとハートブレイカーズに、(私しゃ、大ヒットした“嘆きの天使”より、
 彼女のライブでのオープニング・トラックとなった“Outside The Rain”の方が好きだ)
 元イーグルスの面々やLAを中心とした超一流メンバー達が脇を固め、
 スティーヴィーを全面的にバックアップして、この傑作が完成した。

 本家マックでは、ミック・フリートウッド(ds)とジョン・マクヴィー(b)という、
 ブルース畑出身の骨太リズム隊が土台を支えていたけど、
 ソロでは、ラス・カンケル(ds)とボブ・グロウブ(b)というLAの腕利きプレイヤーで支え、
 軽めのソリッド・ロックや彼女のルーツである、カントリー色の強い曲に、
 実にフィットしている。(後のソロ作も、このコンビでの曲が多いかな)

 でも特筆すべきは、全面的にサポートしているワディ・ワクエルのギターは圧巻。
 前にストーンズに誘われていたことがあるだけに、(キースのソロでも活躍してたね)
 曲によって、音色を自在に変化させ、彼女のカラーに更に色彩を加える。
 ドン・ヘンリーとのデュエットで大ヒットした“Lether And Lace”での、
 繊細なカントリー・タッチなプレイから、トーンの引き具合もバツグンに巧いし、
 彼女のロック・スピリッツを、ワイルドかつドライブ感いっぱいに煽る、
 見事なカッティングが印象的な“Edge Of Seventeen”は、彼のベスト・プレイだろう。

 このソロ・デビュー作が大ヒットして、その勢いのまま、セカンド・アルバムにも着手。
 と同時に、マックとしてのアルバム録音も進めていたとのことで、
 (マックは’82年「MIRAGE」を発表、これも大ヒットした)
 この頃には、ほとんど完成してたんだって。 
 彼女との出会いとなったセカンド・アルバム「THE WILD HEART」は、
 “妖精”から、“脱・妖精”へ。 
 それは、“ロック・シンガーの小悪魔”への変貌だ。

 彼女のベスト・シングルといっていい“Stand Back”は、分厚いシンセ・ダブから、
 (クレジットはないけど、プリンスとの共作らしいから、ヒントになったのかな)
 力強いビートに乗せて、ロック小悪魔と化したスティーヴィーのドスの効いた、
 ヴォーカルで、聴く者を圧倒させてしまう。 (私などダウンしたまんま・・)
 前作で強かったカントリー・フレイバーっぽさがなくて、 全体的に、
 シンセを多用した、ロック色の強いアルバムに仕上がっている。
 だから、“Stand Back”のシングルのB面に入っていた“Garbo”という曲は、
 カントリーっぽい粋な小曲で好きだったんだけど、アルバムには入れなかったんだろう。

 曲の良さや完成度からして、「BELLA DONNA」の方が上だと思うけど、
 彼女との出会いでもあったし、愛着の深さでは、「THE WILD HEART」。
 今聴くと2枚とも、古き良き“80年代”の音。 今こんな音聴けねえもんなぁ・・。
 ただ、現在この2枚とも日本では廃盤とのこと。 
 (いけません! レーベルの絡みもあるでしょうが、紙ジャケ化して復活望みます!)

 ただし、海外でオールタイム・ベスト盤が今月末にリリースされる。
 しかも、DVD付き仕様もあり、それには、過去のすべてのプロモ・クリップに、
 「BELLA DONNA」の録音模様を録ったフィルムもあるとか。
 これは、絶対に買いだ!

 出会って、約24年。  未だ、魔法解けず・・。

おバカな奴らも、気づけば最強。

       STADIUM ARCADIUMamazonへ        RED HOT CHILI PEPPERS 
                 
                 amazonへ

          [ JUPITER ]               [ MARS ]
         Dani California               Desecration Smile
         Snow (Hey Oh)               Tell Me Baby
         Charlie                    Hard To Concentrate
         Stadium Arcadium             21st Century
         Hump De Bump              She Looks To Me
         She’s Only 18               Readymade        
         Slow Cheetah                If
         Torture Me                 Make You Feel Better
         Strip My Mind               Animal Bar
         Especially In Michigan           So Much I      
         Warlocks                    Storm In A Teacup
         C’mon Girl                 We Believe
         Wet Sand                   Turn In Again
         Hey                      Death Of A Martian

