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わし、買うもん!  この“音”は、世界にひとつ。   

    
    QUEEN  GREATEST HITS           GREATEST HITS Ⅱ
 

          GREATEST HITS  
  Bohemian Rhapsody  (from A Night at the Opera, 1975)
  Another One Bites the Dust  (from The Game, 1980)
  Killer Queen  (from Sheer Heart Attack, 1974)
  Fat Bottomed Girls  (single version, from Jazz, 1978)
  Bicycle Race  (from Jazz, 1978)
  You're My Best Friend  (from A Night at the Opera, 1975)
  Don't Stop Me Now  (from Jazz, 1978)
  Save Me  (from The Game, 1980)
  Crazy Little Thing Called Love  (from The Game, 1980)
  Somebody to Love (from A Day at the Races, 1976)
  Now I'm Here  (from Sheer Heart Attack, 1974)
  Good Old-Fashioned Lover Boy  (from A Day at the Races, 1976)
  Play the Game  (from The Game, 1980)
  Flash  (single version, from Flash Gordon, 1980)
  Seven Seas of Rhye  (from Queen II, 1974)
  We Will Rock You  (from News of the World, 1977)
  We Are the Champions  (from News of the World, 1977)
  Teo Torriatte  (single version, from A Day At The Races, 1976) 
                             ※ JAPAN Only

          GREATEST HITS Ⅱ  
  A Kind of Magic  (from A Kind Of Magic, 1986)
  Under Pressure  (edit, from Hot Space, 1982)
  Radio Ga Ga  (from The Works, 1984)
  I Want It All  (single version, from The Miracle, 1989)
  I Want to Break Free  (single mix, from The Works, 1984)
  Innuendo  (from Innuendo, 1991)
  It's a Hard Life  (from The Works, 1984)
  Breakthru  (from The Miracle, 1989)
  Who Wants to Live Forever  (edit, from A Kind Of Magic, 1986)
  Headlong  (single Version, from Innuendo, 1991)
  The Miracle  (early faded, from The Miracle, 1989)
  I'm Going Slightly Mad  (original Innuendo LP edit,1991)
  The Invisible Man  (from The Miracle, 1989)
  Hammer to Fall  (single version, from The Works, 1984)
  Friends Will Be Friends  (from A Kind Of Magic, 1986)
  The Show Must Go On  (early faded, from Innuendo, 1991)
  One Vision  (single version, from A Kind Of Magic, 1986)
  I Was Born to Love You (QUEEN version, from Made In Heaven, 1995) 
                           ※ JAPAN Only

 2011年、バンド結成40周年を迎えるという「QUEEN」が、なんと古巣で
 あるEMIを離れ、新たにユニバーサル・ミュージック・グループ(UMG)と、
 長期に渡る独占契約を結び、北米地区以外の全世界で傘下である
 アイランド・レコードから発売されることになった。
       
        

 コレは、ちょっとどころか、エラいニュースですよ。
 現在EMI所属アーチストの中でも、横綱であるビートルズの次に、
 大関だったのがQUEENだった。
 それがEMIを離れるという事実は、私以上にQUEENに詳しい方なら、
 ショッキングな事件だったに違いないのではと思う。 
 
 それにしても、ユニバーサル・グループってのはスゴい。
 勢いがある。
 一昨年にストーンズをオールタイムでレーベル統一したと同時に、
 昨年は奇跡的アーカイブ・ラッシュで沸かせたと思えば、
 EMIから、あの“超大物”であるポールも獲得して、
 昨年末の「BAND ON THE RUN」に始まり、今年は、
 更なるカタログ再発を予定で、そして、今度はQUEENだ。  
 この“超大物ハンティング”はハンパじゃない。

 それに対して、EMIは、もうダメだね。 
 悲しいけど、終ってる。
 ポールの場合、プロモーションのやり方でモメたとか、
 少しトラブルがあって仕方ないとこはあるけど、
 う~ん、QUEENまで持っていかれてはねぇ・・。 
 老舗らしくない。 販売戦略はどうなの? 
 かつての“名門”の名が泣きますよ。
 まさかその内、ビートルズまでも、とか・・? 
 今はジョンも抱えてるけど。

 でも、アビー・ロード・スタジオの件もあるから、それはないと思うけど・・。
 ということは、あの英国EMI伝統の“Parlophone”レーベルも、
 ポールに続いて、QUEENも称号が外れることになるワケですね。 
 これは、少々残念です。
 (じゃあ、今Parlophoneレーベルを守ってるのは、COLDPLAYを筆頭に、
  レディオヘッドに、ペット・ショップ・ボーイズくらいか。 
  あ、今はカイリー・ミノーグもそうだっけ)
 
