秋の夜長に、追悼と癒しのアコースティックの調べ。
UNPLUGGED ERIC CLAPTON

Signe
Before You Accuse Me
Hey Hey
Tears In Heaven
Lonely Stranger
Nobody Knows You When You're Down & Out
Layla
Running On Faith
Walkin' Blues
Alberta
San Francisco Bay Blues
Malted Milk
Old Love
Rollin' & Tumblin'
ようやく、秋めいてきましたね。
秋の夜長。
しんみりとアコースティックの調べに耳を委ねてみるのはいかがでしょう。
そういえば、クラプトンの新譜が出ました。
いや~、“老い”と“枯れ”の境地。
“我が道を往く”という姿勢が素晴らしい。
サイモン・クライミーから離れて、ドイル・ブラムホールⅡの協力
を仰いで制作したことが、この激シブ路線に拍車をかけてると思うけど、
己のルーツの“源流探しの旅”も、とうとうここまで来たかって感じ。
得意のデルタ・ブルースやスワンプはもとより、
デキシーランド・ジャズまでやってる。
ラストのイブ・モンタンで有名な“枯葉”なんて、
大人のためのBGMの極み。
秋の夜長に、いつまでも浸っていたい気分になる。

ただ・・。
もうロックンロールは飽きちゃったのかなぁ・・。
堅実で、ここぞという要所とツボを知り尽くしたプレイは堪能できるけど、
もう弾きまくるクラプトンは聴けないのかなとも・・。
(そんな意味でも、今年のクロスロード・フェスのDVD化は嬉しいニュースです)
こうして、
スタンダート化してきてる昨今のクラプトンを聴いてきて思うのが、
クラプトン本人は、けっして意識してはいないと思うんだけど、
自然と、彼に“癒し”を求めている人が
増えてきてるんじゃないかなぁってこと。
エレクトリックにこだわった、クラプトンのギタリストとしての
偉大なる功績や、紆余曲折の波乱な人生を学んだ私としては、
“癒し”というキーワードは、
彼には、ちょっと当てはまらないなぁと、思っているんですが・・。
やはり、クラプトンにこのキーワードを印象付けた作品はコレでしょう。
クラプトン史上最も売れて、
日本に異常ともいえる空前のアコギ・ブームまで
巻き起こした(あのモーリス製ギターの生産が間に合わなくなったくらい)
このアルバム。
あまりに定番すぎて、あえて今までスルーしてきましたが、
コレは、一度キッチリ書いとかなきゃと思ってました。
いい機会です。
今宵は、しっとりと、
究極のギター求道者であるクラプトンの
“アコギの安らかな響きと職人芸の極み”。
「UNPLUGGED」にて、よろしくお付き合いを。
plugged(プラグド)= プラグを挿す。 プラグイン。
電気楽器には、
演奏必要不可欠なプラグ配線を差し込み口に挿すということだ。
そして、その逆が、Unplugged(アンプラグド)。
そのプラグを抜くという意味で、
ジョン・ボン・ジョヴィとリッチー・サンボラの発案で、
1989年に放送開始されたアコースティック中心の“生”の
楽器演奏スタイルを基調にしたライブ・プログラムだ。
まず本作を紹介するにあたって、
91年3月に彼の身に降りかかった大きな悲劇を語っておく必要がある。
「24 NIGHTS」の音源となった、
24回のロイヤル・アルバート・ホールでの公演が終了した直後、
実の息子である当時4才のコナー君がニューヨークのマンションの
バルコニーから転落死するという不慮の事故が発生してしまう。
ただでさえ前年(90年)の8月には、
交流の深かった名ブルース・ギタリストであるスティーヴィー・レイ・ヴォーンが
事故死し、胸を痛めていたクラプトンだっただけに
更なる追い打ちをかける、この最愛の息子の悲劇が、
彼にどれほどのショックをもたらしたかは想像を絶する。
それからクラプトンは、
アコースティック・ギターを手にすることが多くなったという。
息子を亡くした事故以後、
その傷心を癒やすため休暇を取っていたクラプトンは、
マネージャー所有のヨット「SIGNE(シグネ)号」の船上で曲を書いていった。
(このアルバムのオープニングのインスト曲のタイトルにもなった)
すると、
自然と彼の中からオリジナル曲もいくつか生まれていくことに。

そうして書かれた一曲が、
今や彼の代表曲として知られている“Tears In Heaven”。
コナー君に捧げた、あまりに切なくも、力強いメモリー・ソング。
息子の死を受け入れて、その後の人生を歩んでいけるきっかけとなった曲。
この曲が書けなければ、今のクラプトンはなかっただろう。
(これは予想の域だけど、
Aメロとサビはクラプトンが書き上げてると思うけど、
繋ぎの部分は、ウィル・ジェニングスがサポートしたんじゃないかなと。
彼は、ラス・タイトルマンの右腕的ソングライターで、共作クレジットにもなってる)
サントラ盤「RUSH」で既に発表済みで、
シングル・チャート全米2位の大ヒットもしたが、
この「UNPLUGGGED」で、更に脚光を浴び、クローズアップされることになる。
バックを務めたのは、
ネイザン・イースト(ベース)、スティーヴ・フェローン(ドラムス)
のお馴染みのメンバーに加え、
今やローリング・ストーンズのツアー・メンバーとして
名を馳せるチャック・リーヴェル(オルガン)、レイ・クーパー(パーカッション)、
そして、アンディ・フェアウェザー・ロウ(ギター)を右手に添えて、
ケイティ・キッスーンとテッサ・ナイルズ(バック・ヴォーカル)の7人編成。
クラプトンとアンディのギターは、ピックアップを使用せず、
弦にマイクを近づけて音を拾うという、完全な“アンプラグド”録音だった。
(“Unplugged”とはいうものの、チャック・リーヴェルのオルガンだけは、
“Plug In”だったが、素晴らしいアクセントだったんで、全然OKでしょう)
クラプトンが選択したアコギは、
ヴィンテージもののマーティン 000-42という名器。
他にも、リゾネーター・ギター、ナイロン弦・ガットギター、
12弦マーティンなど、素晴らしい名器を披露した。
彼は元来、フィンガーピッカーじゃないんで、
アコギでも殆どピックを使って弾いている。
しかしここでは、流暢で見事なフィンガー・ピッキングを披露している。
失礼承知なんですが、彼がここまで綺麗に“爪弾ける”とは、
少し驚いてしまった。
この理由は「指で弾いたら、良い音がしたからさ」と当時のインタビューで、
クラプトン本人が語っていますが、
彼のプレイの幅が更に奥深くなったのも大きい。

1992年1月16日、ロンドン郊外のプレイ・スタジオにて、
MTVの看板企画番組の収録が約2時間に渡り、録り行われた。
収録セットリストはこうだ。
Signe (take1)
Before You Accuse Me
Hey Hey
Tears In Heaven (take1) ※
Circus Left Town ※
Lonely Stranger
Nobody Knows You When You're Down And Out
Layla
Signe (take2) ※
My father's Eyes (take1) ※
Running On Faith (take1) ※
Walking Blues (take1) ※
Alberta
San Francisco Bay Blues (take1) ※
Malted Milk (take1) ※
Signe (take3) ※
Tears In Heaven (take2)
My Father's Eyes (take2) ※
Rollin' And Tumblin'
Running On Faith (take2)
Walking Blues (take2)
San Francisco Bay Blues (take2)
Malted Milk (take2)
Worried Life Blues ※
Old Love ※は、アルバム未収録
この完全収録盤は、
海賊版で多く出回っているので、耳にすることも可能だが
実にリラックスして、落ち着いた雰囲気の中、収録されたことがわかる。
シグネ号で書かれたオリジナル曲“My Father's Eyes”と
“Circus(Left Town)”はここで初披露された。
この初期のアコースティック・アレンジの出来は秀逸。
このまま“オクラ”にするのが惜しいほど素晴らしいけど、
息子とのメモリアル・アルバムになる、次回作「PILGRIM」で
収録する予定だったようで、この2曲は
オフィシャル化は持ち越されてしまうことになる。

