陰影とポップのトライアングル。
GENESIS
GENESIS

Mama (ママ)
That's All (ザッツ・オール)
Home By The Sea (ホーム・バイ・ザ・シー)
Second Home By The Sea (セカンド・ホーム・バイ・ザ・シー)
Illegal Alien (イリーガル・エイリアン)
Talk It All Too Hard (トーク・イット・オール・トゥ・ハード)
Just A Job To Do (ジャスト・ア・ジョブ・トゥ・ドゥ)
Sliver Rainbow (シルバー・レインボゥ)
It's Gonna Get Better (イッツ・ゴナ・ゲット・ベター)
「プログレがポップのなったらいけないのかなぁ?」
というより、ジェネシスってプログレの位置づけでいいのかな。
私はコアなプログレ・ファンではないんで、
「こんなの“ジェネシス”じゃないよ」と言われても、仕方ないんですけど。
(その筋では、ピーター在籍時の「FOXTROT」から「眩惑のブロードウェイ」こそ、
ジェネシスの最高傑作と釘で打たれてる感じです)
ただ、ピーター・ガブリエル(vo)がいなくなって、
スティーブ・ハケット(g)もいなくなり、...そして3人が残った。
(トニー・バンクス(key)、マイク・ラザフォード(g、b)、フィル・コリンズ(ds、vo)の3人)
これでもジェネシスは、時代に沿う形で変化していき、フィルを中心に、
ポップ感覚を身に付けていき、80年代には大きな成功へと導かれることになる。
そんな中でも、83年発表のこの作品は、陰影のある彼らの伝統のサウンドと、
ほどよいポップ要素がプラスされ、なおかつメリハリがあってパワフルな音に、
仕上がって、実に聴き応えあるアルバムだ。
まず、今までのアルバムより音質(録音技術)が格段に良くなってる。
彼らと共同プロデュースした、敏腕エンジニアのヒュー・パジャムの起用が大きい。
これは、彼の絶妙なエフェクトやエコー処理の技術のたまものだ。
(ポリスの「SYNCHRONISITY」の音質も素晴らしかった)
それは、フィルのドラムの音にも劇的な変化を見せる。
ピーターのソロ「Ⅲ」参加時に編み出した生ドラムの音にコンプレッサーをかけた、
エフェクト処理“ゲート・リバーブ・ドラム”と、パジャムの技術とが噛み合い、
更にシンセ・ドラム(シモンズ)も導入して、ジェネシスの屋台骨は革新的に強化された。
もともと、フィルはクセのあるドラマーで、ジェフ・ポーカロや、
スティーブ・ガットみたいに、タイトにリズムを刻むタイプじゃなく、
まったりとして少しモタつき気味なんだけど、
独特の“間”でドタバタとグルーヴを生み出すタイプだ。
特に中~低域のタムの音は特徴的だし、天性のリズム感の良さからか、
スネアのタイミング(おかず)は抜群にうまいし、キレがあって深みもある。
これほど手数が多くて耳に残るドラマーは、そうはいないと思う。
(フィルのドラムをこれでもかと堪能できるのは、別のソロ・プロジェクト、
“BRAND X”の1枚目「異常行為」をお勧めします)
このアルバム、とにかく“Mama”に尽きる。
リズムマシンのパターンから、バンクスの不気味なシンセが漂いだす。
フィルも甘さを捨て去り、追い詰めるようにじわじわとにじり寄り、
「Ha Ha!」と堰を切ったような掛け声は、怪奇そのもの。
マイクのギターも冷たくエキセントリックなプレイに執し、
発狂したフィルは、とうとうドラムの前で耳をつんざく大音量でぶっ叩きまくる。
このドラマティックな展開と終盤の重厚なパフォーマンス、シリアスな内容といい、
3人後のジェネシスのベスト・ソングといっていい。
(こんな曲をシングルにして、チャートのトップになる英国での彼らの人気は想像以上)
だから、続く軽快な“That's All”とのギャップの大きさに驚いたものだ。
(これも、大ヒットして後期ジェネシスの代表曲となった)
ポップな中にも、スピードの緩急を織り交ぜた流れで一気に聴かせてしまう。
なんか、勢いとパワーでねじ伏せられる力強いジェネシスを見た感じだ。
ただこれ以降のアルバムは、良くも悪くも、フィルのカラーが濃くなりすぎてしまう。
中には、フィルのソロと区別がつかない曲も出てきたりして、
3人のバランスのとれたトライアングルが描けられるのは、ここまでかなぁ。
結局、フィルのエンターティナーぶりの成長と引き換えに(脱退)、
ダメになってしまうもの。
