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夏はインドア派? アウトドア派? (改訂版) 

      ALL SUMMER LONG   THE BEACH BOYS

           

             I Get Around
             All Summer Long
             Hushabye
             Little Honda
             We'll Run Away
             Carl's Big Chance
             Wendy
             Do You Remember
             Girls On The Beach
             Drive-In
             Our Favorite Recording Sessions
             Don't Back Down


 ムシムシする梅雨真っ只中。 本格的な夏は、もう少し先といったとこでしょうか。
 でも、もうぼちぼち聴きたくなります。

 ビーチ・ボーイズ。

 毎年、この時期には、彼らについて書いてきたなぁ、と思いきや・・。
 書いてないんですよ。  また。  ほんと全然書いてない。 
 ・・・。  では、何で行こうかと・・。

 今なら、“無敵艦隊”の華麗なる創造的パスサッカーに惜しくも散った
 “オレンジ軍団”にちなんで、「HOLLAND(オランダ)」でしょ!と、
 (パウル君、恐るべし・・。) ペンを進めてみたんですが、
 不遇のブラザー/カリブ時代は、どうも地味で印象も薄い作品が多いんですよ。 
 (近年になってようやく再評価されてきましたが)

          

 中でも、「HOLLAND」は、カールの隠れたロックンロール佳曲“The Trader”や、
 デニスのメロディアスな“Only With You”なんか渋い歌声を聴かせてくれたり、
 アルの爽快なカリフォルニア賛歌“California SAGA”など聴きどころもあり、
 特筆すべきは、ブライアンとヴァン・ダイク・パークスとの共作で完成した
 “Sail On Sailer”だ。 力強く雄大で、久々にブライアンの才能が感じられた。
 
 でも・・。  ここは、ベタ(王道)で参ります。

 このアルバムは、ブログ開始当初書いていたんですが、今回加筆して、
 大幅に改訂。 リニュアル版にて、語っていきたく思います。
 今宵は、初期のサーフィン&ホットロッドの最高傑作かつ、決定版である
 「ALL SUMMER LONG」に、よろしくお付き合いを。

 まず。
 「あなたは、どの時期のビーチ・ボーイズが好きですか?」

 この問いには、ファンの間でも意見が分かれるところでしょう。
 彼らの活動時期を大きく簡単に区切って、分かりやすく書くと・・。

 62年のデビューから初期の“夏”を歌ったサーフィン&ホットロッド時代。
 ブライアンの才気が爆発した怪作「PET SOUNDS」をピークに前後した中期。
 古巣キャピトルを離れ、ブラザー/カリブ・レーベル時代の低迷した後期から、
 88年の最後のヒット曲“Kokomo”あたりまで。 でしょうか。

 ( カール死後は、3つに分かれちゃって、一応“暖簾を守ってる”のが
   マイクとブルースのビーチ・ボーイズで、残りは、アルと仲間たちに、
   ブライアンがソロという感じ。 正式に“解散”はしていないものの、
   私の中では、もうビーチ・ボーイズは終わってます。         )
 
 私は、どの時代の彼らの音楽も、“違った意味”で魅力的だと思ってる。

 時代の背景もあるし、何といっても、ブライアンの浮き沈みが大きいから、
 マイクやカール、あるいは、ブルースらの“頑張り”を評価してる私としては、
 (もちろん、彼がビーチ・ボーイズの命運を握っていたに違いないけど)
 一概に、「ここが好き」っていうのは断定できないし、その時の気分で
 言ってることも変わってしまう“いい加減”な部分もある。
 
 クーラーの効いた部屋で、じっくり「PET SOUNDS」でもよし、
 カーステでノリノリで、「ALL SUMMER LONG」で、海までよし。
 ♪インサイド、アウトサイド。  インドアもよし。 アウトドアもよし。

  

 思うに、一般的に、ビーチ・ボーイズの持ってるイメージと言えば・・。
 やはり「サーフィン&ホットロッド(車の歌)」だと思う。
 当時、アメリカ西海岸の若者文化に直結したこれら2つの嗜好的イメージが
 ビーチ・ボーイズのコマーシャル戦略であり、彼らの曲やビジュアルには、
 常に“サーフィン&ホットロッド”という2つのアイテムが盛り込まれた。