 そして、この移籍に伴って、今までのQUEENのカタログが全て最新技術
 によりリマスターされて、2011年内の前中後期の3期に分け、
 3,6,9月に5タイトルずつ、全15枚のオリジナル・アルバムに、
 過去の全ライブ・アルバムも、それぞれSHM-CDにて、随時再発売される。
 その「2011QUEENリマスター・プロジェクト」ともいえる一大企画の
 プロモーション的意味もあって、2枚の名ベスト盤を“ご挨拶”替わりの
 一発目として、この1月に発売された。

       

 しかし正直言うと、このリマスターに関しては、全く期待してなかった。
 私の記憶が正しければ、
 QUEENは初CD化後、1994年に初のデジタル・リマスターが施され、
 続いて、あのリマスターの名匠ボブ・ラドウィックの手によって、
 2001年に、24ビット・デジタル・リマスタリングが施されている。 
 それ以後も、全タイトルではなかったが、
 2009年のベスト盤「Absolute Greatest」でも、
 “最新リマスター”ってのが売りだった。
 なので、「またリマスターなの? 何回やってるの」って、思ってました。

 最初は。 

 QUEENのCD音源って、古くは東芝EMIで初CD化した頃は、
 音圧も低くて、音域も痩せてて、なんか平ぺったい。 
 今聴くと、なんともトホホなモノでした。 
 初のリマスターだった94年は、思ったほど変わってないなぁと
 感じてたのですが、2001年の24ビット・リマスターは、
 音圧レベルやバランスから、ノイズの除去に至るまで、
 割と優れたモノだと思ってたので、
 あまり変わらないんじゃないかと考えてたんです。

 ところが。   「マジか・・。  何この音!」  

 “Bohemian Rhapsody”の更にクリアになったオペラ・パートの
 驚異的オーヴァーダヴの立位法に、改めて「スゴイ」と感心させられ
 、すっかり“つかまれて”しまい。
 次の“Another One Bites the Dust”。 
 コレで、やられました。  KOです。
 強烈な重低音でリードする、ジョンのベース・ピッキングの
 引っ掻き癖まで伝わる臨場感。 
 フレディの息遣いも生々しい。 
 まるで1メートル先で歌ってるみたいだ。
 ブライアンのカッティングも分離がクッキリした分、鋭角的で斬れ味バツグン。
 この曲のリマスタリングはモノが違う。 
 皆さん、コレは買いです。

    

 実は、先日あるタワー・レコードに出向いた時に、
 このベスト盤が既に発売されてた。
 とはいえ、衝撃的移籍だった割には、なぜか購買意欲は
 湧いてこなかったんです。
 なので、「あ、出たんだ」
 くらいの軽い気持ちで、何気なく視聴してみたんです。
 そこで、あまりの音のスゴさに愕然としたんです。  
 視聴機をしばらく独占したほど。
 当然買うつもりなんてなかったけど、もちろん2枚とも買ってしまった。
 あの音を突きつけられたら、ROCK好きの名においても、
 手ぶらでは帰れません。

 あの一昨年のビートルズのリマスターも確かにスゴかった。 
 けど、あれは予想できた。
 でも、今回のQUEENのリマスターは不意打ちを食らった感じ。 
 だから、効く。 

 少々オーバーに書いたが、今までのリマスターとは明らかに
 一線を画くモノだ。 うまく表現できないが、音域の奥行きから
 レンジの広がりまで、声や楽器の細部に至るまで、
 丁寧に磨き上げて、まるで現在の3D時代に対応するよう、
 “音の立体感”が際立つように、
 まるで、“QUEENが浮き上がってくるのだ”。

 あげて書いていくと、キリがなくなってしまうけど・・。
 変拍子難易度Eランクの“Bicycle Race”も、更に躍動感が増し、
 フレディのピアノも、劇的にクリアになり、
 今までは、やたら高音パートだけが目立ってた分厚いコーラスも、
 左側から低音部をしっかり響かせ、実にバランスがとれた仕上がりになってる。
 あのチープな“チャリベル”の音も、
 まるで目の前で「チリンチリン」してるみたいだ。
 “Flash”の取ってつけたようだった映画のSEも、
 ヴァーチャル・ゲームみたいな迫力で、
 “We Will Rock You”のクラッピングのヘヴィーなこと。 
 地響きがするほどだ。

    