オープニングの“Signe”で、
軽やかなスリー・フィンガーの流麗な音色を生かした
サンバ調のインストゥルメンタル小品でスタート。
まずは肩慣らしといったとこ。
今回、シグネ号で書かれたオリジナル曲は、あと“Lonely Stranger”もそう。
歩むべき姿を宣言する、
力強いセルフ・エンカレッジ(自らを勇気づける)・ソングだ。
やはり半分以上は、
古いブルース・トラディショナルで占められている。
ギターを握り始めた少年時代のクラプトンが、
必死にコピーして練習した曲ばかり。
ボ・ディドリーの“Before You Accuse Me”や、
クリームの頃やったマディ・ウォーターズの“Rollin And Tumblin'”なんかは、
余裕綽綽。 なかなか手慣れたもの。
私の個人的には、
ドミノス時代にもやった“Nobody Knows You When You're Down And Out”が、
実に洒落てて、ジャジーなアレンジが心地よく、一番のハイライト。
酒が旨い。
(ギター・ソロでピックに持ち替えるあたりは、切り換えが上手いんだ、コレ)
マディ・ウォーターズで有名な“Walkin' Blues”も、
アコギ一本で渋く表現できるのはさすがだし、
ラグタイム風でキメる“Alberta”や、シャッフル・アレンジが軽快な
クラプトン自らカズーを吹いて歌う“San Francisco Bay Blues”なんかでは、
チャック・リーヴェルのオルガンも聴き物だし、
バンド・アンサンブルも見事。
クラプトンが愛され続ける理由の一つは、
とかく難しそうなブルースの敷居を下げて、
我々にも、聴きやすく導いてくれたところだ。
忘れちゃいけないのが、“Layla”だろう。
これには、意表を衝かれました。
ワンオクターブ下げて、
シャッフルっぽく4ビートにトーン・アレンジしただけで、
こんなに新鮮味があふれ、感動を与えるのだ。
狂おしく感情まかせにシャウトする
オリジナルもいいけど、ゆっくり心の内側を曝け出すように
切々と歌うのもいい。
「JOURNEYMAN」収録の“Old Love”も歌われているが、
アコースティックの響きが恋人を失った男のリアリティを浮かび上がらせる。
まるで、傷を癒すかのように。

長いキャリアを経ても、
少年の頃と同じスタンスでブルースを歌う純粋なクラプトン。
幼い息子を失うという悲劇を、
音楽を作り続けることで自らを救った強いクラプトン。
しかし、過去の女々しい横恋慕ソングを、
いつまでも歌ってしまう弱いクラプトン。
1年前は、上下ベルサーチを身に纏い、
リリシズムにあふれ、破綻なき完璧な演奏で
オーディエンスは、ただひれ伏すのみの、
まさに“神”が降臨したステージングだった。
しかし、ここは、まるでリヴィング・ルームで普段着のまま、
アコギを爪弾くような親近感と優しさに包まれた空間で満ち溢れている。
“神”との距離が極端に近くなった瞬間でもある。
ただ歌いたかっただけなのだ。
弾きたかっただけなのだ。
このアルバムの一番素敵な点は、
そんな”ナチュラル(自然体)”そのまま、
ありのまま、等身大のクラプトンしかいないところだ。

Signe
Before You Accuse Me
Hey Hey
Tears In Heaven
Lonely Stranger
Nobody Knows You When You're Down & Out
Layla
Running On Faith
Walkin' Blues
Alberta
San Francisco Bay Blues
Malted Milk
Old Love
Rollin' & Tumblin'
ようやく、秋めいてきましたね。
秋の夜長。
しんみりとアコースティックの調べに耳を委ねてみるのはいかがでしょう。
そういえば、クラプトンの新譜が出ました。
いや~、“老い”と“枯れ”の境地。
“我が道を往く”という姿勢が素晴らしい。
サイモン・クライミーから離れて、ドイル・ブラムホールⅡの協力
を仰いで制作したことが、この激シブ路線に拍車をかけてると思うけど、
己のルーツの“源流探しの旅”も、とうとうここまで来たかって感じ。
得意のデルタ・ブルースやスワンプはもとより、
デキシーランド・ジャズまでやってる。
ラストのイブ・モンタンで有名な“枯葉”なんて、
大人のためのBGMの極み。
秋の夜長に、いつまでも浸っていたい気分になる。

ただ・・。
もうロックンロールは飽きちゃったのかなぁ・・。
堅実で、ここぞという要所とツボを知り尽くしたプレイは堪能できるけど、
もう弾きまくるクラプトンは聴けないのかなとも・・。
(そんな意味でも、今年のクロスロード・フェスのDVD化は嬉しいニュースです)
こうして、
スタンダート化してきてる昨今のクラプトンを聴いてきて思うのが、
クラプトン本人は、けっして意識してはいないと思うんだけど、
自然と、彼に“癒し”を求めている人が
増えてきてるんじゃないかなぁってこと。
エレクトリックにこだわった、クラプトンのギタリストとしての
偉大なる功績や、紆余曲折の波乱な人生を学んだ私としては、
“癒し”というキーワードは、
彼には、ちょっと当てはまらないなぁと、思っているんですが・・。
やはり、クラプトンにこのキーワードを印象付けた作品はコレでしょう。
クラプトン史上最も売れて、
日本に異常ともいえる空前のアコギ・ブームまで
巻き起こした(あのモーリス製ギターの生産が間に合わなくなったくらい)
このアルバム。
あまりに定番すぎて、あえて今までスルーしてきましたが、
コレは、一度キッチリ書いとかなきゃと思ってました。
いい機会です。
今宵は、しっとりと、
究極のギター求道者であるクラプトンの
“アコギの安らかな響きと職人芸の極み”。
「UNPLUGGED」にて、よろしくお付き合いを。
plugged(プラグド)= プラグを挿す。 プラグイン。
電気楽器には、
演奏必要不可欠なプラグ配線を差し込み口に挿すということだ。
そして、その逆が、Unplugged(アンプラグド)。
そのプラグを抜くという意味で、
ジョン・ボン・ジョヴィとリッチー・サンボラの発案で、
1989年に放送開始されたアコースティック中心の“生”の
楽器演奏スタイルを基調にしたライブ・プログラムだ。
まず本作を紹介するにあたって、
91年3月に彼の身に降りかかった大きな悲劇を語っておく必要がある。
「24 NIGHTS」の音源となった、
24回のロイヤル・アルバート・ホールでの公演が終了した直後、
実の息子である当時4才のコナー君がニューヨークのマンションの
バルコニーから転落死するという不慮の事故が発生してしまう。
ただでさえ前年(90年)の8月には、
交流の深かった名ブルース・ギタリストであるスティーヴィー・レイ・ヴォーンが
事故死し、胸を痛めていたクラプトンだっただけに
更なる追い打ちをかける、この最愛の息子の悲劇が、
彼にどれほどのショックをもたらしたかは想像を絶する。
それからクラプトンは、
アコースティック・ギターを手にすることが多くなったという。
息子を亡くした事故以後、
その傷心を癒やすため休暇を取っていたクラプトンは、
マネージャー所有のヨット「SIGNE(シグネ)号」の船上で曲を書いていった。
(このアルバムのオープニングのインスト曲のタイトルにもなった)
すると、
自然と彼の中からオリジナル曲もいくつか生まれていくことに。

そうして書かれた一曲が、
今や彼の代表曲として知られている“Tears In Heaven”。
コナー君に捧げた、あまりに切なくも、力強いメモリー・ソング。
息子の死を受け入れて、その後の人生を歩んでいけるきっかけとなった曲。
この曲が書けなければ、今のクラプトンはなかっただろう。
(これは予想の域だけど、
Aメロとサビはクラプトンが書き上げてると思うけど、
繋ぎの部分は、ウィル・ジェニングスがサポートしたんじゃないかなと。
彼は、ラス・タイトルマンの右腕的ソングライターで、共作クレジットにもなってる)
サントラ盤「RUSH」で既に発表済みで、
シングル・チャート全米2位の大ヒットもしたが、
この「UNPLUGGGED」で、更に脚光を浴び、クローズアップされることになる。
バックを務めたのは、
ネイザン・イースト(ベース)、スティーヴ・フェローン(ドラムス)
のお馴染みのメンバーに加え、
今やローリング・ストーンズのツアー・メンバーとして
名を馳せるチャック・リーヴェル(オルガン)、レイ・クーパー(パーカッション)、
そして、アンディ・フェアウェザー・ロウ(ギター)を右手に添えて、
ケイティ・キッスーンとテッサ・ナイルズ(バック・ヴォーカル)の7人編成。
クラプトンとアンディのギターは、ピックアップを使用せず、
弦にマイクを近づけて音を拾うという、完全な“アンプラグド”録音だった。
(“Unplugged”とはいうものの、チャック・リーヴェルのオルガンだけは、
“Plug In”だったが、素晴らしいアクセントだったんで、全然OKでしょう)
クラプトンが選択したアコギは、
ヴィンテージもののマーティン 000-42という名器。
他にも、リゾネーター・ギター、ナイロン弦・ガットギター、
12弦マーティンなど、素晴らしい名器を披露した。
彼は元来、フィンガーピッカーじゃないんで、
アコギでも殆どピックを使って弾いている。
しかしここでは、流暢で見事なフィンガー・ピッキングを披露している。
失礼承知なんですが、彼がここまで綺麗に“爪弾ける”とは、
少し驚いてしまった。
この理由は「指で弾いたら、良い音がしたからさ」と当時のインタビューで、
クラプトン本人が語っていますが、
彼のプレイの幅が更に奥深くなったのも大きい。