 しかし・・。
 これはビーチ・ボーイズだけではなく、当時の“その手”の音楽そのものが、
 海や車や女の子なんかをイメージさせて、バックアップするファンクション
 (機能)に過ぎなかっただけのもので、そのチープさ(安っぽさ)と、今で言う
 “チャラい”感じは、音楽的評価からするとマイナスに働いてしまい、
 正当に評価されにくかった。  ビートルズやストーンズなどのロックの世界と、
 彼らのようなポップスの世界との“差別”的評価に絡んでるのも事実だった。

 確かにこの当時は、その手の似たようなアイドル的バンドやシンガーが、
 掃いて捨てるほど出てきて、あっという間に消えてなくなってしまったが、
 その中で、唯一“本家本元”の彼らが、時代を生き抜いてきた事実は
 絶対に無視できないワケです。

 ビーチ・ボーイズは、そんなサーフィン&ホットロッドという枠組みの中で
 数多くの名曲を生み出していく。
 それは、ブライアン・ウィルソンという優れたコンポーザーがいたからだろう。
 「エンドレス・ハーモニー」とはよく言ったもの。
 ブライアンの曲には彼特有の叙情があり、それが彼らの織り成す美しいコーラス、
 そして、ブライアンの悲しみを湛えたファルセットと、マイクのボトム。
 これらが合わさった時、彼らしかない、きらめくような輝きを放つのである。

     

 そして、この時期の彼らは、ブライアン・ウィルソンの個性と、マイク・ラヴの
 個性のバランスがよく取れており、それこそが、ビーチ・ボーイズの最良の部分
 だと思う。
 
 1964年。 ビーチ・ボーイズにとってこの年ほど実り多き年はなかっただろう。
 「SHUT DOWN Vol.2」「ALL SUMMER LONG」「CONCERT」
 「CHRISTMAS ALBUM」と、なんと4枚ものアルバムを送り出している。
 (もっとも「CONCERT」はライブ・アルバムだったし、「CHRISTMAS ALBUM」は、
  クリスマス商戦用に、キャピトルが企画したものであったが )
 まさに、「もうどうにも止まらない」とは、このことを言うのだろうか。

 ブライアンの神懸かり的なソングライティング・センスが爆発したこの年。
 ブライアン本人も「曲が次々と沸いて出てくるんだよ」と語っている。
 天才“的”ではない。  真の“天才”。  天才の成せる技である。

 当時Jan & Deanも、またサーフ・ミュージック界の人気者であった。
 皮肉なことに、ブライアンが彼らにプレゼントした“Surf City”も全米No.1を
 獲得した。 (ブライアンは素直に喜んだが、 当時の悪徳マネージャーだった
 父マーリーは大激怒したというが) まさにビーチボーイズ絶頂期。
 しかし、その影にはブライアンの人知れない苦労と努力があったワケです。

 そして1964年2月、アメリカ全土に激震が走る。 
 ビートルズの“本土上陸”である。
 ブライアンにとっては、“脅威”以外の何者でもなかったはずだろう。
 「なんとかビートルズを負かす曲を書かなければ・・。」
 その一心で、ブライアンは曲を書き続けたに違いない。

 ビルボードチャートTop100に、なんと14曲もの曲を送り込んだのもこの年。
 “Fun Fun Fun”(5位)を始め、“I Get Around”(初のNo.1)、
 “When I Grow Up”(9位)などヒット曲を連発、アルバム「CONCERT」も、
 No.1に輝いた。

 ビーチ・ボーイズが、もっともビーチ・ボーイズらしい年であった。

 ブライアンは作詞作曲、プロデュースの全てを手がけていて、しかも、
 ツアーも敢行する、殺人的な過密スケジュールをこなしていた。
 ブライアン、若干22歳。 恐るべし。(しかし、その反動も大きかったが)

 この「ALL SUMMER LONG」は、初期ビーチボーイズの集大成的な作品であり、
 サーフィン&ホットロッドという枠組みを守りながらも、サーフ・ロックという
 ファンクションを軽々と超え、高い音楽性を実現したトータル・アルバムとでも
 言うべき傑作であった。

        