 “Don't Stop Me Now”のピアノの鍵盤を弾く音、
 今までそれほど印象になかった“Save Me”のアコギの響き方など、
 今回のリマスターで特に感じたのは、アコースティック系の楽器の
 音色がとてもナチュラルでクリアになってることだ。

 日本盤には、ボーナス・トラックで“手をとりあって”が、やはり収録されてる。
 別にいいんだけど・・。 
 今でも日本のファンを大切にしてくれる証拠ですから。
 でも私は「Ⅰ」の、この曲順が耳に刷り込まれてる。 
 いいんですよ、この並びが。
 だから、“Bohemian Rhapsody”で始まり、“We Are the Champions”で
 締める形が一番シックリくると思うんですよ。 

 どうせ入れるのなら、編集がかなり面倒だけど、
 当時の日本盤アナログLPの曲順に習って、
 “Under Pressure”は「Ⅱ」に収録されてるから、
 日本盤には収録されてなかった“Bicycle Race”と“Seven Seas of Rhye”
 を組み込んで、“手をとりあって”を 、“Now I'm Here”の次に差し込んで、
 当時の曲順に変えてくれたら、何も言う事ないんだけど。 

 (ちなみに、アナログ発売当時は、
  世界各国で微妙に選曲の違う7種類のタイプが出てた。
  アメリカ盤は14曲と少なく、“Under Pressure”と“Keep Yourself Alive”を。
  スペイン盤には、“Spread Your Wings”。
  南米盤には、“Love Of My Life”のライブ。
  オーストラリア盤には、米盤仕様に“Tie Your Mother Down”を加えた感じ。
  ブルガリア盤には、なんと“Death On Two Legs”と“Sweet Lady”を収録。 
  マニアックだ。
  しかし、初CD化に伴って、英国仕様(UK盤)で統一された。)


 案外軽視されがちだけど、後期のシングル曲をまとめた「Ⅱ」の方も、
 実によく出来た素晴らしいベスト盤だったんで、
 これも、ほんとによく聴いた。 
 (シングル・バージョンや編集バージョンも多く収録、収録時間ギリギリの容量)
 ただ年代も80年代半ばから90年代にかけての作品なので、
 70年代が中心の「Ⅰ」と比べて、リマスター効果も、
 それほど変わらないのではと思っていたけど、想像以上に効果は絶大。
 「Ⅰ」だけでなく、「Ⅱ」の方もキッチリ押さえておくべきだ。

 “A Kind of Magic”の立体的でメリハリ効いたリズム隊が
 ダイナミックに生まれ変わって、いきなり「これは違う」と、
 今回のリマスターに耳を奪われてしまった。
 “Radio Ga Ga”も、ベースとアナログ・シンセが浮き出てきて、
 臨場感が更に増し、“I Want It All”は大幅にスケール・アップして
 コーラスもギターも分厚くなった。

 “Innuendo”のフラメンコ・パートのクリアになったスティーヴ・ハウの
 素晴らしいスパニッシュ・ギター・ソロから、
 重たいリズム隊とブライアンのギターがなだれ込んで
 いく凄まじさ。 これは鳥肌もの。 
 私の「Ⅱ」のベスト・リマスター曲だ。

    

 “Breakthru”の暴走機関車のような疾走感。 
 “Headlong”のヘヴィーなドライブ感。
 これに対し、
 “I'm Going Slightly Mad”のフレディの低音を強調した重厚感。 
 “Who Wants to Live Forever”のストリングスを強調させた
 奥行きのある重奏感など、
 今回のリマスターでコントラストが増して、曲が蘇ったような感じがする。

 それにしても、フレディの歌の上手いこと。  
 ほんと上手い。  何歌わせても。
 リマスターによって、彼の息遣い、声量、リズム感、オクターブやファルセット
 の使い方など、ヴォーカリストとしての力量や技術がいかに優れ、
 超一流だったか、改めて思い知らされる。
 
 ここでも日本盤には、“あの例の曲”がボーナス・トラックで収録されている。
 いろいろ意見はあるでしょうけど、 う~ん・・。 
 ここでは、いらないなぁ・・。
 過去に何度もCMタイアップされたり、ドラマでも使われたりと、
 日本じゃ圧倒的人気を誇る。
 この曲を知らない人はいないくらい有名になった曲だから、
 入れて当然なんだけど。
 でもご存じのように、この曲は元々、85年のフレディ唯一の
 ソロ・アルバムである「MR.BAD GUY」からのシングルカット曲で、
 QUEENの曲ではなかった。
 このヴァージョンは、フレディ死後に残ったメンバーで、
 このフレディのソロヴォーカルに、3人の演奏を重ねてオーヴァーダヴしたもの。 
 フレディの遺志が反映されているかは疑問だ。
 (フレディ自身、この曲は実はあまり好きでなかったようで、
  シングルにしたのも、キャッチーでシングル向きとの判断で、
  レコード会社の意向に沿ったものだったようだ)