1992年1月16日、ロンドン郊外のプレイ・スタジオにて、
MTVの看板企画番組の収録が約2時間に渡り、録り行われた。
収録セットリストはこうだ。
Signe (take1)
Before You Accuse Me
Hey Hey
Tears In Heaven (take1) ※
Circus Left Town ※
Lonely Stranger
Nobody Knows You When You're Down And Out
Layla
Signe (take2) ※
My father's Eyes (take1) ※
Running On Faith (take1) ※
Walking Blues (take1) ※
Alberta
San Francisco Bay Blues (take1) ※
Malted Milk (take1) ※
Signe (take3) ※
Tears In Heaven (take2)
My Father's Eyes (take2) ※
Rollin' And Tumblin'
Running On Faith (take2)
Walking Blues (take2)
San Francisco Bay Blues (take2)
Malted Milk (take2)
Worried Life Blues ※
Old Love ※は、アルバム未収録
この完全収録盤は、
海賊版で多く出回っているので、耳にすることも可能だが
実にリラックスして、落ち着いた雰囲気の中、収録されたことがわかる。
シグネ号で書かれたオリジナル曲“My Father's Eyes”と
“Circus(Left Town)”はここで初披露された。
この初期のアコースティック・アレンジの出来は秀逸。
このまま“オクラ”にするのが惜しいほど素晴らしいけど、
息子とのメモリアル・アルバムになる、次回作「PILGRIM」で
収録する予定だったようで、この2曲は
オフィシャル化は持ち越されてしまうことになる。

オープニングの“Signe”で、
軽やかなスリー・フィンガーの流麗な音色を生かした
サンバ調のインストゥルメンタル小品でスタート。
まずは肩慣らしといったとこ。
今回、シグネ号で書かれたオリジナル曲は、あと“Lonely Stranger”もそう。
歩むべき姿を宣言する、
力強いセルフ・エンカレッジ(自らを勇気づける)・ソングだ。
やはり半分以上は、
古いブルース・トラディショナルで占められている。
ギターを握り始めた少年時代のクラプトンが、
必死にコピーして練習した曲ばかり。
ボ・ディドリーの“Before You Accuse Me”や、
クリームの頃やったマディ・ウォーターズの“Rollin And Tumblin'”なんかは、
余裕綽綽。 なかなか手慣れたもの。
私の個人的には、
ドミノス時代にもやった“Nobody Knows You When You're Down And Out”が、
実に洒落てて、ジャジーなアレンジが心地よく、一番のハイライト。
酒が旨い。
(ギター・ソロでピックに持ち替えるあたりは、切り換えが上手いんだ、コレ)
マディ・ウォーターズで有名な“Walkin' Blues”も、
アコギ一本で渋く表現できるのはさすがだし、
ラグタイム風でキメる“Alberta”や、シャッフル・アレンジが軽快な
クラプトン自らカズーを吹いて歌う“San Francisco Bay Blues”なんかでは、
チャック・リーヴェルのオルガンも聴き物だし、
バンド・アンサンブルも見事。
クラプトンが愛され続ける理由の一つは、
とかく難しそうなブルースの敷居を下げて、
我々にも、聴きやすく導いてくれたところだ。
忘れちゃいけないのが、“Layla”だろう。
これには、意表を衝かれました。
ワンオクターブ下げて、
シャッフルっぽく4ビートにトーン・アレンジしただけで、
こんなに新鮮味があふれ、感動を与えるのだ。
狂おしく感情まかせにシャウトする
オリジナルもいいけど、ゆっくり心の内側を曝け出すように
切々と歌うのもいい。
「JOURNEYMAN」収録の“Old Love”も歌われているが、
アコースティックの響きが恋人を失った男のリアリティを浮かび上がらせる。
まるで、傷を癒すかのように。

長いキャリアを経ても、
少年の頃と同じスタンスでブルースを歌う純粋なクラプトン。
幼い息子を失うという悲劇を、
音楽を作り続けることで自らを救った強いクラプトン。
しかし、過去の女々しい横恋慕ソングを、
いつまでも歌ってしまう弱いクラプトン。
1年前は、上下ベルサーチを身に纏い、
リリシズムにあふれ、破綻なき完璧な演奏で
オーディエンスは、ただひれ伏すのみの、
まさに“神”が降臨したステージングだった。
しかし、ここは、まるでリヴィング・ルームで普段着のまま、
アコギを爪弾くような親近感と優しさに包まれた空間で満ち溢れている。
“神”との距離が極端に近くなった瞬間でもある。
ただ歌いたかっただけなのだ。
弾きたかっただけなのだ。
このアルバムの一番素敵な点は、
そんな”ナチュラル(自然体)”そのまま、
ありのまま、等身大のクラプトンしかいないところだ。
クスリから救えるのは真の友達?
ERIC CLAPTON'S RAINBOW CONCERT

(Original Released)
Badge
Roll It Over
Presence Of The Lord
Pearly Queen
After Midnight
Little Wing

('95 Remasterd Released)
Layla
Badge
Blues Power
Roll It Over
Little Wing
Bottle Of Red Wine
After Midnight
Bell Bottom Blues
Presence Of The Lord
Tell The Truth
Pearly Queen
Key To The Highway
Let It Rain
Crossroads
世間を騒がせた、例の“覚せい剤”の話。 新事実が、毎日続々と・・。
いまだに、ニュースや紙面を賑わせております。
正直、もう、うんざりなとこなんだけど、 やっぱ、避けては通れません。
いかんものは、絶対いかん!!!!
もいちど、言います。
いかんものは、絶対いかん!!!!
罪の重さは、殺人と同じくらいに、人として絶対やってはならないこと。
思えば、この“ギターの神様”と呼ばれる彼も、一時は、目も当てられないほど、
ひどいジャンキー(ドラック中毒者)だった・・。
クスリの話から、ブログ再開して、約3年振りのクラプトンの話をするのは、
今現在の彼の活躍ぶり、達者ぶりからして、誠に失礼だとは思うんだけど、
重度のヘロイン中毒だった彼を、何とか救うきっかけを与えるために、
動いてくれた仲間や、真の友達がいた・・。
当時のクラプトンの状況は最悪の一言。
まず、ドミノスがセカンド・アルバム制作中、メンバーの衝突で空中分解になり、
輪をかけるように、親友のデュアン“スカイドッグ”オールマンが、バイク事故で他界。
失意のどん底に。 また当時はジョージ・ハリスンの妻だったパティ・ボイドに対する
猛烈な“横恋慕”に、 プラス。育ての親代りだった祖父の死もあったりと・・・。
耐えられなくなり、ヘロインに頼って逃げてしまうわけです。 (同情の余地はあるが)
自宅に引きこもり、ヘロインに明け暮れる彼を、「一度ステージに立ってみろ」と、
けしかけたのは、ピート・タウンゼント(ザ・フー)で、そのカムバック計画というのは、
イギリスのEC参加を祝う「ファンファーレ・フォー・ヨーロッパ」のイベントの一環で、
ロンドンのレインボー・シアターで行われるコンサートの、ピートが集めたバンドに、
クラプトンを担ぎ出してやろうというもの。 公のステージで復活、演奏すれば、
悪い習慣も断つきっかけになるだろうとの考えからだった。
その仲間たちってのが、ピート・タウンゼント(ギター)を筆頭に、
もう一人のギタリストにロン・ウッド(現ストーンズ)、ベースにリック・グレッチ
ドラムにジム・キャパルディとジミー・カーシュタイン。 リボップのパーカッション。
そして、キーボードとヴォーカルが盟友スティーヴ・ウィンウッド。
簡単に言えば。ピート+ロン+トラフィックというバンド構成だ。