 歳をとるってのは、嫌なことばっかりじゃない。
 40に近くなってきたら、何かとマイナス要素が増えてくるように思ってたんだけど。
 (この歳に応じる自覚って言っても、100%ないんだけど・・)
 でも、過去にいくらバカやったとしても、若気の至りって言葉が通用するように、
 歳を刻むことで、心も自然に丸くなっていくもんです。
 これって嫌なことじゃない。 人として大事なこと。

 ファンクかぶれでケッタイな奴らでも、40越したら、
 こうも風格と余裕みたいなものがでてくるんだね。

 まず、2枚組を出そうとする発想自体、時代に逆行してる。
 (アンソニーも「インターネット主流の時代で、最後のチャンス」って言ってた)
 ロックという音楽は、“2枚組”という優れた名盤を数々生み出してきた。
 しかし、音楽という媒体をソフトから、メディアやダウンロードで手に入れる形が、
 ここまで普及してしまうと、残念だけど、アーチスト側から見ると、
 アンソニーの言葉通りになってしまうのだろう。
 (ダウンロードなんて、曲数や曲順、アルバムのコンセプトやストーリー性とか、
  まるっきり無視して、好きな曲を好きなだけ取れる(買える)もんね)

 あふれてくるメロディやリフで、どんどん曲が出来て、とても1枚では収まりきれず、
 アーチストが、その才能やアイデアやコンセプトを最高の形で表現する、
 それが、2枚組の醍醐味だ。
 そして、レッチリの2枚組だ。(これには賛否両論なんだけど)
 まず、初めてこのニュースを聞いた時は、
 「ますますジョンのカラーが強くなっていくのかなぁ・・」と思ったんだけど、
 やっぱり思ったとおり、ジョンのどんどん湧き出てくるアイデアと曲に、
 他のメンバーもその勢いに押されて、この大作が出来上がったようだ。
 案の定、「CALIFORNICATION」、「BY THE WAY」に続く、ジョンのカラーの強い、
 3部作となった。 (これが賛否の分かれるとこなんだけど)

 この作品のレコーディングは、ハリウッドにある1920年代の古い屋敷を使ったそう。
 それは、「BLOOD SUGAR SEX MAGIK」('91)を録音した場所とのこと。
 同時に、プロデューサーのリック・ルービンと一緒に始めた場所でもある。
 やっぱ、場所は大事。 あの大傑作が完成した場所だ。
 再び、傑作が生まれる可能性大。 しかも2枚組のヴォリュームだ。

 でも正直、「BLOOD SUGAR SEX MAGIK」は超えられなかった。 
 しかし、今のレッチリにしか成し得ない形での“傑作”が生み出せたと思う。
 (JUPITER)と(MARS)と名付けて分けられた2枚。 
 JUPITER(木星)の方は、壮大なスケールをイメージさせる、ドラマティックな展開で、
 MARS(火星)の方は、武装や争いをイメージさせるから、混沌とした配列なのかな。
 
 ただ第一印象は、「地味」。 
 “Give It Away”や“Suck My Kiss”みたいな、一撃必殺チューンはない。
 けど、さすがはレッチリ。 壮大かつ様々なスタイルで一気に聴かせてしまう。

 基本は、“Hump de Pump”、“Tell Me Baby”、“Storm In A Teacup”みたいな、
 お得意の軽快なファンク・チューンなんだけど、
 変速ファンクの“Charlie”、壮大な展開で圧倒されるタイトル曲に、
 ジョンの官能的なギターが響き渡る“Wet Sand”や、
 レッチリ流必殺バラード“Desecration Smile ”に、
 強烈なヘヴィー・ファンク“Readymade”から、
 “Strip My Mind”や“If”、“Make You Feel Better”などの、
 メロウでセンチなジョンの醸し出す、黄昏チューンも盛り込んだ、
 四十路過ぎた“今”のレッチリの集大成だ。

 ファースト・シングルの“Dani California”なんて、もろ王道のロック・チューン。
 過去のロック・スターを茶化したようなヴィデオなんか、奴らっぽいけど、
 堂々としたもんで、骨太で貫禄あるもんなぁ。 やっぱカッコいい。

 「ハジけてないレッチリなんて」とか、「落ち着いたらつまんない」という声もある。
 でも、いつまでも子供でなんていられないんですよ。
 そんな人は、ずっと「MOTHER'S MILK」や「BLOOD SUGAR・・」を聴いてればいい。
 いい意味でも悪い意味でも、ジョン・フルシアンテ(g)の存在が、
 レッチリの方向性と推進力を担ってきたと言ってもいいと思う。

