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腐ったリンゴの方程式。 (中編) 

           GET BACK  (未発表)      THE BEATLES
           
                   GET BACK

                  [ GLYN JOHNS 2nd Mix ]                
                    One After 909
                    Rocker
                    Save The Last Dance For Me
                    Don't Let Me Down
                    Dig A Pony   
                    I've Got A Feeling
                    Get Back
                    Let It Be
                    For You Blue
                    Two Of Us
                    Maggie Mae
                    Dig It
                    The Long And Winding Road
                    I Me Mine
                    Across The Universe
                    Get Back (reprise)

   前回に引き続き、この不遇の“迷盤”「GET BACK」で、お付き合いを。

   ビートルズってバンドは録音が大好きなバンドでした。
   録りっぱなし。 回しっぱなし。 そして、髪もヒゲも伸ばしっぱなしで。
   ダラッダラッとよくもまぁ・・・。 ある程度ジャムして、さぁ撮ろか、じゃなくて、
   チューニングやアドリブから、ミスも含め全部回してるから、すべて残ってる。
   クズのようなテープの山でも、このセッションの膨大な記録は貴重な遺産だ。

   数多くの曲を試みてるが、1月28日になんと“Love Me Do”を演ってる。
   別のブートで聴けたんだけど、スローブルースっぽくてラフで、渋いんだ、コレ。
   音も悪いし、残ってたのがスゴいんだけど、もし入れたら、面白かったのでは。
   また、キャバーンで演ってた頃を思い出そうとしたのか、このセッションでは、
   50年代のスタンダードをたくさんプレイしてる。
    (しかし、ルーズになり過ぎ、未完成のままだったけど)

   ジョンズの苦労も報われず、一向にリリースされないままだった「GET BACK」。
   ビートルズの面々は、あのセッションを反省したのか(?...)、マーティンの下、
   まるで“解散までまっしぐら”かのごとく、一致団結して、既に「ABBEY ROAD」の
   レコーディングに入っており、 (明確な区別はなかったようだが、) 彼には悪いが、
   ビートルズにとって、もう「GET BACK」なんか、どうでもよかったのだ。

   しばらく棚上げのまま、9月には「ABBEY ROAD」が発表されて、
   再び「GET BACK」にスポットが当たるのは、70年1月に入ってから。
   しかし、フィルムの編集も終えたころには、本来の意図とは違うコンセプトに変更、
   公開予定の映画の内容に合ったアルバムになるように、ポールは、ジョンズに、  
   再度「GET BACK」のミックスのやり直しを指示した。

   ジョンズは、1st Mixには、あまり手を加えず、“Teddy Boy”をカットして、
    (この曲は映画に出てこないばかりか、ジョンがとにかく嫌いで、 
     ポールが何度も繰り返しセッションするのに結局完成できなかった曲。
     ポールはカットを指示した。 なぜなら、同期にポールは、なんと偽名で、
     誰にも気づかれずに、アビーロードの別スタでソロ用に録音していたからだ)
   ジョージの“I Me Mine”とジョンの“Across The Universe”を追加し、
   “Let It Be”をアナログでいうA面のラストに持ってくる曲順に変えた。 
   これが「GET BACK」の2nd Mix といわれるものだ。 (70年1月5日完成)

   この音源は存在は分かってても幻のマスターとして、なかなか流出しなかったが、
   80年代初め、アビー・ロードのエンジニアだった故ジョン・バレットが、結成20周年
   記念企画用に、膨大な音源のリミックスを行っている際に発掘したものだ。
   (彼が発掘したデータ、音源は、後の「アンソロジー」で大きく貢献する。)

   1st同様、2ndもルーフ・トップ版“One After 909”でスタート。
   寒空の下での名演でミックスもストレートで荒い。  
   “Rocker”たる即興インストから、ポールがアドリブで“Save The Dance~”へ、
   ふざけぎみにメンバーを誘い込み、間を見計らって「♪ドン・レッミ~ダン~!!」と、
   いきなりヤリだして、ジョンがもとい。 やり取りを挟んで、再度プレイするところは、
   そのまま収録。 “Get Back”はシングル・ミックスをそのまま収録。
   屋上で演った2回目の方でも良かったと思うけど、このミックスも好きなんで○。

   “Let It Be”はベストプレイだった第27テイクに4月30日のギター・ソロを、
   オーヴァーダブしたものにし、(もはやオーヴァーダブなしの概念などなかった)
   “The Long And Winding Road”も第19テイクの素朴でシンプルなアレンジが、
   一番美しい。 ジョンの即興ナンバー“Dig It”は、2ndバージョンで約13分弱を
   大幅に短く編集。 ジョージの“I Me Mine”は1分34秒と短いがベスト・テイクに
   ギター、コーラス、オルガンをオーヴァーダブ。 こちらがほんとのテイク。
   そうこうして、セッションから1年後、やっと“改訂版”が完成した。

   しかし、この「GET BACK」改訂版もリリースされなかった。
   これも様々な要因が絡んでいるみたいだけど、一説には、ジョンズがアルバムの
   プロデューサーのクレジットを要求したのを、ジョンが”売名行為だ”とダメ出しして、
   オクラにしたとも言われている。 (もったいないことを・・・。)
   ただ言えることは、もう「GET BACK(原点に立ち返る)」じゃなくなったこと。
   それは、結局「LET IT BE(なすがまま)」にしかならなかった。
   それは自然な流れであり、止められなかったのだ。
   すでに、ビートルズは終わっていたのだ・・・。

   でも、映画は公開しなくてはならなかった。
   莫大な時間と投資は回収しなくてはなりません。
   ジョンは、「GET BACK」のやり直しを、ある一人の男に命じた。
    「オーディションのつもりでやってみな。」
   フィル・スペクター。  良くも、いや、悪くも「GET BACK」を葬った男だ。

   このネタ、もう一回引っ張ります。 今回はここまで。 (続く)    
                          
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2009/04/22 Wed. 20:55 [edit]

Category: ビートルズ

Thread:ビートルズ関連  Janre:音楽

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