73年1月13日、レインボー・シアターでの2回のステージをパッケージングしたのが、
コレ。 ただ私自身、これを初めて聴いた時は、継ぎ接ぎした6曲で35分くらいの
中途半端さもあったけど、モコモコとした音質の悪さに、以後あまり耳するライブ盤
ではなく、歴史上重要な記録程度の思い入れしかなかった。
(音が悪かった理由は、ステージ上には十分なマイクの数が足りていても、
8トラック録音のため、(あのメンバーの数ではトラック数がとても足りません)
ドラム2台とベースが同じトラックに入ってしまって、ミックスダウンが困難に。
ブートみたいな、オーディエンス録音と変わらない音質に陥ってしまったワケ)
しかし時を経て、録音技術、リマスタリング技術の発展に伴い、95年に、この
歴史的ステージのマスターテープからの修復作業により、音質がクリアになり、
臨場感あふれるステージの全貌が(完全ではないけど)、明らかになった。
(曲もセットリスト順にして、8曲追加)
これが出てからは、コレばっか。 魅力を再発見。 そんなに悪くない、コレ。
まずオープニングの“Layla”。 危なっかしい。 ゆるいんだ、コレが。
今じゃ、ステージ・ハイライトとして、計算し尽くされ確立したリリシズムあふれる
“Layla”に聴き慣れてしまってるんで、 失礼を承知で言わせてもらうと、
ヘタウマの“Layla”の魅力がここにある。 (このルーズさがたまらん)
当の本人は声の線も細く、ヨレヨレなんで、あのドミノス版での狂おしい愛の叫び
のカケラもないんだけど、(この時はパティへの心情は歌のまま。 心じゃ叫んでる)
一生懸命にバックアップするメンバーのおかげで、この名演、いや、“迷演”がある。
亡きデュアンに成り替わろうと必死のロンのスライドの頑張りに、
ゆる~く割って入るも、ビシっと決めるクラプトンのソロに、(ピートは控えぎみ)
腐っても何とかじゃないけど、“格”の違いを感じさせる。
サビで炸裂するコーラスはオーヴァーダブによる加工品だけど、
ピアノ・ソロまできっちり演奏され、オクラにしてたのは余りにもったいなかった。
(初めから、2枚組にして出すべきじゃなかったかと。)
この“Layla”もそうだが、ボツになってて、日の目を見たナンバーが実に興味深い。
ドミノスの“Roll It Over”あたりから、エンジンかかってきて、周りが生み出す
独特のグルーヴの渦に、彼もようやく馴染んできて、その微妙な“ヨタレ加減”も、
グルーヴに変える。 1回目のステージのみだった“Bell Bottom Blues”の
自信なさそうな、か細いヴォーカルも今じゃ貴重。 (ただソロは編集跡あり・・。)
”Key To The Highway”のロンに負けない、ピートのスライドもかなりのもんだし。
“Crossroads”も、クリームのハード型じゃなく、ブルース・ベースのミドル型で
(80年代中期によくプレイしたスタイル)、アレンジしてたりもする。
マニアックなとこなら、この日以降彼の“愛器”となる改造ヴィンテージ・ストラトの
ブラッキーの初お目見えしたショーで、チェリー・レッドのレスポール・スタンダード
(ホワイト・アルバムのセッションでジョージに譲ったのを、また借りて使用。)
との、トーンの違いが分かる。 1回目の方を収録した“Little Wing”と、
“ベルボトム”と“After Midnight”。 それから、“Let It Rain”のギター・ソロで、
弦が切れてしまって、パーカッション・ソロでギターを替えてからやった以降は、
ブラッキー。 (ほとんどはレスポールの音)
曲によって、その個性を際立たせるクラプトンは、とてもドラッグ中毒とは思えない。
この日はミスも連発するけど、 さすがは、神様です。
しかし、こんな凄い仲間の“応援”があったにも関わらず、このライブが終わっても、
彼は自宅に引きこもり、再びヘロインに塗れた悶々とした日々に明け暮れる。
彼がヘロインから断ち切れたのは、体調面、生活環境面、財政面から、
考えざるを得なくなり、当時の恋人で共にジャンキー化していたアリスの
父の紹介による、女性神経外科医の過酷な治療プログラムによるもので、
ヘロインには克服に成功するが、 農場でのリハビリが始まった途端、
別の"モノ”に乗り換えてしまい、再び依存していくのだけれど・・。)
もともと、天真爛漫なんだけど、気難しい。 甘えん坊だし、子供っぽいとこも。
面倒くさい奴なんだけど、放っておけない。 そんな人なんです、クラプトンって。
だから、彼の周りには、ほんとに“いいヤツ”がいた。
これから後にやってくる、幾度の失意にも、必ず近くに“いい奴”がいた。
それを、忘れちゃいけない。 そして、今の彼がいることを・・。
追伸。
先日、ロックギターの名器を発明し、自身の名で愛された“エレキギターの父”
である、レス・ポール氏が永眠されました。 94歳でした。
クラプトンは、いち早く、この名器を有名にし、マーシャル・アンプとの組み合わせ
によるディストーション・サウンドで、ロック・サウンドの基本を作り上げました。
この名器を、愛したギタリストは数知れず・・。
彼をはじめ、ポール、ジョージ、ジミー・ペイジ、ベック、キース、ミック・テイラー、
コゾフ、ジョー・ペリー、スラッシュ・・・・。 う~ん、書ききれない・・・。
あなたがいなければ、 今日のROCKはありませんでした。
心よりご冥福をお祈りいたします。 合掌。

(Original Released)
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Presence Of The Lord
Pearly Queen
After Midnight
Little Wing

('95 Remasterd Released)
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Blues Power
Roll It Over
Little Wing
Bottle Of Red Wine
After Midnight
Bell Bottom Blues
Presence Of The Lord
Tell The Truth
Pearly Queen
Key To The Highway
Let It Rain
Crossroads
世間を騒がせた、例の“覚せい剤”の話。 新事実が、毎日続々と・・。
いまだに、ニュースや紙面を賑わせております。
正直、もう、うんざりなとこなんだけど、 やっぱ、避けては通れません。
いかんものは、絶対いかん!!!!
もいちど、言います。
いかんものは、絶対いかん!!!!
罪の重さは、殺人と同じくらいに、人として絶対やってはならないこと。
思えば、この“ギターの神様”と呼ばれる彼も、一時は、目も当てられないほど、
ひどいジャンキー(ドラック中毒者)だった・・。
クスリの話から、ブログ再開して、約3年振りのクラプトンの話をするのは、
今現在の彼の活躍ぶり、達者ぶりからして、誠に失礼だとは思うんだけど、
重度のヘロイン中毒だった彼を、何とか救うきっかけを与えるために、
動いてくれた仲間や、真の友達がいた・・。
当時のクラプトンの状況は最悪の一言。
まず、ドミノスがセカンド・アルバム制作中、メンバーの衝突で空中分解になり、
輪をかけるように、親友のデュアン“スカイドッグ”オールマンが、バイク事故で他界。
失意のどん底に。 また当時はジョージ・ハリスンの妻だったパティ・ボイドに対する
猛烈な“横恋慕”に、 プラス。育ての親代りだった祖父の死もあったりと・・・。
耐えられなくなり、ヘロインに頼って逃げてしまうわけです。 (同情の余地はあるが)
自宅に引きこもり、ヘロインに明け暮れる彼を、「一度ステージに立ってみろ」と、
けしかけたのは、ピート・タウンゼント(ザ・フー)で、そのカムバック計画というのは、
イギリスのEC参加を祝う「ファンファーレ・フォー・ヨーロッパ」のイベントの一環で、
ロンドンのレインボー・シアターで行われるコンサートの、ピートが集めたバンドに、
クラプトンを担ぎ出してやろうというもの。 公のステージで復活、演奏すれば、
悪い習慣も断つきっかけになるだろうとの考えからだった。
その仲間たちってのが、ピート・タウンゼント(ギター)を筆頭に、
もう一人のギタリストにロン・ウッド(現ストーンズ)、ベースにリック・グレッチ
ドラムにジム・キャパルディとジミー・カーシュタイン。 リボップのパーカッション。
そして、キーボードとヴォーカルが盟友スティーヴ・ウィンウッド。
簡単に言えば。ピート+ロン+トラフィックというバンド構成だ。