       

 嫌いな曲でないし、3人のバックアップもなかなか聴きごたえ十分だ。
 でも、安易にくっつけるのはいかがなものかと。 
 フレディに失礼です。
 この「Ⅱ」も、曲順がとてもよくて、バランスも流れもいい。
 “最期”の締めを“The Show Must Go On”で終わらずに、
 (そうしたいところだが)あえて“One Vision”を据えて、
 初めにリンクさせるようなメンバーの意図を感じるのだ。

 話がまた長くなった。
 まずは、
 3月16日に初期5作品の2011デジタル・リマスター発売が決定している。
 デビュー作から「華麗なるレース」までの5枚に、通常盤とレア・トラックを
 5、6曲収録したリミテッド・エディションが用意される。  
 ただこのレア・トラックはマニアには、
 どうってことない音源でも、このリマスターの音質向上は、
 再興奮すること間違いなし。
 また近くなったら、レビューしたく思ってます。
 
 「♪わし、買うもん~。  好きだもん~。」
  もちろん、QUEENのことです。
 ・・・。 
 パロディとしては、あまりに良く出来たCMだけど、これもなぁ・・。

 果たして、
 フレディほどの超セレブが、カッ○ヌードルを食べたことがあるのかなぁ?

 この味、いや、この“音”は世界にひとつ。   
 QUEENだけです。
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2011/01/28 Fri. 22:47 [edit]

Category: クイーン

Thread:洋楽CDレビュー  Janre:音楽

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竜夢散る。 “負けの美学”はないけれど・・。 

       NEWS OF THE WORLD   QUEEN

       

         We Will Rock You
         We Are The Champions
         Sheer Heart Attack
         All Dead, All Dead
         Spread Your Wings
         Fight From The Inside
         Get Down, Make Love
         Sleeping On The Sidewalk
         Who Needs You
         It's Late
         My Melancholy Blues


 よう、頑張った。  それだけでええよ。  みんな、よう頑張った。
 野球観て、ここまでシビれたことあったかなぁ・・。

 ここは、音楽ブログ。  だから、あえてスポーツや時事ネタは伏せてきた。
 でも今日は書かせて。   

 世間では、「シーズン3位から」とか、盛り上がりの欠けるカードだの、面白みのない
 不人気球団のカードだの、初めて全試合地上波の完全テレビ中継のないカードだの、
 戦前から、野球ファンやマスコミに叩かれまくった今年の日本シリーズ。

 ところが、どうです。

 第6,7戦のこんな名勝負、記憶にも記録にも残る試合になったのは、野球の神様が
 “不人気だ”と叫んでる世論に「よう考えてみろ」を一石を投じたのではないか。

 言いたいことは山ほどあるけれど・・。
 浅尾。
 本当にありがとう。  下向んでええよ。
 お前がいたから、この舞台に立てているんだ。 何も恥じることはない。

 前日に、あれだけ全力投球したにも関わらず、
 今日も60球を越えても、全力で投げ込む姿は胸が熱くなりました。
 先頭打者今江への四球。 上擦りだした球。  嫌な予感はした。
 でも、打たれるなら浅尾でええ。   そう思ってた。

 ハッピーエンドでなくても、人は胸を打たれ、目頭は熱くなるんです。

 しかし、世間の声は冷めている。
 「やっぱ巨人じゃないと」とか、「阪神が出てへんから」とか言うことだろう。
 でも私は、全然構わない。  そんなのずっと昔から言われてること。

 ただ。 純粋な野球ファンが、これを“面白くない”というのなら、
 私は悲しい。  野球を愛しているなんて言う資格はない。

 この素晴らしい日本シリーズを生んでくれたマリーンズとドラゴンズに感謝したい。
 
 オレ竜に“負けの美学”はない。
 しかし、負けた。  最後まで“ドラゴンズの野球”が出来なかった。
 完敗。   見事に散った。

 「 我々こそが王者。 友よ。
   そして、最後まで闘い続けるだろう。  
   負け犬どもには出番はない。
   我々こそがチャンピオンなのだから。 」
   
 スポーツ・イベントの勝利を誇示する曲としては、あまりに有名でベタすぎるし、
 前の“We Will Rock You (お前ら、アッと言わせてやるぜ)”と並んで、
 “スポーツ賛歌”として使われるのはあんまし好きじゃないんだけど、
 この曲は、シリーズには勝っても、パを制することが出来なかったマリーンズにも、
 激動のセを制するも、シリーズに負けたドラゴンズにも、“的”を得ている。