やっぱ、何でも“やり過ぎ”は、いけないもんです。

Mama (ママ)
That's All (ザッツ・オール)
Home By The Sea (ホーム・バイ・ザ・シー)
Second Home By The Sea (セカンド・ホーム・バイ・ザ・シー)
Illegal Alien (イリーガル・エイリアン)
Talk It All Too Hard (トーク・イット・オール・トゥ・ハード)
Just A Job To Do (ジャスト・ア・ジョブ・トゥ・ドゥ)
Sliver Rainbow (シルバー・レインボゥ)
It's Gonna Get Better (イッツ・ゴナ・ゲット・ベター)
「プログレがポップのなったらいけないのかなぁ?」
というより、ジェネシスってプログレの位置づけでいいのかな。
私はコアなプログレ・ファンではないんで、
「こんなの“ジェネシス”じゃないよ」と言われても、仕方ないんですけど。
(その筋では、ピーター在籍時の「FOXTROT」から「眩惑のブロードウェイ」こそ、
ジェネシスの最高傑作と釘で打たれてる感じです)
ただ、ピーター・ガブリエル(vo)がいなくなって、
スティーブ・ハケット(g)もいなくなり、...そして3人が残った。
(トニー・バンクス(key)、マイク・ラザフォード(g、b)、フィル・コリンズ(ds、vo)の3人)
これでもジェネシスは、時代に沿う形で変化していき、フィルを中心に、
ポップ感覚を身に付けていき、80年代には大きな成功へと導かれることになる。
そんな中でも、83年発表のこの作品は、陰影のある彼らの伝統のサウンドと、
ほどよいポップ要素がプラスされ、なおかつメリハリがあってパワフルな音に、
仕上がって、実に聴き応えあるアルバムだ。
まず、今までのアルバムより音質(録音技術)が格段に良くなってる。
彼らと共同プロデュースした、敏腕エンジニアのヒュー・パジャムの起用が大きい。
これは、彼の絶妙なエフェクトやエコー処理の技術のたまものだ。
(ポリスの「SYNCHRONISITY」の音質も素晴らしかった)
それは、フィルのドラムの音にも劇的な変化を見せる。
ピーターのソロ「Ⅲ」参加時に編み出した生ドラムの音にコンプレッサーをかけた、
エフェクト処理“ゲート・リバーブ・ドラム”と、パジャムの技術とが噛み合い、
更にシンセ・ドラム(シモンズ)も導入して、ジェネシスの屋台骨は革新的に強化された。
もともと、フィルはクセのあるドラマーで、ジェフ・ポーカロや、
スティーブ・ガットみたいに、タイトにリズムを刻むタイプじゃなく、
まったりとして少しモタつき気味なんだけど、
独特の“間”でドタバタとグルーヴを生み出すタイプだ。
特に中~低域のタムの音は特徴的だし、天性のリズム感の良さからか、
スネアのタイミング(おかず)は抜群にうまいし、キレがあって深みもある。
これほど手数が多くて耳に残るドラマーは、そうはいないと思う。
(フィルのドラムをこれでもかと堪能できるのは、別のソロ・プロジェクト、
“BRAND X”の1枚目「異常行為」をお勧めします)
このアルバム、とにかく“Mama”に尽きる。
リズムマシンのパターンから、バンクスの不気味なシンセが漂いだす。
フィルも甘さを捨て去り、追い詰めるようにじわじわとにじり寄り、
「Ha Ha!」と堰を切ったような掛け声は、怪奇そのもの。
マイクのギターも冷たくエキセントリックなプレイに執し、
発狂したフィルは、とうとうドラムの前で耳をつんざく大音量でぶっ叩きまくる。
このドラマティックな展開と終盤の重厚なパフォーマンス、シリアスな内容といい、
3人後のジェネシスのベスト・ソングといっていい。
(こんな曲をシングルにして、チャートのトップになる英国での彼らの人気は想像以上)
だから、続く軽快な“That's All”とのギャップの大きさに驚いたものだ。
(これも、大ヒットして後期ジェネシスの代表曲となった)
ポップな中にも、スピードの緩急を織り交ぜた流れで一気に聴かせてしまう。
なんか、勢いとパワーでねじ伏せられる力強いジェネシスを見た感じだ。
ただこれ以降のアルバムは、良くも悪くも、フィルのカラーが濃くなりすぎてしまう。
中には、フィルのソロと区別がつかない曲も出てきたりして、
3人のバランスのとれたトライアングルが描けられるのは、ここまでかなぁ。
結局、フィルのエンターティナーぶりの成長と引き換えに(脱退)、
ダメになってしまうもの。
やっぱ、何でも“やり過ぎ”は、いけないもんです。