 ある意味、ジョンは「BLOOD SUGAR SEX MAGIK」で燃え尽きてしまったのかも。
 あんな凄いアルバムを作ってしまったばかりに、その余韻と脱力感にひたり、
 あげくに、憧れのバンドで活躍できたことと引き換えに、ビッグになっていくことと、
 周りからの重圧に耐えられなくなり、突然バンドを辞め、ジャンキーになり、
 引きこもってしまうのも無理なかったんだろう。

 ただレッチリは、ジョンを必要としていた。
 彼が復帰後の作品を聴けば分かるように、哀愁と苦悩を描き出す作風は、
 新たな方向性と変化を呼び込んで、更にメジャーに引き上げることになるわけだし。

 しかし、ジョンとフリー(b)の仲が悪くなってしまってたらしい。
 あんなに仲が良かったのに、と思ったけど、音楽的主導権は民主的なバンドだから、
 トラブルにはならなくても、間違いなくジョンのセンスと多彩なアイデアは、
 レッチリを引っかき回している。
 (フリーは、もっとファンキーにハジけたかったかもしれないなぁ。)
 
 もうレッチリは、ロック・シーンの新たな境地を切り開いていく役目は済んだと思う。
 だからこそ、もっと自由に幅広く、いろんな楽曲に挑んでいって欲しい。
 
 ケッタイな奴らも、今じゃ枯れたオヤジ。
 おバカな奴らも、気づけば最強と言われる。
 なんて、幸せな奴らなんでしょ。  

アメリカの良心、グラミーを制す。

 先日、11日(日本では12日)に第49回グラミー賞授賞式がLAで行われました。
 昨年もレビューしたんだけど、今年もレビューしていこうかと。
 さすがは、グラミーの舞台。 今年も楽しませていたただきました。

 昨年は、まさにU2のためにあったようなグラミーだったんだけど、
 今年は、本命不在の混沌とした予想しにくいグラミーだった。
 でも、ふたを開けたら、今年も“・・”のためのグラミーになってしまいました。
 これは、意外な展開だったなぁ。

 まずは、オープニングからやられました。
 ここ最近のグラミーのオープニング・アクトには、景気づけには打ってつけの、
 “ガツン”とした一発でオープニングするんだけど、
 (一昨年のプリンス&ビヨンセ、昨年のマドンナとGORILLAZとのコラボ)
 今年は、なんと2007再結成ポリスの初パフォーマンスだ。
 (正直、賞ウンヌンより、これが一番楽しみだったんだけど・・)
 何の前触れもなく、いきなり、あの印象的なカッティングが。
 “ロクサーヌ”だ。 デビューから30年経って、ここでデビュー曲を持ってきた。
 やっぱ、スゲエや。 瞬きするのも嫌なくらい見入ってしまった。
 やる気マンマン。 ロックの殿堂の時とは、全然気合の入り方が違う。
 スティングは、黒のタンクトップが渋かったんだけど、ベースをブンブン響かせて、 
 貫禄と風格が漂ってたなぁ。 やっぱ、彼はロックが一番似合うよ。
 アンディもステュワートも、全然衰えもなく、アンサンブルは完璧。
 「えっ! もう終り・・。」の、あっという間の3分半だった。
 もっと見たかったけど、この再結成、本気度100%。 今後、更に楽しみだ。

 さて、賞の行方なんだけど、主要部門で今年はロック勢がやや大人しい感じで、
 (今年はHIP HOP勢が少ないし弱い。 もう主流の波が変わってきたのかな。)
 個人的には、イマイチなとこだったんだけど、 報じられてるように、
 ディクシー・チックスが主要独占の5部門(ノミネートすべて)受賞の、
 彼女達のグラミーとなった。

 まずは、個人的にいつも注目してるロック部門からは、
 アルバムはやっぱレッチリの「STADIUM ARCADIUM」が持っていったね。
 年間最優秀アルバムは逃しちゃったけど、これは文句なし。
 時代に逆行する2枚組での受賞。(過去にあったっけ?)  アッパレアッパレ。
 (グループ、楽曲(“Dani California”)でも受賞。) 
 圧倒的なヴォリュームなのに一気に聴かせられちゃったもんなぁ。
 近々、レビューしなくちゃ。
 (男性ヴォーカルで、ディランが地味に受賞してました。 いやいや頑張るなぁ。)