 「“オレたちはチャンピオンだ”なんて言葉はお前らが言うことか!」とか、
 「フレディ版“My Way”の出来損ない」とか、「過剰で身のないオペラもどき」
 だの、発表当時は各プレスからQUEENは叩かれまくったそうだ。

 しかし、それは違う。
 それは、決して自らが“身分相応”などと言っているのではなく、 我々みんなが、
 世界中の人々ひとりひとりがチャンピオンなんだということ。 ゆえに、
 QUEENの4人には、まだまだこれからもっと上があるだろう、今がまだ“頂点”
 じゃないだろうって。 まだまだ努力し続ける人のためのテーマ・ソングなのだ。

   coverlm queen

 フレディほど、“劇場”なシンガーはいない。 やっぱアブナかった。
 あのオーディエンスの煽り方といい、それは、キャラクターを演じるのではなく、
 ナルシストと変態をギリギリの線でキープしている彼自身の“性癖”そのもの。
 胸元をはだけて、オペラ歌手並みの声量で拳を突き上げるポーズで煽りまくる姿は
 彼を通して見える、“禁断の世界”に一歩踏み込むスリル感を味わうことでもある。

 私がフレディに一番魅かれるとこはココです。
 嘘か本当か見分けのつかない“アブナさ”に心酔するんです。

 野球にも、嘘か本当か見分けのつかない駆け引き、勝負のアヤというものがある。
 今回の日本シリーズも、両監督の心理戦、采配にも唸らせるものがあった。
 しかし、どちらも“アブナくてスリルのある野球”はしなかった。 
 いや、させなかったといった方がいいか。  きっとそれを「つまらない」という
 人もいる。 でも、それも野球の醍醐味のひとつだということを忘れてはいないか。

 一応アルバムの話もしなきゃ。  ちょこっとお付き合いを。
 ジャケットは、ロジャー・テイラーが見つけてきたB級SF本の表紙をヒントに書かれた
 オリジナル漫画。  でも、コレはダメ。 評判も悪かったみたいだし。
 メンバー4人が巨大ロボットによって虐殺されているんだけど、その顔が誰一人として
 似ていないのがご愛敬なのかはともかく、このセンスのなさはQUEENで一番。

      

 何と言ってもこのアルバムは、最初の2曲でしょう。 あえて繰り返しません。
 全体の感じは、前作までの華麗なドラマティック路線から、重厚なコーラスが影を潜め、
 無駄を省いたような、よりシンプルでソリッドな音作りになってるのが特徴。 
 
 ただ、ハード・ロックを期待していたファンには、やや物足らないかな。
 なぜか3rdアルバムのタイトル曲をここに入れてるが、ロジャーのやたらギター・ノイズ
 を強調させたような(パンクを意識?)“Sheer Heart Attack”か、ブライアンの
 穏やかな曲展開から、徐々に膨らんで壮大かつハードになっいく“It's Late”くらいが
 スピリッツがみなぎるところ。 やはり“We Will Rock You”が一番いい。
 あの幾重にも重ねたギター・エッジは味がある。 なかなかあの音は出せない。

 私が一番好きなのが、“Spread Your Wings”。
 あれだけ出てるベスト盤に見向きもされないシングル曲だけど、ジョンの書くメロディ
 のセンスが光る隠れた名曲。 フレディの歌いっぷりも見事だ。
 
 しかし、宵も深まった。 でも、“酔い”だけが深まったかな。  
 美酒に酔いたかったけど、叶わず・・・   か。

 「 Another Party's Over.. And I'm Left Cold Sober 」
   花のパリ側~ なめこそば~   じゃなくて。

 「 パーティはもう終わった・・・。 僕の酔いも醒めきってしまった。
   もう忘れてしまいたいよ。  特別な酒で酔いたい気分なんだ。
   これ以上ないくらい落ち込んでしまいたいのさ・・。
   僕の“物憂げなブルース”に酔いしれてみてはいかがだろう。    」

 そういえば、フレディの命日が11月24日でした。
 思えば彼が亡くなった日に、この曲をずっと聴いてたのを思い出します。
 ジャジーなフレディのピアノの旋律と“憂鬱”なメロディに心を癒してた。

 今夜も、“My Melancholy Blues”にしよう。  そんな気分。
 

2010/11/08 Mon. 03:01 [edit]

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Thread:洋楽CDレビュー  Janre:音楽

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派手なのに影が薄い“老舗の味”。 

         THE WORKS         QUEEN

            

             Radio Ga Ga
             Tear It Up
             It's A Hard Life
             Man On The Prowl
             Machines (or 'Back To Humans')
             I Want To Break Free
             Keep Passing The Open Windows
             Hammer To Fall
             Is This The World We Created...?