73年1月13日、レインボー・シアターでの2回のステージをパッケージングしたのが、
コレ。 ただ私自身、これを初めて聴いた時は、継ぎ接ぎした6曲で35分くらいの
中途半端さもあったけど、モコモコとした音質の悪さに、以後あまり耳するライブ盤
ではなく、歴史上重要な記録程度の思い入れしかなかった。
(音が悪かった理由は、ステージ上には十分なマイクの数が足りていても、
8トラック録音のため、(あのメンバーの数ではトラック数がとても足りません)
ドラム2台とベースが同じトラックに入ってしまって、ミックスダウンが困難に。
ブートみたいな、オーディエンス録音と変わらない音質に陥ってしまったワケ)
しかし時を経て、録音技術、リマスタリング技術の発展に伴い、95年に、この
歴史的ステージのマスターテープからの修復作業により、音質がクリアになり、
臨場感あふれるステージの全貌が(完全ではないけど)、明らかになった。
(曲もセットリスト順にして、8曲追加)
これが出てからは、コレばっか。 魅力を再発見。 そんなに悪くない、コレ。
まずオープニングの“Layla”。 危なっかしい。 ゆるいんだ、コレが。
今じゃ、ステージ・ハイライトとして、計算し尽くされ確立したリリシズムあふれる
“Layla”に聴き慣れてしまってるんで、 失礼を承知で言わせてもらうと、
ヘタウマの“Layla”の魅力がここにある。 (このルーズさがたまらん)
当の本人は声の線も細く、ヨレヨレなんで、あのドミノス版での狂おしい愛の叫び
のカケラもないんだけど、(この時はパティへの心情は歌のまま。 心じゃ叫んでる)
一生懸命にバックアップするメンバーのおかげで、この名演、いや、“迷演”がある。
亡きデュアンに成り替わろうと必死のロンのスライドの頑張りに、
ゆる~く割って入るも、ビシっと決めるクラプトンのソロに、(ピートは控えぎみ)
腐っても何とかじゃないけど、“格”の違いを感じさせる。
サビで炸裂するコーラスはオーヴァーダブによる加工品だけど、
ピアノ・ソロまできっちり演奏され、オクラにしてたのは余りにもったいなかった。
(初めから、2枚組にして出すべきじゃなかったかと。)
この“Layla”もそうだが、ボツになってて、日の目を見たナンバーが実に興味深い。
ドミノスの“Roll It Over”あたりから、エンジンかかってきて、周りが生み出す
独特のグルーヴの渦に、彼もようやく馴染んできて、その微妙な“ヨタレ加減”も、
グルーヴに変える。 1回目のステージのみだった“Bell Bottom Blues”の
自信なさそうな、か細いヴォーカルも今じゃ貴重。 (ただソロは編集跡あり・・。)
”Key To The Highway”のロンに負けない、ピートのスライドもかなりのもんだし。
“Crossroads”も、クリームのハード型じゃなく、ブルース・ベースのミドル型で
(80年代中期によくプレイしたスタイル)、アレンジしてたりもする。
マニアックなとこなら、この日以降彼の“愛器”となる改造ヴィンテージ・ストラトの
ブラッキーの初お目見えしたショーで、チェリー・レッドのレスポール・スタンダード
(ホワイト・アルバムのセッションでジョージに譲ったのを、また借りて使用。)
との、トーンの違いが分かる。 1回目の方を収録した“Little Wing”と、
“ベルボトム”と“After Midnight”。 それから、“Let It Rain”のギター・ソロで、
弦が切れてしまって、パーカッション・ソロでギターを替えてからやった以降は、
ブラッキー。 (ほとんどはレスポールの音)
曲によって、その個性を際立たせるクラプトンは、とてもドラッグ中毒とは思えない。
この日はミスも連発するけど、 さすがは、神様です。
しかし、こんな凄い仲間の“応援”があったにも関わらず、このライブが終わっても、
彼は自宅に引きこもり、再びヘロインに塗れた悶々とした日々に明け暮れる。
彼がヘロインから断ち切れたのは、体調面、生活環境面、財政面から、
考えざるを得なくなり、当時の恋人で共にジャンキー化していたアリスの
父の紹介による、女性神経外科医の過酷な治療プログラムによるもので、
ヘロインには克服に成功するが、 農場でのリハビリが始まった途端、
別の"モノ”に乗り換えてしまい、再び依存していくのだけれど・・。)
もともと、天真爛漫なんだけど、気難しい。 甘えん坊だし、子供っぽいとこも。
面倒くさい奴なんだけど、放っておけない。 そんな人なんです、クラプトンって。
だから、彼の周りには、ほんとに“いいヤツ”がいた。
これから後にやってくる、幾度の失意にも、必ず近くに“いい奴”がいた。
それを、忘れちゃいけない。 そして、今の彼がいることを・・。
追伸。
先日、ロックギターの名器を発明し、自身の名で愛された“エレキギターの父”
である、レス・ポール氏が永眠されました。 94歳でした。
クラプトンは、いち早く、この名器を有名にし、マーシャル・アンプとの組み合わせ
によるディストーション・サウンドで、ロック・サウンドの基本を作り上げました。
この名器を、愛したギタリストは数知れず・・。
彼をはじめ、ポール、ジョージ、ジミー・ペイジ、ベック、キース、ミック・テイラー、
コゾフ、ジョー・ペリー、スラッシュ・・・・。 う~ん、書ききれない・・・。
あなたがいなければ、 今日のROCKはありませんでした。
心よりご冥福をお祈りいたします。 合掌。
33年目の一期一会。
RIDING WITH THE KING
B.B.KING & ERIC CLAPTON

Riding With The King
Ten Long Years
Key To The Highway
Marry You
Three O'clock Blues
Help The Poor
I Wanna Be
Worried Life Blues
Days Of Old
When My Heart Beats Like A Hammer
Hold On I'm Coming
Come Rain Or Come Shine
“来日記念にかこつけて”じゃないんだけど、 今回もクラプトン・ネタでまいります。
長年見続けた夢が実現する時って、どうなっちゃうんでしょ。
今まで、なぜか人生を漠然と過ごしてきた私にとっては、想像もつかんですよ。
雲の上にいたような人と同じ空間で、しかも、共演できるどころか、
作品をコラボレートできるなんて。
その夢は、CREAM時代にまで遡り、67年にニューヨークで知り合ったのを、
きっかけに、その間に数え切れない共演を繰り返してきた、この二人。
クラプトンの長年のラヴコールの末に、キング御大を迎え入れるまでには、
33年の歳月が流れたそうで。
さすがに待っただけのことあって、最高の内容に仕上がった。
ガチガチに気合の入ったブルース・カヴァー・アルバム「FROM THE CRADLE」で、
オリジナルのあまりの凄さにカヴァーできないと怖気づいていた曲に、
敢えて挑む姿や悲愴感などなくて、御大とプレイできる喜びをメンバー全員で、
分かち合ってるようなムードが伝わってくる。
(ジャケのクラプトンの顔見て。 よほど嬉しかったんでしょ。
あのクラプトンでさえ御大なら、お抱え運転手でもやっちゃうんだもん)
しかし、さすがは超一流。 演奏のテンションの高さは凄まじいものだ。
このアルバムの優れているとこは、御大との単なるブルース・セッションや、
カヴァーに終わらず、強力なオリジナル曲や、カヴァー曲もサム&デイブや、
レイ・チャールズなど、R&Bの曲が含まれているところにある。
ジョン・ハイアットのペンによるタイトル曲での華々しいオープニングを飾り、
また、若手ギタリストのドイル・ブラムホールⅡ世(今回のツアーにも参加)
のペンによる“Marry You”、“I Wanna Be”は、ロックでスリリングな出来だ。
この若手を起用したクラプトンの眼力には、あっぱれの一言。
ブルース・カヴァーは、主に御大が過去に録音している曲で占めているが、
特に、クラプトン馴染みの“Key To The Highway”と“Worried Life Blues”は、
2人ともアコギを握っての共演。 これが実にしっとりしてムード満点だし、
“Ten Long Years”と“When My Heart Beats ~”のヘヴィー・ブルースは、
クラプトンはギターのみでバックに徹する。 ここでのソロも気合込めまくりだ。
(御大は右チャンネルで、クラプトンは左チャンネルで、
ミックス・セパレートされてるんで両者の微妙なタッチや技術を窺える)
「おい、またやろうな」 「ええ、是非やりましょう」
きっとこんな言葉を交わして、二人はこのセッションを終えたことだろう。
アルバム全体から伝わる、穏やかで温かい雰囲気のベースになっているのは、
この二人の強固な信頼関係そのものだ。
33年目の一期一会。
果たして、今後この二人がいつ共演するかはわからないけど、
新旧の超一流ブルースマンが交差した意義は大きい。
“夢は実現してナンボ”なのでしょうな。 (頑張んなきゃ・・)
しかし、クラプトンの果て無き“夢の実現”は止まらない。
11月には、なんと敬愛するJ.J.ケイルとのコラボを発表する。
先の「クロスロード・ギター・フェスティバル」で共演を果たしているが、
御大同様、まさかアルバムを作るまでに発展するとは・・。
“スローハンド”対“Mr.レイドバック”の対決。
ブルースを極めてしまったら、また南部の黄昏を懐かしく思ったのかな。
ツアーのセットリストにしろ、このコラボにしろ、今のクラプトンは、
“BACK TO THE 70's"モードだもんなぁ。