 しかし、彼らのサーフィン&ホット・ロッドはここまで。
 その有終の美となる、“最終章”を飾る作品でもあり、
 ブライアン・ウィルソンが、“正気”で作った最後の作品とも思う。
 天才と狂人は紙一重と言うけれど、これ以上先に進んでしまったら、
 狂人の領域に入るしかないという最高峰の“普通のポップス”がここにある。

 やたらと完成度の高い曲がズラリと並ぶ、このアルバム。

 ノッケから、彼らにとって初の全米No.1となった“I Get Around”。
 「♪ランラン・ギルラン・アギルラ~ン!」と、カリフォルニア訛りよろしく。 
 複雑なアレンジを施しながらも、若さと威勢の良さを全面に出して、
 「来るなら、来い」とばかりに、ビートルズを迎え撃つ臨戦体制を
 バッチリ整えていたことがよくわかる。

 頭のギターのコードカッテングによる「ガッ、グン」というノイズのような
 音は、車のセルモーターの音。 この一発で、彼らにエンジンがかかって、
 津波のごとく、あの素晴らしいコーラスが押し寄せてくる。
 マイクのリードに分厚いハーモニーをかぶせたり、“追っかけ”を効かせたり、
 幾何学的コーラス・ワークの成長ぶりはとどまるところを知らない感じだ。

 バック・トラックも、コーラスに疾走感を出そうとひたすらリズミカル。
 ハル・ブレインのタムも、ミュートを効かせたリズム・ギターも、
 コーラスを前へと前へと急き立てる。 それでも足りないと思ったのか、
 ハンド・クラップ(手拍子)まで入れる懲りよう。  

 マイクの書いた歌詞は、どこまでも能天気。 とにかく明るい。
 「街の通りを“周り回って”、車を転がしまくって楽しもうぜ」という、
 とにかく他愛の無い青春賛歌。 しかし、それゆえ、
 「夏は続くよ、どこまでも」というアルバムの一曲目としては、申し分なし。

      

 このシングルは、前作「SHUT DOWN Vol.2」から、名曲“Don't Worry Baby”を
 カップリングした、ビーチ・ボーイズ史上最高のシングル盤である。

 タイトル曲“All Summer Long”は映画「アメリカン・グラフィティ」の
 エンディング・テーマとして使われた。

    君の家の前に車を停めていた時に、
    コーラで君のブラウスを
    ビショビショにしちゃったのを覚えているかい。
    Tシャツにカットオフ・ジーンズに革のサンダル。
    夏の間、僕らは思いっきり楽しんでた。
    夏の間、君とずっと一緒だったけど、
    僕はまだ君のすべてを分かっちゃいない。

 マイク・ラヴって、実際つきあったら嫌な奴だろうなぁって思ってるんですが、
 少なくとも、歌詞に関しては素晴らしいセンスを発揮するんですよ。
 好きな女の子と一緒にいる時に、“やらかしちゃった”ちょっとの失敗が、
 ずっと心に残る10代の時。 誰だってそんなピュアな心を持ってました。
 (まぁ、私も・・。)  その辺をマイクは、実に上手く歌詞にしている。

      

 そんな“儚さ”を分っていたんでしょう。
 若き日のジョージ・ルーカスは、この曲を出世作「アメリカン・グラフィティ」
 の最後の最後で実に効果的に使用したワケです。

 このアルバムはカバー曲だって、素晴らしい。
 “Hushabye”は、白人ドゥーワップ・グループのミスティックスの59年のヒット曲。
 とにかく、ブライアンの美しいファルセットが素晴らしいのだ。
 ファルセットというのは、フォー・シーズンズのフランキー・ヴァリみたいに、
 どちらかというと、“コミカル”な響きを持ってしまうことが多いんだけど、
 ブライアンのファルセットは切ないんですよ。 無意識なんだろうけど、
 ただただ切ない。 これが、曲に表現力の深さと何倍にも魅力を与えてる。

 “Little Honda”は、お得意のホットロッドで、またまた本領発揮だ。

 「HONDA」のアメリカ進出が1959年で、LAに本拠を構えて販売を始めた。
 それから5年後、この“アン・アメリカン・バンド”とタイアップできるほどに
 「HONDA」の名前は浸透していたということなんでしょう。

       