 QUEEN。 しばらく聴いてなかったなぁ・・。
 とはいえ、彼らも語り尽くされてるので、またまた“今さら”になってしまうけど、
 私なりのQUEENのお久さな話。  よろしくお付き合いを。

 私のQUEEN初体験は、英国では家では必ず所有しているといわれる、
 「QUEEN GREATEST HITS」の日本盤。 カセット録音したものだったけど。
 (国によって収録曲が異なる7種あって、日本盤は“Bicycle Race”と
 “Seven Seas Of Rhyme”をカットして、変わりに“手をとりあって”と
 “Under Pressure”をプラス。 現在は英国仕様に統一。)
 これもテープ伸ばしてしまうほど聴いて、レコードを買い直したくらい。
 ROCKの華やかさ、美しさ、そして、激しさを教えてくれたのはQUEENだった。
   
 そして、ラジオから、まさしく「大いなるラジオ賛歌」である“Radio Ga Ga”が、
 ヘヴィー・ローテし始め、 いよいよ84年、待望のオリジナル・アルバム。
 この「THE WORKS」は、私のオリジナル・アルバムとしては初QUEENでした。
 やっぱこの頃はMTV絶対時代。 “Radio Ga Ga”のレトロなのに近未来な
 映像と、大観衆とのハンド・クラッピングが印象が残るビデオは鮮明なままだ。
 (このビデオがLIVE AIDでも、ウェンブリーでも、世界中のオーディエンスが
  両手を挙げ、一糸乱れずクラップするポーズを画一させたといえる。)

 でも、なんか影が薄いんだよなぁ・・。 ジャケの影は濃いんだけど。
 作りは派手。  コンパクトで英国ではシングルが4曲もヒットしたし。
 しかし、なぜか往年のQUEENマニアからも、やっぱ評価が低いようで。
 (79~86年くらいのアルバムって、一般的にもあまり人気がないみたい。)

 QUEENの4人がバンド・マネージメント、“自主管理”を開始し、それを統括してた
 のが、ジョン・ディーコン(b)。 中でも地味で、表立ったソロ活動もしてなかったが、
 「THE GAME」(’79)以降のQUEENの活動のイニシアティブを取っていたのは彼。
 (もちろん、メンバー・ミーティングもあったしや合議の上での話だけど。)
 前作「HOT SPACE」(’82)での大胆なディスコ、ファンク路線の失敗、不評で、
 責任のなすり合いもあったみたいだけど、大作主義、コンセプト重視の姿勢から、
 ジョンの考えるコンパクトでシングル重視のスタイル、戦略へシフト・チェンジ。

 “異色から王道への帰還。”  これが、「THE WORKS」だ。

 それが見事に功を奏し、セールス面はもとより、英国では大幅に信頼を回復し、
 “QUEEN”という名のバンドの格を押し上げ、ブランド化に成功し、
 QUEENが英国の“国民的バンド”になった重要なアルバムだと思う。

 ズバリ、楽曲勝負。  ようやく気付いたんでしょう。
 もう実験なんて必要ないんですよ。 QUEENには。
    
 前作でトライしたシンセ、打ち込みを多用した機械的(マシーン)要素に、
 影を潜めていたエッジの効いた従来のハード・ロックを復活させ、プラス
 受けの良かったシングルを狙う(焼き直す)、コンパクトな売れ線ポップを
 融合した作り。 更に、MTVを意識したPV戦略にも力を入れ、イメージ効果
 (趣味の良し悪しは別)のアップにも成功。 時代の流れにうまく乗った。
 簡単に言えば、前々作の「THE GAME」の再構築、発展形といっていい。
 ただ、もう新しい方向性を切り開いて行く姿は、これで見られなくなる。
 みんなが求めるQUEENを演じ始め、この後は、“伝統芸能”の域まで到達
 していくのだから。 (私は、これでいいと思ってるんですが)