 メアリー・J・ブライジが最多の8部門ノミネートだったんだけど、
 結局はR&B部門のみでの受賞に留まったし、ジェイムス・ブラントなんて、
 一つもとれなかった。 (コレ、かかりすぎじゃないの。 耳タコだもん。)
 賞を独占したのは、ディクシー・チックス。 バッシングには屈せずに勝利したね。
 3年前のブッシュ批判(イラク派兵に対して、“同郷のテキサスの恥”とライブで批判)で、
 当時のアメリカは、憎っくきフセイン退治にイケイケだったから、ブッシュには追い風。
 その煽りで、全米で不買運動やラジオでのオンエア拒否や中傷など、
 大バッシングの嵐にあってしまった彼女達。
 でも今では、状況も変わって、彼女達の屈しない姿勢に賛同する声が強くなって、
 グラミー協会員の心も動かしてしまった形になってしまったのかな。

 私は、この曲は知らなくて、今回初めて聴いたんだけど、カントリー・グループなのに、
 ロックっぽい感じだなぁ、と思ったんだけど、 プロデュースはリック・ルービンだった。
 えっ! レッチリと同じじゃん。 やっぱ、そうだったんだ。
 最優秀プロデューサー賞獲ったのも納得。
  
 今回のトリビュートはカントリー・アーチスト達によるイーグルスの共演と、
 昨年末、他界したR&Bのゴッド・ファーザー、JBだ。
 どれも素晴らしかったけど、クリスティーナ・アギレラの“マンズ・マンズ・ワールド”は、
 迫力満点。 あの声量は凄かった。 あの姉さん、なかなかのもんですな。
 真っ暗のステージのマイク・スタンドにスポット・ライトを当てて、
 金ラメのド派手なガウンをそっと掛ける演出なんか、見事でした。

 まぁ、今年は割りにシンプルな感じの授賞式だったんだけど、
 楽しませてもらいました。
 政治の影響が、もろに音楽界にも飛び火した感じのグラミーだったけど、
 これも、アメリカだからこそ。
 最近のアメリカには、あまりいい印象持ってなかったんだけど、
 良心は失われてなかった。 
 言論の自由は、絶対守られるものなのだ。  

 第49回グラミー賞 全受賞リスト 

黒字のデジタルは混迷の意味?

    GHOST IN THE MACHINE       THE POLICE   

                 amazonへ

       Spirit In The Material World  (マテリアル・ワールド)
       Every Little Thing She Does Is Magic  (マジック)
       Invisible Sun  (インヴィジブル・サン)
       Hungry For You  (ハングリー・フォー・ユー)
       Demolition Man  (破壊者)
       Too Much Information  (トゥ・マッチ・インフォメーション)
       Rehumaize Yourself  (リヒューマナイズ・ユアセルフ)
       One World (Not Three)  (ワン・ワールド)
       Omegaman  (オメガマン)
       Secret Journey  (シークレット・ジャーニー)
       Darkness  (暗黒の世界)

 突然ですけど、ポリスの再結成決まったそうです。
 2月11日のグラミー賞でパフォーマンスを披露するとのこと。
 ただし、今回は2003年にロックの殿堂入りした時に披露した“一時的”なものでなく、
 今後ツアーに向けて、バンクーバーで現在リハーサル中とのことだ。
 ただスティングのソロ・ツアーが2月中旬から1ヶ月あるみたいなんで、
 本格的なツアーは、その後からスタートする予定とのことだ。

 これは嬉しいニュースだ。 こんな私でも、“小躍り”してしまったもんなぁ。
 実は昔の私なら、伝説の名バンドの再結成には、“今さらやって意味があるの?”だの、
 “過去の栄光にすがってる”とか“イメージが崩れる”と、
 否定的だったんだけど、歳をとったんだろうか、
 こういうノスタルジックに浸るのもいいなぁって思う。
 (例えはヘンだけど、子供の頃には全然理解ができなかった、
  親がテレビの懐メロの歌番に、エラく感激する気持ちがわかってきたって言うか・・)