 デニスの「GO!」の掛け声から一気に突っ走る。
 リズム・ギターの濁ったようなカッティングはエンジン・ノイズを思わせる。
 バックの「ホンダホンダ! ファスターファスター!(ホンダ 速いぜ!)」
 っていうコーラスも疾走感を煽るし、ソノコーラスに乗ってマイクの歌は、
 「ファースト・ギア いい感じ。 セカンド・ギア 少し屈んで」と徐々に、
 シフト・アップして、サード・ギアでは後ろの女の子に「しっかりつかまって」
 と注意を促し、次はトップ・ギアでぶっ飛ばすのかと思いきや、
 「さあ飛ばそうぜ!いい感じ」とシフト・アップは終わり。
 “Little Honda”は3速までしかなかったんです・・。 トホホ・・。

 “We'll Run Away ”は、ブライアンのファルセットも彼にしては黒っぽいというか、
 ソウルを感じさせる深みのある歌唱。 静かだけど、狂おしく鳴り響く、
 ハモンド・オルガンの音。 エコーの底から聞こえてくるハル・ブレインのドラム。
 こういう静けさの中の熱さ。 これも彼らの魅力だろう。

 “Wendy”も、この曲での張り詰めた緊張感の中での叙情あふれるコーラスは、
 初期の彼らの真骨頂といった感じ。  間奏のオルガンのソロの最後の方に、
 「ゴホッ」という咳の声が聞こえる。 普通だったら、NGとなるテイクなのに、
 ブライアンは、OK出しちゃってる。 咳など気にならないくらい凄いテイクなのだ。
 (ご存知のように、ブライアンは69年に生まれた次女にウェンディという
  名前をつけています。 この曲に強い思い入れがあったんでしょう)
  
 そして、私が彼らのコーラス・バラードで一番素晴らしく、
 完成度がズバ抜けていると思う、“Girls On The Beach”だ。
 やたらと複雑な転調を駆使したこの曲のコード進行は、私にとって永遠の謎。
 (この超難曲を、1ミクロンの狂いもなく精密に、完璧に、たった独りで
  コーラス・カバーした達郎さんのスキルの高さには、ただただ感服します)
 コード進行(和音の流れ)もセンスが良く、、キーも、E♭(変ホ長調)から、
 E(ホ長調)、さらにF(ヘ長調)へと転調したり、リードを含めると、
 たぶん4パートのコーラス・ハーモニーになり、複雑に絡み合う美しさ。
 ブライアンのコーラス・ワークの極みがここにある。

 なんか全曲解説を帯びてきたんですが・・。

 誰だって、「永遠に終わらないでくれ」と願った夏があるのではないでしょうか。

 しかし、夏が永遠に続くことはもちろんありません。
 来年になれば、また夏はやってきますが、それは同じような“表情”をしていても、
 “今年の夏”とは違うはず。 
 それが無意識のうちに分っているから、“今年の夏”が永遠であることを望む。

 そういった儚く切ない気持ちが、彼らの曲には“永遠”に流れている気がする。
 その返が同じように夏を歌った、他のサーフィン&ホッドロッドのバンドとの違い
 なのかな。 今に至っても、生き残ってこれた最大の理由なのかなと思う。

     

 ただビーチ・ボーイズにとって、サーフィン&ホットロッドというイメージは
 一種の呪縛でしかなく、それを払拭することが彼らの次のステップに繋げた。
 しかし、ビーチ・ボーイズにとって、売れる作品を作ることが至上命令であり、
 当時キャピトルから、常にヒットを確実視された彼らにかかるプレッシャーは
 並大抵ではなかった。それによって、ブライアンは精神に変調をきたすようになり、
 コンサートツアーへの同行を拒否し、スタジオワークに専念するようになる。

 彼は、その弱さの表明と創作の自由を引き換えにして、ドラッグに手を染める。
 そしてドラッグは、孤独を“孤高の芸術”に変えていくワケです。
 まるで悪魔の実のように・・。
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2010/07/12 Mon. 09:51 [edit]

Category: ビーチ・ボーイズ

Thread:洋楽CDレビュー  Janre:音楽

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80'Sの波に挑んだ、“陸サーファー”。 

     THE BEACH BOYS    THE BEACH BOYS

          

            Getcha Back
            It's Gettin' Late
            Crack At Your Love
            Maybe I Don't Know
            She Believes In Love Again
            California Calling
            Passing Friends
            I'm So Lonely
            Where I Belong
            I Do Love You
            It's Just A Matter Of Time
            Male Ego