 この辺が、往年のマニアの賛否が分かれるポイントなんじゃないかな。

 シングルは、最初がロジャー作の“Radio Ga Ga”は完全なるマシーン化した
 エレクトリック・ポップ。 次にジョン作の“I Want To Break Free”は、
 4人が女装したPVのイメージが強すぎるキャッチーなポップ・ソング。
 (このビデオ、実はアメリカでは総スカンを食って、お株まるつぶれになったとか。
  アルバム・ヴァージョンより、ファンファーレ付きのシングル・リミックスが秀逸。)
 次は、フレディ作のいきなり「♪ア・ド~ン!!~」からフレディ節全開の美し過ぎる
 壮大な愛の賛歌である“It's A Hard Life”。 最後にブライアン作の従来の
 ドライブエッジの効いたロジャーらしいドタバタ・ドラムも復活したハード・ロック
 “Hammer To Fall”(12インチのHeadbangers Mixは強烈。)の4曲。 
 メンバー4人が、それぞれシングル曲を提供、ヒットしたことになる。

 シングルの“表”にならなかった曲も、粒揃い。
 QUEEN流ヘヴィー・メタル“Tear It Up”じゃ、ブライアンのギターが炸裂。
 “Man On The Prowl”は、第2の“Crazy Little Thing Called Love”。
 だけど、ロカビリーも板に着いて、完成度はこっちの方が上。
 “Machines”は、前作で“失敗”したテクノ路線で勝負するも、ブライアンが、
 ロック風に料理している分、力強くカッコいい仕上がりに。
 “Keep Passing ~”は、目立たないけど、フレディ独特のメロディ・ラインと、
 ドラマテックな展開が美しい佳曲。 “Is This The World ~”も、
 第2の“Love Of My Life”といっていいシンプルでアコースティックな小曲。
 ブダペストのライブでの、大観衆との大合唱シーン。 ジーンときたなぁ・・。

 思わず全曲紹介してしまったが、この年、年末クリスマス商戦に参戦よろしく、
 シングル“Thank God It's Christmas”を発表。 そのカップリングを含めると、
 このアルバムから、全曲がシングル盤に収められることになった。

 こうしてみると、QUEENには、やっぱ“老舗の味”が一番いい。 安心します。
 「80年代QUEENの中~終期への指針」といっていい、このアルバム。
 初めてQUEENのオリジナル・アルバムを体験する人がいたら、
 私は迷わずコレを勧める。
   

2009/06/19 Fri. 14:42 [edit]

Category: クイーン

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真の王女の最終章とは。 

      INNUENDO         QUEEN

         amazonへ

      Innueundo (イニュエンドゥ)
      I'm Going Slightly Mad  (狂気への序曲)
      Headlong (ヘッドロング)
      I Can't Live With You(アイ・キャント・リブ・ウィズ・ユー)
      Don't Try So Hard (ドント・トライ・ソー・ハード)
      Ride The Wild Wind (ライド・ザ・ワイルド・ウインド)
      All God's People (神々の民)
      These Are Days Of Our Lives (輝ける日々)
      Delilah (愛しきデライラ)
      The Hitman (ヒットマン)
      Bijou (ビジュウ)
      The Show Must Go On (ショー・マスト・ゴー・オン)

 急いでいたんでしょう。
 前作「ミラクル」から1年半にも満たないリリース間隔で発表された
 このアルバム。
 まさか、そんな切羽詰った状況であるなど知らないまま、
 “えー、もう出るんだ”くらいの気持ちでいたけど・・。

 「MADE IN HEAVEN」は、フレディが歌いなぐった絶筆みたいなデモに、
 他の3人が加筆して発表した遺書みたいな作品。
 故に、QUEENというバンドが、4人で機能していた形であったこのアルバムこそ、
 QUEENの最終章と呼びたい。

 まず、どの楽曲も完成度が高く、緊迫感に満ちたものばかりであることと、
 フレディのボーカルに驚いたものだ。 出てるんですよ、声が。
 伸びと言い、高音のハリといい申し分なく、巧みに緩急自在に操る。
 正直、まだこんなにフレディが歌えるんだと感心したものだ。
 歌いきる、というのはこういう姿をいうのだろう。

 しかし、全体を包む切実なまでの“生への希望”と“死の恐怖”の叫びに、
 いろいろと噂も飛び交ってたけど、「ほんとに、ヤバいかも・・」と、
 勘ぐってしまったのも事実。

 “イニュエンドゥ”は、「最期の時まで、努力し続けよう」と、
 自らを奮い立たせる讃歌。 6分半の物語は、進化した現代の、
 “ボヘミアン・ラプソディ”といっていいし、
 (中間部のスティーヴ・ハウのスパニッシュ・ソロが素晴らしい)