Riding With The King
Ten Long Years
Key To The Highway
Marry You
Three O'clock Blues
Help The Poor
I Wanna Be
Worried Life Blues
Days Of Old
When My Heart Beats Like A Hammer
Hold On I'm Coming
Come Rain Or Come Shine
“来日記念にかこつけて”じゃないんだけど、 今回もクラプトン・ネタでまいります。
長年見続けた夢が実現する時って、どうなっちゃうんでしょ。
今まで、なぜか人生を漠然と過ごしてきた私にとっては、想像もつかんですよ。
雲の上にいたような人と同じ空間で、しかも、共演できるどころか、
作品をコラボレートできるなんて。
その夢は、CREAM時代にまで遡り、67年にニューヨークで知り合ったのを、
きっかけに、その間に数え切れない共演を繰り返してきた、この二人。
クラプトンの長年のラヴコールの末に、キング御大を迎え入れるまでには、
33年の歳月が流れたそうで。
さすがに待っただけのことあって、最高の内容に仕上がった。
ガチガチに気合の入ったブルース・カヴァー・アルバム「FROM THE CRADLE」で、
オリジナルのあまりの凄さにカヴァーできないと怖気づいていた曲に、
敢えて挑む姿や悲愴感などなくて、御大とプレイできる喜びをメンバー全員で、
分かち合ってるようなムードが伝わってくる。
(ジャケのクラプトンの顔見て。 よほど嬉しかったんでしょ。
あのクラプトンでさえ御大なら、お抱え運転手でもやっちゃうんだもん)
しかし、さすがは超一流。 演奏のテンションの高さは凄まじいものだ。
このアルバムの優れているとこは、御大との単なるブルース・セッションや、
カヴァーに終わらず、強力なオリジナル曲や、カヴァー曲もサム&デイブや、
レイ・チャールズなど、R&Bの曲が含まれているところにある。
ジョン・ハイアットのペンによるタイトル曲での華々しいオープニングを飾り、
また、若手ギタリストのドイル・ブラムホールⅡ世(今回のツアーにも参加)
のペンによる“Marry You”、“I Wanna Be”は、ロックでスリリングな出来だ。
この若手を起用したクラプトンの眼力には、あっぱれの一言。
ブルース・カヴァーは、主に御大が過去に録音している曲で占めているが、
特に、クラプトン馴染みの“Key To The Highway”と“Worried Life Blues”は、
2人ともアコギを握っての共演。 これが実にしっとりしてムード満点だし、
“Ten Long Years”と“When My Heart Beats ~”のヘヴィー・ブルースは、
クラプトンはギターのみでバックに徹する。 ここでのソロも気合込めまくりだ。
(御大は右チャンネルで、クラプトンは左チャンネルで、
ミックス・セパレートされてるんで両者の微妙なタッチや技術を窺える)
「おい、またやろうな」 「ええ、是非やりましょう」
きっとこんな言葉を交わして、二人はこのセッションを終えたことだろう。
アルバム全体から伝わる、穏やかで温かい雰囲気のベースになっているのは、
この二人の強固な信頼関係そのものだ。
33年目の一期一会。
果たして、今後この二人がいつ共演するかはわからないけど、
新旧の超一流ブルースマンが交差した意義は大きい。
“夢は実現してナンボ”なのでしょうな。 (頑張んなきゃ・・)
しかし、クラプトンの果て無き“夢の実現”は止まらない。
11月には、なんと敬愛するJ.J.ケイルとのコラボを発表する。
先の「クロスロード・ギター・フェスティバル」で共演を果たしているが、
御大同様、まさかアルバムを作るまでに発展するとは・・。
“スローハンド”対“Mr.レイドバック”の対決。
ブルースを極めてしまったら、また南部の黄昏を懐かしく思ったのかな。
ツアーのセットリストにしろ、このコラボにしろ、今のクラプトンは、
“BACK TO THE 70's"モードだもんなぁ。
神がギラギラしてたあの頃。
JOURNEYMAN ERIC CLAPTPN

Pretending
Anything For Your Love
Bad Love
Running On Faith
Hard Times
Hound Dog
No Alibis
Run So Far
Breaking Point
Lead Me On
Before You Accuse Me
休み明けの一発目、何にしようかと思いましたが、
3年振りの来日が決まった、クラプトンにしました。
ロックの偉人の中でも、彼ほど“日本”に来てくれる人はいないだろうなぁ。
ツアーをやるたび、必ず来日してくれるもんなぁ。(復活CREAMは残念だったけど)
91年に、あのライブに消極的だったジョージ・ハリスンを、
「日本のオーディエンスなら、きっとうまくいくよ。」と口説き落として、
来日公演を実現させたのは、クラプトンだったから、
よほど、日本のファンを心得ていてくれるんでしょう。
幸せなことです。 あぁ、“神”に感謝。
今年の5月から、欧州ツアーが始まってますが、今回はとても興味深い内容のようだ。
昨年出た「BACK HOME」に伴うツアーだけど、まずバック・メンバーに、
長年連れ添ったネイザン・イースト(b)や、スティーヴ・ガット(ds)の名前がなく、
ずっと左側で支えていたアンディ・フェアウェザー・ロー(g)さえいない。
なんと、メンバーをガラリと一新して、ウィリー・ウィークス(b)や、
スティーヴ・ジョーダン(ds)のグルーヴ系の名手のリズム隊に、
「RIDING WITH THE KING」で起用した左利きのドイル・ブラムホール2世(g)と、
オールマン・ブラザーズから、デレク・トラックス(g)がサイドを固める布陣に。
いやぁ~、意欲を感じるなぁ。(あの歳でも若手とヤり合う気力マンマンだもん)
これは、かなりグルーヴィーな演奏になりそうだ。
それは、セット・リストを見ても明らかだ。
久しくプレイしてなかった“Everybody Oughta Make A Change”や
“Motherless Children”、“After Midnight”なんかを基本セットに入れて、
アコ・セットでは、「LAYLA」から“I Am Yours”と“Nobody Knows You ~”に、
(ツアー当初は“Anyday”も演奏してたみたい)
“Back Home”に“Running On Faith”と、もう“Tears In Heaven”や、
“Change The World”は飽きちゃったみたいだし、
最近は、後半に“Further On Up The Road”を持ってきてる日が多いようで、
70年代から現代まで幅広く、グルーヴが重視された曲を演ってくれてるようだ。
そんな今回のツアーのオープニングを飾るのが、このアルバムと同じ、
“Pretending”だ。 (これも久々にプレイ!)
ワイルドなワウワウが力強いこの曲を頭にもってくるとこからして、
“つかみ”は十分。 盛り上がらないわけがない。
ツアーの話が長くなったが、この作品のリリース('89年)当時の彼は、
ロング・ヘアーにベルサーチのスーツを着こなして、キャリアの中でも、
一番脂の乗ってた時期。 ヴォーカルも円熟味が出てきて、プレイも変幻自在。
アコギなんて見向きもせず、ブラッキーを時にはメロウに、時にはブルージーに、
そして時には火の出るように激しく、“泣かせまくってた。”
このアルバムの制作の頃、もともとはブルースのオール・カヴァー・アルバムを、
考えてたそうだ。
(道理で、オリジナル曲も外部に頼ってしまってるし、それにカヴァーを少々という内容。
やっぱ、かなりソングライティングに行き詰ってたんだろうなぁ。)
しかし、プロデューサーにラス・タイトルマンを初めて起用した手前、
行き詰った状況を彼の手腕に託そうと、ゲストも豪華にいっぱい呼んで、
セッションを開始。 「ブルース・カヴァー・アルバム」は次にとっておくことにした。
だから、曲は正直“やっつけ仕事”っぽい感じが多い。
“Layla”のイントロと“Badge”のブリッジを足して割ったような、
“Bad Love”は、ヒット狙いすぎだし、ロバート・クレイと膝突き合わせて、
でっち上げた“Old Love”(それにしてはイイ出来)や、
やたら派手にドタバタしてる“No Alibis”や、
ハリスン作の“Run So Far”は、どうもクラプトンには合ってない感じだし、
カヴァー曲の意外性もあって、バラバラな感じがするんでけど、
タイトルマンがゲストを適材適所で起用、うまく統一感を生み出している。
当のクラプトンのプレイは、言うことなし。
ワウワウはもちろん、タメにタメた超人的チョーキング・プレイや
ブルース・フィーリングは、もう鉄人の域。
80年代のシンセの音の海の中でも、けっして溺れることなんてない。
そう、ギラギラとしてたんだ。 プレイも魂も。
しかし、ギラギラしてたのはここまで。
あの“事故”をきっかけに、内省的な心のスタンスをとっていき、
そして、新たな道を歩んで大成功に繋がっていく。
それは、装飾を剥ぎ取りシンプルに自己を表現していく。
アコースティックを握り直したのは、きっと自然な流れだったのかな。
あの曲がなければ、彼は立ち直ることができなかったのだから。
今回のツアーでは、その曲はセット・リストからはずれている。
もう飽きちゃったんのではと、冒頭に書いたけど、
もう歌う必要がなくなったんだろう。
新たな幸せを掴んだ今の彼の姿こそ、コナー君の最大の供養。
頭の隅に残ってた、CREAMの仲間との再会も果たせ、
後は、己の歴史を振り返るも、ブルースを探求するも、新たな領域に挑戦するも、
自由だ!! もう何も言うことはなかろう。
過去の「もうライブはやらない」発言なんて、どこ吹く風。
還暦すぎても、この意欲とポジティヴな魂。
恐るべし現役。 頭が下がります。
プレイすることに喜びを知る“神”ほど強いものはない。
今の“神”は枯れてなお、ギラギラしてるのかも。