 7月も半ば。 いよいよ梅雨明け! そして、夏本番がやって来ます。
 そう、彼らの季節がまたやってきます。  “浜辺の男の子たち”の季節が。
 ということで。  またまた月並みではございますが・・。 
 ずいぶんサボってました、かなりお久なビーチ・ボーイズの話で参ります。
     
 とはいえ、晩年のビーチ・ボーイズについては、あまり語られることがないようで。

 やっぱサーフィン・ホットロッド全盛のCAPITOL時代の最も輝いていた初期や、
 (やはりこの時代の彼らが、一番サイコー!! 海、車、そして、終わりなき夏・・。)
 「PET SOUNDS」以降の別次元でのポップ・サウンドの新たな創作期、
 (才気爆発のブライアン恐るべし。 しかし、成功と苦悩。 明と暗。 う~ん・・。)
 70年代BROTHERレーベルでのブライアンの低迷、模索期などと比べたら、
 (この辺が良く思えるようになったのは最近。 カールの才能を再確認した次第。)
 どうも扱いが軽い。  いけませんよ。  功労者は労わってあげないと。

 私のロックを意識してからのリアル・タイムでのビーチ・ボーイズは、実はコレ。
 CAPITOL時代のベスト盤の「ENDLESS SUMMER」を好んで聴き始めてすぐ、
 もてない男の子が、幼なじみの子の気を引こうと悪戦苦闘するコミカルなPVの
 “Getcha Back”がヒットチャートを昇ってた。  すぐに買いに走って。
 それは初めての彼らのオリジナル・アルバム初体験でもあった。

 針を落とすと、“Getcha Back”の打ち込みドラムがパターン良く軽快に跳ねる。
 そして、複雑かつ心地良く、フェアライトを通した分厚く美しいハーモニー。  

 「やっぱ、ビーチ・ボーイズは、こうでなきゃ。」

 しかし当時は、このアルバムが出るまでの紆余曲折など知る余地もなかった。

 CBS傘下のカリブ・レーベルでの失敗作連発もあり、みんなバラバラだったことも。
 83年末にドラッグと酒でヘロヘロの次男のデニスが、愛する海で溺死したことも。
 それにより、ソロ重視によるBB脱退寸前だった3男カールが復帰したことも。
 長男ブライアンが最悪の状態から、ランディ医師の治療でリハビリ中だった事実も。

                        

 1985年、デニスの死を機に、メンバーが心機一転、一致団結。 と同時に、
 「ビーチ・ボーイズ」として認めえる、ブライアンが全面参加した、最後かつ、
 事実上のビーチ・ボーイズのラスト・アルバム。  残念なんだけど・・。
 
 レコーディングは、84年秋にロンドンとLAで開始、プロデューサーは、CBSから、
 当時カルチャー・クラブで手腕を発揮した、スティーヴ・レヴィンが当てられていた。 
 これは契約の条件としてらしいが、 結果的には、”う~ん、良し”かなってとこ。
 ただ本音はブライアンにやって欲しかったんだろうけど、 あの“医師”が面倒だし、
 まだリハビリ中の身。 そこまで回復できてなかったから仕方ないか・・。

 しかし85年当時、時代の“波”はデジタル録音が主流に切り替わった頃。
 彼らにとって、初のデジタル・レコーディングは大きな壁となって試練を与える。
 BBサウンドの命綱である、美しいコーラスは、今までなら、4人(ないし5人)が、
 マイクの前で「せ~の」で同時にアカペラで録音されていた。(それが出来ていた)
 でも、各個人でパーツを録り、デジタル処理で重ね合わせ、フェアライトを通して、
 コーラスを作り出す手法は、特にブライアンの感性には合わず、難儀だったみたい。

 しかし、みんなが言うほど、出来が悪いとは思わない。  むしろ好き。
 私の初オリジナル体験の意味を差し引いても、及第点はあげたい。 
 65点くらいは。

 その50点分を稼いでいるのが、“Getcha Back”。 BB版の“Get Back”だ。
 マイクなのか、カールなのか、いや、デニスが引き合わせたに違いない。
 BRIAN Is Back。  あの元気だったブライアンが帰ってきたんだ。
 この曲はマイクと旧友のテリー・メルチャーの共作で、初期のBBをなぞった様な
 平凡な曲なんだけど、ブライアンのデジタル処理化した多重コーラスが冴え渡る。