 今回の再結成は、ポリス結成30周年も兼ねて、ステュワート・コープランド(ds)が、
 録り続けていた秘蔵フィルムを映画化した「THE POLICE INSIDE OUT」を発端に、
 彼を中心に、アンディ・サマーズ(g)とスティング(b、vo)に持ちかけて実現したもの。
 元々、THE POLICEはステュワートのバンドだったから、彼が言い出したら、
 他の2人は参加するだろうなぁ、とは思ってたけど、
 やっぱスティングの返事待ちだったみたい。

 デビューから解散まで活動したのは’77年から’83年だから、
 たった6年しか活動しなかった短命なバンドだったんだけど、
 シーンに与えたインパクトと影響力は、それは計り知れないものがあった。
 ごちゃごちゃ書くより、すべてにおいて、”とにかくカッコよすぎる奴ら”だった。

 演奏力はバツグン。 楽器やってる奴ならわかると思うけど、
 みんな言ってた、「ポリスは、コピーできん」って。
 コープランドのやたら手数の多いドラミングから、生み出されるリズムは強烈だし、
 スティングの的確で独創的なベース・ラインは、あのポールをも彷彿させるし、
 アンディの複雑かつ効果的なコードを駆使した技術とダブやエコーの使い方なんて、
 U2のエッジなんかにも影響を与えたほど。

 この3人は、トリオの特徴と強みを存分に発揮したバンドだった。
 (トリオになると、楽器間にどうしても隙間が出来てしまい、
  バンド・グルーヴが作りにくくなる反面、演奏力を武器にすることで、
  隙間を巧く利用して、荒削りでもシャープで切れ味鋭い独自のスタイルを確立した)
  
 出したアルバムは5枚。 どれも、いかしたロック・アルバムばかり。
 正直、ポリスの好きな奴は、大体、初期の荒削りで尖がった音が好きみたいだけど、
 (当然、私もその一人っす)
 今回は、あえて大人の音作りに挑んだというか、進化させていったというか、
 (スティングのミュージシャンとしての成長が一番が大きいんだけど)
 ’81年に彼らは、あまりに異なったスタイルを提示した、この作品をレビューしたく思う。

 80年代のシンセや打ち込みを多用する、“作られる音”が主流となる波に、
 彼らも挑むことになり、デビュー当時からのエンジニア、プロデューサーの、
 ナイジェル・グレイから、職人ヒュー・パジャムに交代して、
 シンセやホーン・アレンジを大幅に導入し、エッジ・サウンドから、
 複雑に絡み合うアンサンブルにバンド・カラーが変わった。
 
 これを、つまんなくなったという人はあまりいなかったなぁ。
 むしろ、バンドが実験精神あふれる傑作として、評価が高かった。
 ただTHE POLICEのアルバムの中では一番音数が多くて、重厚な出来だ。
 物質重視の社会を痛烈に批判した“マテリアル・ワールド”のオープニングは
 ホーンとシンセが絶妙に絡んで“おっ、なんだこの音は!?”とインパクト大だったし、
 ポップで大ヒットした“マジック”は今でも彼らの曲ではお気に入りだし、
 当時のアイルランド紛争を歌った“インビジブル・サン”(これ、暗い歌だよなぁ)も、
 分厚いシンセとギター・アンサンブルが織り成す佳曲だった。

 でも、当時のスティングはよほどお怒りだったようで。 世の中に。
 やれ破壊者だの、情報が氾濫しすぎるだの、世界は一つで十分だの。
 不安や憤りを煽った曲ばかり。 (だから、このアルバムは暗いって言われる)
 「機械の中の亡霊」って、タイトル自体、不気味でやばい。
 しかしこれが、バンドの深みを増していく原動力ともなるんだけど。

 次回作「SYNCHRONICITY」は、以前に書いたこともあるんで、今回は割愛するけど、
 彼らは、これより更に進化して、短期間に世紀の大傑作を作り出し、
 ツアーやって、とっとと解散してしまう。
 なんと潔いこと。 バンドの頂点でスパッと辞める。
 なかなか出来んことです。 
 (このタイミングを逃し、どれだけのバンドがかっこ悪く消えていったか)
 
 だから、かっこよかったし、3人に中途半端に再結成を匂わす発言がなかったことも、
 “一番再結成して欲しいけど、一番して欲しくないバンド”が、THE POLICEだった。
 だから、今回の再結成は手放しに受け入れたい。
 ごちゃごちゃ書かんとこうとは思いつつ、結局書いてしまったなぁ。
 
 とりあえず、グラミーの舞台でのパフォーマンス。
 しかと、目に焼き付けたく思う。

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