Pretending
Anything For Your Love
Bad Love
Running On Faith
Hard Times
Hound Dog
No Alibis
Run So Far
Breaking Point
Lead Me On
Before You Accuse Me
休み明けの一発目、何にしようかと思いましたが、
3年振りの来日が決まった、クラプトンにしました。
ロックの偉人の中でも、彼ほど“日本”に来てくれる人はいないだろうなぁ。
ツアーをやるたび、必ず来日してくれるもんなぁ。(復活CREAMは残念だったけど)
91年に、あのライブに消極的だったジョージ・ハリスンを、
「日本のオーディエンスなら、きっとうまくいくよ。」と口説き落として、
来日公演を実現させたのは、クラプトンだったから、
よほど、日本のファンを心得ていてくれるんでしょう。
幸せなことです。 あぁ、“神”に感謝。
今年の5月から、欧州ツアーが始まってますが、今回はとても興味深い内容のようだ。
昨年出た「BACK HOME」に伴うツアーだけど、まずバック・メンバーに、
長年連れ添ったネイザン・イースト(b)や、スティーヴ・ガット(ds)の名前がなく、
ずっと左側で支えていたアンディ・フェアウェザー・ロー(g)さえいない。
なんと、メンバーをガラリと一新して、ウィリー・ウィークス(b)や、
スティーヴ・ジョーダン(ds)のグルーヴ系の名手のリズム隊に、
「RIDING WITH THE KING」で起用した左利きのドイル・ブラムホール2世(g)と、
オールマン・ブラザーズから、デレク・トラックス(g)がサイドを固める布陣に。
いやぁ~、意欲を感じるなぁ。(あの歳でも若手とヤり合う気力マンマンだもん)
これは、かなりグルーヴィーな演奏になりそうだ。
それは、セット・リストを見ても明らかだ。
久しくプレイしてなかった“Everybody Oughta Make A Change”や
“Motherless Children”、“After Midnight”なんかを基本セットに入れて、
アコ・セットでは、「LAYLA」から“I Am Yours”と“Nobody Knows You ~”に、
(ツアー当初は“Anyday”も演奏してたみたい)
“Back Home”に“Running On Faith”と、もう“Tears In Heaven”や、
“Change The World”は飽きちゃったみたいだし、
最近は、後半に“Further On Up The Road”を持ってきてる日が多いようで、
70年代から現代まで幅広く、グルーヴが重視された曲を演ってくれてるようだ。
そんな今回のツアーのオープニングを飾るのが、このアルバムと同じ、
“Pretending”だ。 (これも久々にプレイ!)
ワイルドなワウワウが力強いこの曲を頭にもってくるとこからして、
“つかみ”は十分。 盛り上がらないわけがない。
ツアーの話が長くなったが、この作品のリリース('89年)当時の彼は、
ロング・ヘアーにベルサーチのスーツを着こなして、キャリアの中でも、
一番脂の乗ってた時期。 ヴォーカルも円熟味が出てきて、プレイも変幻自在。
アコギなんて見向きもせず、ブラッキーを時にはメロウに、時にはブルージーに、
そして時には火の出るように激しく、“泣かせまくってた。”
このアルバムの制作の頃、もともとはブルースのオール・カヴァー・アルバムを、
考えてたそうだ。
(道理で、オリジナル曲も外部に頼ってしまってるし、それにカヴァーを少々という内容。
やっぱ、かなりソングライティングに行き詰ってたんだろうなぁ。)
しかし、プロデューサーにラス・タイトルマンを初めて起用した手前、
行き詰った状況を彼の手腕に託そうと、ゲストも豪華にいっぱい呼んで、
セッションを開始。 「ブルース・カヴァー・アルバム」は次にとっておくことにした。
だから、曲は正直“やっつけ仕事”っぽい感じが多い。
“Layla”のイントロと“Badge”のブリッジを足して割ったような、
“Bad Love”は、ヒット狙いすぎだし、ロバート・クレイと膝突き合わせて、
でっち上げた“Old Love”(それにしてはイイ出来)や、
やたら派手にドタバタしてる“No Alibis”や、
ハリスン作の“Run So Far”は、どうもクラプトンには合ってない感じだし、
カヴァー曲の意外性もあって、バラバラな感じがするんでけど、
タイトルマンがゲストを適材適所で起用、うまく統一感を生み出している。
当のクラプトンのプレイは、言うことなし。
ワウワウはもちろん、タメにタメた超人的チョーキング・プレイや
ブルース・フィーリングは、もう鉄人の域。
80年代のシンセの音の海の中でも、けっして溺れることなんてない。
そう、ギラギラとしてたんだ。 プレイも魂も。
しかし、ギラギラしてたのはここまで。
あの“事故”をきっかけに、内省的な心のスタンスをとっていき、
そして、新たな道を歩んで大成功に繋がっていく。
それは、装飾を剥ぎ取りシンプルに自己を表現していく。
アコースティックを握り直したのは、きっと自然な流れだったのかな。
あの曲がなければ、彼は立ち直ることができなかったのだから。
今回のツアーでは、その曲はセット・リストからはずれている。
もう飽きちゃったんのではと、冒頭に書いたけど、
もう歌う必要がなくなったんだろう。
新たな幸せを掴んだ今の彼の姿こそ、コナー君の最大の供養。
頭の隅に残ってた、CREAMの仲間との再会も果たせ、
後は、己の歴史を振り返るも、ブルースを探求するも、新たな領域に挑戦するも、
自由だ!! もう何も言うことはなかろう。
過去の「もうライブはやらない」発言なんて、どこ吹く風。
還暦すぎても、この意欲とポジティヴな魂。
恐るべし現役。 頭が下がります。
プレイすることに喜びを知る“神”ほど強いものはない。
今の“神”は枯れてなお、ギラギラしてるのかも。
米国発、英国色限りなくゼロ。
MONEY AND CIGARETTES
ERIC CLAPTON