 やっぱBBには、マイクのバリトンとブライアンのファルセットが一番映える。
 ブライアンの歌声には、ドラッグのせいなのか、過酷な治療の産物なのか、
 初期の美しいファルセットは衰えてしまったけど、 コーラス・コードやラインの
 組み立て方のセンスはピカイチ。 逆に中低音域をうまく強調させて、弱い高域を
 カバー。 なんかビリー・ジョエルみたいな雰囲気を醸し出してる。
 でも残念なのは、この曲にカールもアルも、ブルースも参加していないことだ。

 次の“It's Gettin' Late”は、カール作のソロで培ったR&BやAORのセンスを
 取り入れ、過去のBBにはなかった曲。 もろコーラス・ワークはサンプリング。
 しかし、カールの緩急のある表現豊かなヴォーカルは見事だし、
 (スティ-ヴィー・ワンダー提供の”I Do Love You”でも、美声を発揮)
 同じく、“Maybe I Don't Know”は、ギターには、なんとゲイリー・ムーアが!
 打ち込みリズムを潰しちゃうくらい、彼のギター・ソロは迫力満点だ。

 “She Believes In Love Again”は、ブルースの隠れ名曲と言いたい。
 彼得意の甘~いスロー・ラヴ・ソングだけど、なんという切ないメロディなんだろう。
 ブルースの声が枯れてしまってるけど、カールのヴォーカルが絶妙。
 このアルバムの、“裏”ハイライトは、この曲だと思ってる。  必聴ですぞ。

 リハビリ中とはいえ、ブライアンも積極的に曲作りにも参加。
 アルとの共作が“Crack At Your Love”と王道で元気な“California Calling”に、
 なんともお気軽な“Male Ego”はマイクとの共作。 どれも、まぁまぁ・・。
   
 ブライアン単独の“I'm So Lonely”と“It's Just A Matter Of Time”は、
 彼独特の、のんびりとした“間”が空気感を漂わせる。 ドゥーワップっぽいけど、
 なんか孤独感でいっぱいに聴こえる。  みんながそばにいてくれたのにね。
 この雰囲気は、後のソロ・アルバムにつながっていくことになるんだけど・・。

 80'Sデジタルの波にうまく乗っているとは思わないけど、 残ったメンバーで、
 デニスの死を乗り越える意気で、これだけメリハリの効いた“最先端の音”に、
 何の迷いもなく、果敢に挑んだ姿勢はもっと評価してもいいと思う。

 生粋のサーファーだったデニスは失ってしまったけど、
 “陸サーファー”なりに、時代の波に乗ろうと努力した姿は認めてあげたい。

 しかし、カールが98年に肺がんで天に召され、 ブライアンだけが残った。

 そこで・・。  “THE BEACH BOYS”は、終わったんだ。

 正式な解散発表はない。 どころか。 一応“THE BEACH BOYS”は存在してる。
 マイクとブルースで、名乗ってるけど・・。  認めるわけきゃない、そんなの。
 もちろん、アルとファミリーとで、見事にBBサウンドを踏襲したとしても、
 そして、ブライアン一人で、有り得ないと信じてた「PET SOUNDS」を再現しても、
 もう、“THE BEACH BOYS”じゃない。  

 終わっているんだ・・。  悲しいけど、受け止めなきゃ。

 でも、この季節になると、恋しくなるわけですよ。  彼らのハーモニーがね。
 私にとっては、クーラーや冷たいアイスみたいなものです。 
 ビーチ・ボーイズって。

2009/07/18 Sat. 01:00 [edit]

Category: ビーチ・ボーイズ

Thread:洋楽CDレビュー  Janre:音楽

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悲しくも純粋な終りなき夏。(1) 

      CALIFORNIA FEELIN'        THE BEACH BOYS
                        selected by BRIAN WILSON
  
