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もう魅せられ、惑わされで・・。 

      BELLA DONNA / THE WILD HEART     STEVIE NICKS

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      Bella Donna                   Wild Heart
      Kind Of Woman                If Anyone Falls
      Stop Draggin' My Heart Around     Gate And Garden       
      After The Glitter Fades          Nightbird
      Edge Of Seventeen             Stand Back
      How Still My Love              I Will Run To You
      Leather And Lace              Nothing Ever Changes
      Outside The Rain               Sable On Blond
      The Highway Man              Beauty And The Beast

 「世の中には、こんなに綺麗な女性がいるんだ・・」
 我ら80's世代のバイブル的TV番組「ベストヒットUSA」のCOUNTDOWN USAの
 コーナーで、“If Anyone Falls”のクリップを見て目が釘付けになってしまった。
 セピアとモノクロとカラーが絶妙なコントラストで、彼女の美しさを際立たせる。
 曲もいい。 それに一度聞いたら忘れられないあの声。
 美貌と媚声(?)。 このアンバランスさ、アンニュイさ、気だるさといい、
 間違いなく、彼女のNo.1プロモ・クリップだ。
 (また、あのUSフェスティバルでの“Stand Back”のライブも鮮明に焼き付いてる。)
 当時高1だった私にゃ、もうやられるどころか、もう魔法にかけられたも同然。

 すぐに、LPを買いに行った。 魔法にかかったままだ。
 「THE WILD HEART」。 ジャケットもいい。
 「こんなに美しい魔女がいるんかいな・・」とか思いつつ・・。
 そして、これがセカンド・アルバムだってことを初めて知った。
 そして、彼女がフリートウッド・マックというバンドにいることも。
 ファーストが聴きたくなった。 また、買いに走った・・。

 ベラドンナって、幻覚や錯乱作用を引き起こす毒草のことなんだって。
 スティーヴィー・ニックス。 まさにぴったり。
 フリートウッド・マックの歌姫かつ妖精。 そして、“麗しのベラドンナ”。
 もうここでは、歳の話は抜きにして、あのシェリル・クロウや、
 先のグラミー賞を独占したディクシー・チックスにも多大な影響を与え、
 今もなお、世界のロック・ファンを魅了し続ける永遠の女性ロッカーだ。 

 可憐な容姿と美貌。 そしてロックシンガーとしてはあまりも魅力的な歌声。
 ハスキーでドスが効いてるんだけど、時には恐ろしく繊細で情感あふれるセンスが、
 絶妙に同居している。 こんな声は世界で彼女だけだろう。
 
 マックのアルバムのレビューの前に、彼女のアルバムを先にレビューするのは、
 順番が逆になってしまうんだけど、え~い、今回は2枚まとめてまいります。

 まず、ソロデビュー作の「BELLA DONNA」から、
 これは文句なく彼女の最高傑作であり最重要作。
 フリートウッド・マックはリード・ヴォーカル兼ソング・ライターが3人いるんで、
 アルバムあたり、彼女の作品はせいぜい3、4曲しかなかった。
 だから、「もっとスティーヴィーの曲が聴きたい!」というファンは、
 狂喜したことでしょう。
 
 このソロ・アルバムは、彼女が大ファンであるトム・ペティを通じて、
 プロデューサーである、ジミー・アイオヴィンに働きかけて実現した。
 トム・ペティとハートブレイカーズに、(私しゃ、大ヒットした“嘆きの天使”より、
 彼女のライブでのオープニング・トラックとなった“Outside The Rain”の方が好きだ)
 元イーグルスの面々やLAを中心とした超一流メンバー達が脇を固め、
 スティーヴィーを全面的にバックアップして、この傑作が完成した。

 本家マックでは、ミック・フリートウッド(ds)とジョン・マクヴィー(b)という、
 ブルース畑出身の骨太リズム隊が土台を支えていたけど、
 ソロでは、ラス・カンケル(ds)とボブ・グロウブ(b)というLAの腕利きプレイヤーで支え、
 軽めのソリッド・ロックや彼女のルーツである、カントリー色の強い曲に、
 実にフィットしている。(後のソロ作も、このコンビでの曲が多いかな)

 でも特筆すべきは、全面的にサポートしているワディ・ワクエルのギターは圧巻。
 前にストーンズに誘われていたことがあるだけに、(キースのソロでも活躍してたね)
 曲によって、音色を自在に変化させ、彼女のカラーに更に色彩を加える。
 ドン・ヘンリーとのデュエットで大ヒットした“Lether And Lace”での、
 繊細なカントリー・タッチなプレイから、トーンの引き具合もバツグンに巧いし、
 彼女のロック・スピリッツを、ワイルドかつドライブ感いっぱいに煽る、
 見事なカッティングが印象的な“Edge Of Seventeen”は、彼のベスト・プレイだろう。

 このソロ・デビュー作が大ヒットして、その勢いのまま、セカンド・アルバムにも着手。
 と同時に、マックとしてのアルバム録音も進めていたとのことで、
 (マックは’82年「MIRAGE」を発表、これも大ヒットした)
 この頃には、ほとんど完成してたんだって。 
 彼女との出会いとなったセカンド・アルバム「THE WILD HEART」は、
 “妖精”から、“脱・妖精”へ。 
 それは、“ロック・シンガーの小悪魔”への変貌だ。

 彼女のベスト・シングルといっていい“Stand Back”は、分厚いシンセ・ダブから、
 (クレジットはないけど、プリンスとの共作らしいから、ヒントになったのかな)
 力強いビートに乗せて、ロック小悪魔と化したスティーヴィーのドスの効いた、
 ヴォーカルで、聴く者を圧倒させてしまう。 (私などダウンしたまんま・・)
 前作で強かったカントリー・フレイバーっぽさがなくて、 全体的に、
 シンセを多用した、ロック色の強いアルバムに仕上がっている。
 だから、“Stand Back”のシングルのB面に入っていた“Garbo”という曲は、
 カントリーっぽい粋な小曲で好きだったんだけど、アルバムには入れなかったんだろう。

 曲の良さや完成度からして、「BELLA DONNA」の方が上だと思うけど、
 彼女との出会いでもあったし、愛着の深さでは、「THE WILD HEART」。
 今聴くと2枚とも、古き良き“80年代”の音。 今こんな音聴けねえもんなぁ・・。
 ただ、現在この2枚とも日本では廃盤とのこと。 
 (いけません! レーベルの絡みもあるでしょうが、紙ジャケ化して復活望みます!)

 ただし、海外でオールタイム・ベスト盤が今月末にリリースされる。
 しかも、DVD付き仕様もあり、それには、過去のすべてのプロモ・クリップに、
 「BELLA DONNA」の録音模様を録ったフィルムもあるとか。
 これは、絶対に買いだ!

 出会って、約24年。  未だ、魔法解けず・・。
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2007/03/13 Tue. 22:41 [edit]

Category: フリートウッド・マック

Thread:洋楽CDレビュー  Janre:音楽

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