Everybody Oughta Make A Change
The Shape You're In
Ain't Going Down
I've Got A Rock'n Roll Heart
Man Overboard
Pretty Girl
Man In Love
Crosscut Saw
Slow Down Linda
Crazy Coutry Hop
そろそろ、クラプトンを書かなきゃ。
わざわざカテゴリー作っといても、放置状態ではいけません。
(とはいえ、他のアーチストもそんな状態なんですが・・)
このブログも、なんだか週刊化してきたことも反省しつつ、
今日は、クラプトンを大いに語ろう。
ただ今回は、「LAYLA」のような名盤を書くより、
あまり注目されないんだけど、放っておいてはいけない作品にしようかなと。
ウ~ン。 では、どれにしようか悩んだ末、今回はコレにしました。
82年、RSO(ポリドール)から、ワーナー/リプリーズへ移籍して、
自身のDUCKレーベルも設立し、その第1弾がコレ。
しかし、どうも評価が低いというか、なんかパッとしないだよなぁ。
ただ理由はわかる。
まず、あまり売れなかったし、“これだ”っていう代表曲がない。
それと、クラプトンの鬼気迫るギター・プレイもなく、
期待した諸氏には、イマイチの反応だったようで。
やはり英国人のクラプトンにとって、ブルースへのアプローチは、
(というより、ブルースマンになりきるためには)
生誕の国アメリカでプレイすることであり、アメリカ人と共演することが一番。
だから、英国人のクラプトンにとっては誇りもあるが、ジレンマもあったのでは。
79年の武道館ライブの名盤「JUST ONE NIGHT」でのバンドは全員英国人だった。
「あのバンドでは、ブルースがプレイできなかった」という発言があるように、
アルバート・リー(g、Key)を除いて、全員クビにして、
敏腕トム・ダウドのもと、新たにアメリカ人の名セッション・プレイヤーである、
ドナルド・“ダック”・ダン(b)やロジャー・ホーキンス(ds)らに、
ライ・クーダー(g)をゲストに迎え、バハマでレコーディングに臨んだ。
しかし、ここでのクラプトンは、ドミノスにあるような南部アプローチも、
スワンプ臭さは一切なくて、躍動感あるもタイトで心地よい。
そう、生ビールじゃないけど、斬味が優れて、とことん“軽くてドライ”だ。
まず、ノッケのスリーピー・ジョン・エステスのカバー曲こそ、
このアルバムのハイライトといっていい。
ライとクラプトンのスライド合戦が、いきなり楽しめるのだ。
たぶん、オープニングのイントロはクラプトンだけど、
途中、右チャンネルから入ってくるのが、ライのスライドだと思う。
この曲では、クラプトンもボトルネックでプレイしているんで、
分かりずらいところはあるんだけど、ライも独特な味を出しても、前に出過ぎず、
バランスの取れたプレイに徹してるとことが清い。
またクラプトンも、単独で6曲もオリジナルを書き上げて、
やる気マンマンな心構えも伺え、このアルバムのベスト・トラックと言っていい、
“The Shape You're In”での、アルバート・リーとのバトルも聴きモノだし、
これはライのスライドがリードする(クラプトンはフィンガー・ソロに徹する)、
“Man Overboard”も、隠れた名演だし。
また、誠実なラヴ・ソング“Pretty Girl”もいい。
マニアックに聴きたいなら、“Man In Love”みたいなシャッフル・ブギでの、
短くもライのスライドの小気味良さや、“Crosscut Saw”での、クラプトンと、
アルバートとの、チョーキング合戦もじっくり味わえる。
(ギター・マニアしか、わかんないかもしんないけど)
ただ、この路線を行くのはこのアルバムのみで終わってしまい、
(同時に、トム・ダウドのプロデュースもこれ以降なくなる)
次回作はフィル・コリンズと共に、シンセやホーンを多用した、
ポップ路線に変身を遂げることになり、
80年代の“作られた”ような音作りにクラプトンも埋没してしまうことになる。
そんな意味でも、彼のキャリアの中でも、“アメリカン・ロック”してる、
コンパクトな作品として、貴重な作品だと思うし、ライ、アルバートとの、
ギター・バトルを楽しめるだけでも価値は大いにアリだ。
数々の名盤に隠れてしまってるけど、タイトなクラプトンも、
結構イケてますぞ。

Everybody Oughta Make A Change
The Shape You're In
Ain't Going Down
I've Got A Rock'n Roll Heart
Man Overboard
Pretty Girl
Man In Love
Crosscut Saw
Slow Down Linda
Crazy Coutry Hop
そろそろ、クラプトンを書かなきゃ。
わざわざカテゴリー作っといても、放置状態ではいけません。
(とはいえ、他のアーチストもそんな状態なんですが・・)
このブログも、なんだか週刊化してきたことも反省しつつ、
今日は、クラプトンを大いに語ろう。
ただ今回は、「LAYLA」のような名盤を書くより、
あまり注目されないんだけど、放っておいてはいけない作品にしようかなと。
ウ~ン。 では、どれにしようか悩んだ末、今回はコレにしました。
82年、RSO(ポリドール)から、ワーナー/リプリーズへ移籍して、
自身のDUCKレーベルも設立し、その第1弾がコレ。
しかし、どうも評価が低いというか、なんかパッとしないだよなぁ。
ただ理由はわかる。
まず、あまり売れなかったし、“これだ”っていう代表曲がない。
それと、クラプトンの鬼気迫るギター・プレイもなく、
期待した諸氏には、イマイチの反応だったようで。
やはり英国人のクラプトンにとって、ブルースへのアプローチは、
(というより、ブルースマンになりきるためには)
生誕の国アメリカでプレイすることであり、アメリカ人と共演することが一番。
だから、英国人のクラプトンにとっては誇りもあるが、ジレンマもあったのでは。
79年の武道館ライブの名盤「JUST ONE NIGHT」でのバンドは全員英国人だった。
「あのバンドでは、ブルースがプレイできなかった」という発言があるように、
アルバート・リー(g、Key)を除いて、全員クビにして、
敏腕トム・ダウドのもと、新たにアメリカ人の名セッション・プレイヤーである、
ドナルド・“ダック”・ダン(b)やロジャー・ホーキンス(ds)らに、
ライ・クーダー(g)をゲストに迎え、バハマでレコーディングに臨んだ。
しかし、ここでのクラプトンは、ドミノスにあるような南部アプローチも、
スワンプ臭さは一切なくて、躍動感あるもタイトで心地よい。
そう、生ビールじゃないけど、斬味が優れて、とことん“軽くてドライ”だ。
まず、ノッケのスリーピー・ジョン・エステスのカバー曲こそ、
このアルバムのハイライトといっていい。
ライとクラプトンのスライド合戦が、いきなり楽しめるのだ。
たぶん、オープニングのイントロはクラプトンだけど、
途中、右チャンネルから入ってくるのが、ライのスライドだと思う。
この曲では、クラプトンもボトルネックでプレイしているんで、
分かりずらいところはあるんだけど、ライも独特な味を出しても、前に出過ぎず、
バランスの取れたプレイに徹してるとことが清い。
またクラプトンも、単独で6曲もオリジナルを書き上げて、
やる気マンマンな心構えも伺え、このアルバムのベスト・トラックと言っていい、
“The Shape You're In”での、アルバート・リーとのバトルも聴きモノだし、
これはライのスライドがリードする(クラプトンはフィンガー・ソロに徹する)、
“Man Overboard”も、隠れた名演だし。
また、誠実なラヴ・ソング“Pretty Girl”もいい。
マニアックに聴きたいなら、“Man In Love”みたいなシャッフル・ブギでの、
短くもライのスライドの小気味良さや、“Crosscut Saw”での、クラプトンと、
アルバートとの、チョーキング合戦もじっくり味わえる。
(ギター・マニアしか、わかんないかもしんないけど)
ただ、この路線を行くのはこのアルバムのみで終わってしまい、
(同時に、トム・ダウドのプロデュースもこれ以降なくなる)
次回作はフィル・コリンズと共に、シンセやホーンを多用した、
ポップ路線に変身を遂げることになり、
80年代の“作られた”ような音作りにクラプトンも埋没してしまうことになる。
そんな意味でも、彼のキャリアの中でも、“アメリカン・ロック”してる、
コンパクトな作品として、貴重な作品だと思うし、ライ、アルバートとの、
ギター・バトルを楽しめるだけでも価値は大いにアリだ。
数々の名盤に隠れてしまってるけど、タイトなクラプトンも、
結構イケてますぞ。