                 
            amazonへ

           Surfer Girl 
           In My Room
           Don't Worry Baby
           The Warmth Of The Sun (太陽あびて)
           I Get Around
           California Girl
           Caroline No
           God Only Knows (神のみぞ知る)
           Good Vibrations
           Heroes And Villains (英雄と悪漢)
           Surf's Up
           Wonderful
           Busy Doin' Nothin'
           We're Together Again
           Time To Get Alone
           This Whole World
           'Til I Die
           Marcella
           Sail On,Sailor
           California Feelin' <Brian's New Song>

 まだ梅雨も真ん中ってとこなのかな。
 早く明けて、夏が来て欲しいところですな。
 でも若い頃みたいな、「ワーイワーイ!」といった盛り上がりはないんだけど、
 無邪気な子供の頃や、若き暑い思い出をよく思い出すもんです。
 ただ人によっては、夏が嫌いな人もいるし、いい思い出もない人だっている。
 大人の夏。 人それぞれの夏。
 そんな夏に、どことなく懐かしさと少し悲しさを思うこともあるのでは。

 そんな時に、よく聴くアルバムを2回にわたってレビューしたく思う。
 まずは、月並みなんだけど、ビーチ・ボーイズ。
 でもこれは、絶対はずせない。
 これは、そんなビーチ・ボーイズのベスト盤なんだけど、
 彼らの、世界各国ゴマンと出てるベスト、編集盤とは違う。
 ちょっと、いや、絶対に“はずしてはならない”ベスト盤なのだ。

 これは、あのブライアン・ウィルソンが積極的に関与したシロモノ。
 もともとは、東芝EMIの企画でスタートしたのだが、
 彼が自ら選曲し、各曲でコメントを寄せ、なおかつ、新録である、
 “California Feelin'”まで提供した、とても意義あるベスト盤なのだ。
 おまけに、ジャケのデザインも東芝EMIが用意した数十点すべてに目を通し、
 「コレ」って指定までしたり、音源もこと細かに指示したらしく、
 “California Girls”なんか、レア・トラック満載の「ENDLESS HARMONY」の、
  ステレオ・リミックス版を使用するようにさせたらしい。
 
 収録曲をみると、誰が選んでも入るような名曲、ヒット曲もあれば、
 彼じゃないと選ばないような独特の観点からの選曲のがミソ。
 初期の傑作“Don't Worry Baby”や“I Get Around”はもちろん、
 素晴らしいハーモニーを堪能できる“In My Room”や“太陽あびて”もある。
 (欲言えば“Girls On The Beach”あたりも入れて欲しかったなぁ)
 また、当然「PET SOUNDS」からや“Good Vibrations”、
 ヨレヨレだったブラザー/カリブ時代もまんべんなく押さえてある。

 しかし、彼らしいのが、バート・バカラックの影響が強い“Busy Doin' Nothin'”や、
 60年代にボツにされ、後に「FRIENDS・20/20」の2イン1シリーズで、
 ボーナス収録された、“We're Together Again”なんか最たるところ。
 (ヴァン・ダイク・パークスにインスパイアされたが、本人が完成できず、
  他人の協力でできたブラザー時代の代表曲“Sail On,Sailor”を、
  選んでるとこも興味深い。)

 私の中でのビーチ・ボーイズは、当然“ブライアンありき”なんだけど、
 やっぱ、“太陽 海 浜辺 サーフィン そして西海岸の風景”だ。
 だから、「PET SOUNDS」を初めて聴いた時なんて、「こんなの・・」と思ったんで、
 大ミエきって、“「PET SOUNDS」こそ彼らの(というよりブライアンの)最高傑作だ”
 などと言えるほど、熟聴できていないし、
 (「PET SOUNDS」の本当の凄さを思い知らされたのは、ここ数年のことだ)
 ブライアンがコモってしまってたブラザー/カリブ時代なんて、真の彼らじゃないと、
 今でも思ってる。

 しかし、明と暗。
 彼ら(特にブライアン)に、浴びせられた陽の光は、
 時に眩ばゆいほど輝いていた時も、光すら当てなかった時もある。
 それも、彼らビーチ・ボーイズの歴史でもある。
 ただヒット曲の羅列だけのベスト盤では、その真の背景を知ることはできない。

 ブライアンだけでは、ビーチ・ボーイズは“永遠の夏”にはなり得なかったと思うが、
 この、けっして入門者向きではないベスト盤には、
 彼の視点から見たビーチ・ボーイズの歴史は、真の姿を捉えられると思う。
 