 「来るべきものが来た」と、日毎に悪化(狂っていく)姿を歌った
 “狂気への序曲”、「もう必死になることなどない」と、
 人生を悟ってしまったような“ドント・トライ・ソー・ハード”。
 「あの頃の僕らは生き生きとしていた」と、人生を振り返る、
 “輝ける日々”などと、
 死を意識するというより、「死ぬことが近いことを分かっていて」、歌う姿ほど、
 悲哀で心を打たれるものはない。

 しかし、感傷的ムードばかりに陥らず、“ヘッドロング”や“ヒットマン”のような
 ハードドライブ・ロックも、きっちり脇を固めているところが、
 ロック・バンドとしてのQUEENたるプライドの高さ。

 何より、エイズに冒された身体に鞭打って歌いきるフレディの
 ミュージシャン魂と、彼の最期の花道に花を添えた3人の愛情に
 深い感動を覚える。
 「ショーは続けなきゃいけないんだ」
 こう叫んで、1991年11月24日、
 美しくも華々しく散って行った彼の魂は、消えることはなかろう。
 
 この前のQUEEN+ポール・ロジャースの存在うんぬんなど、
 今、そのことは抜きにして。
 最期を華麗に勇ましく歌いきった、これこそスワン・ソング。
 見事でありました。

2005/11/22 Tue. 21:00 [edit]

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これぞ華麗なる最後の勇姿。 

          LIVE AT WEMBLEY ’86      QUEEN

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 盛り上がってるのかなぁ。
 クイーン+ポール・ロジャースの来日公演。
 クイーンファンの端くれの私も、不参加組なんで、
 けっして大きなこと言えないのですが・・。
 テレビじゃ、まだCMバンバン流してるし、新聞広告も、
 「絶賛発売中」の文字が。
 “やっぱ、チケット売れてないんかな・・”と思ってしまうんだけど。

 いかない理由は、ただ一つ。
 「フレディのいないクイーンなんてヤダ。」
 ガンコものなんですよ、私は。
 フレディ=クイーンではないんだけども、
 (逆に、フレディ一人でも、クイーンじゃない)
 あの4人がいて、クイーンなのです。 永遠であるはず。
 過去の名曲、名盤もあの4人の成せる業、マジックあってこそ。
 今、二人でクイーンを名乗ってはいけません。

 だから、「RETURN OF THE CHAMPIONS」も、先日、タワーに
 立ち寄った時に視聴した程度で、未購入であります。
 (お前は、それでもクイーンファンか!と怒鳴られるの覚悟です・・)
 しかし、これが案外悪くなかったんですよ。
 ブリテッシュ・ロックの王道を貫くライブとしたら、
 結構興味深いものがある。 ブライアンが、
 ポール・コゾフよろしく、“Wishing Well”や“All Right Now”
 をどう料理するかとか、ロジャースがクイーンの曲をブルージィに
 歌ったら、どう変わるのかなどね。

 盛り上がってるし、ステージにも一体感がある。
 でも、やっぱ違和感を感じるのも事実。

 1986年7月12日、ロンドンのウェンブリー・アリーナでの公演を
 ほぼノーカットで収録された、このアルバムを聴くたび、
 フレディの大きさに、ただ圧倒されるばかりだ。
 そこには、ロック・ボーカリストとしての技量を超越した
 究極のエンターティナー、フレディの姿がある。
 観衆は、2日間で約14万人! その彼らを、まるで支配者の如く、
 煽りに煽って、頂点に誘うのだ。

 オープニングの“One Vision”から、もう全開モード。
 そして、必殺“Tie Your Mother Down”へなだれ込み、
 “In The Lap Of The Gods..revisited”から
 “Seven Seas Of Rhye”へのスリリングな展開や
 フレディの美しすぎる“Love Of My Life”や、
 オールディズのメドレーから、お約束コースへと。
 そして、大団円に。 
 そこには、勝ち誇ったかのように、
 真っ赤なローブをまとい、王冠をつけた“王者”が。
 もう、最高です。
 
 偉大なるステージでした。 これが最後であるかのように。
 (この翌月のネブワースでのライブが最後だった・・)
 そして、ウェンブリーはクイーンの聖地となったのです。
 もう、こんなロック・ボーカリストは二度と現れないだろう。
 
 しかし、ブライアンもその思いは百も承知のはず。
 だから、その魂を伝えられるのは、彼らしかいないことも。
 ちょっと批判的なことを言ってしまったけど、
 どうせなら、ドンドン盛り上げてほしいね。
 日本人は、お祭りごと大好きだからね。

2005/10/14 Fri. 17:58 [edit]

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