 ブライアンについては、また機会を改めて書こうかな。

 「波が立った。 潮の流れに乗れ。 風が変わる。
  若者に混じって跳ねろ。 僕は素晴らしい言葉を聞いた。
  それは、子供達の歌だ・・」

 難解な名曲“Surf's Up”のラストの詩に、
 デビュー当時と比べ、同じ“波”の表現の仕方が、ここまで深遠になる。
 難しいなぁ・・。
 これこそ、“悲しくも純粋な夏”なんだろうか。

2006/07/03 Mon. 00:51 [edit]

Category: ビーチ・ボーイズ

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夏の五重唱をもみの木に飾って。 

     CHRISTMAS ALBUM     THE BEACH BOYS

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       A. Little Saint Nick (リトル・セイント・ニック)
         The Man With All The Toys 
             (ザ・マン・ウィズ・オール・ザ・トイズ)
         Santa's Beard (サンタのおかげ)
         Merry Christmas, Baby (メリー・クリスマス・ベイビー)
         Christmas Day (クリスマス・デイ)
         Frosty The Snowman (フロスティ・ザ・スノーマン)
       B. We Three Kings Of Orient (三人の聖者)
         Blue Christmas (ブルー・クリスマス)
         Santa Claus Is Commin' To Town 
                (サンタが町にやってくる)
         White Christmas (ホワイト・クリスマス)
         I'll Be Home For Christmas (お家でクリスマス)
         Auld Lang Syne (蛍の光)

 ビーチ・ボーイズっていえば、夏の代名詞。(初期の彼らだけど)
 しかし、当時のアメリカのミュージック・ビジネスの一環として、
 この時期に当て込んで、クリスマス・アルバムを出してきた。
 それは、一流の仲間入りした証でもある。

 既に、1963年11月に、“Little Saint Nick”を、クリスマス用シングル
 として発売していたが、 一年後、CAPITOLの要請によって、
 このアルバムを製作した。
 この頃、創造の頂点にあったブライアンは、いとも簡単に、
 4曲のオリジナルを書き上げて、残りにスタンダード録音を加えた、
 珠玉のクリスマス・アルバムに仕上げた。

 実はこの前年、あの世界で最も画期的なクリスマス・アルバムといわれる、
 フィル・スペクターの「A CHRISTMAS GIFT FOR YOU」が発売された。
 これに当時、スペクターに異常なほど夢中だったブライアンが、
 どれだけ影響を受けたことだろうか。
 「僕にだって、作れる」 
 きっと、そう意を決して取り掛かったに違いないだろう。

 オリジナルの5曲は、すべてブライアン作。
 どれも、素晴らしいクリスマス・ソングに仕上がってる。
 “Little Saint Nick”は、シングル・ヴァージョンの鉄琴や鈴で装飾した
 テイクからシンプルなヴァージョンに差し替え、ヴォーカル重視が美しい。
 (私は、にぎわしいシングルの方が好きですが)

 “The Man With・・”は、マイクとブライアンがリードとブリッジを、
 うまく切り替えるし、爽やかなアルのヴォーカルが聴ける、
 “Christmas Day”もいい。
 このオリジナルだけでも、単なるクリスマス企画盤ではなく、
 クオリティの高さがうかがえる。

 スタンダードも、これまた素晴らしい。
 特に、雪の中でパーティ気分の“Frosty The Snowman”や、
 プレスリーにも負けず、ひたすら甘い“Blue Christmas”も美しい。
 そして、複雑なハーモニーが絡む“蛍の光”で幕締めとなる。
 (でも、途中でデニスの語りが被さるのは、ちょっと・・。
  ボーナス・トラックの語りなし版は素晴らしいの一言)
 
 現在は、1977年、ブラザー/リプリーズ時代に製作されたが、
 ボツになったクリスマス・アルバムの一部の音源がプラスされた
 「ULTIMATE CHRISTMAS」としてリリースされている。
 しかし、このもみの木ジャケットが採用されていないのは残念だけど。

 浜辺の男の子が作ったクリスマス・アルバム。
 それは、一年中聴くことのできる、数少ないクリスマス・アルバムでもある。
 アナドっては、いけませんぞ。
        

2005/12/15 Thu. 19:55 [edit]

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