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冒険心と死の香りにイキリ“勃つ”、「右曲がりのダンディ」。 

      STICKY FINGERS    THE ROLLING STONES

         

            Brown Sugar
            Sway
            Wild Horses
            Can't You Hear Me Knocking
            You Gotta Move
            Bitch
            I Got The Blues
            Sister Morphine
            Dead Flowers
            Moonlight Mile


 1970年7月に英デッカとの契約が切れて、兼ねてから構想中だった自身のレーベル設立を
 実現すべく、(レーベル立ち上げのきっかけは、「BEGGARS BANQUET」のジャケット問題
 だと思われる。 デッカが、あの“トイレの落書き”にケチをつけ、白地の無地で発売するのだ)
 経済学に長けたミックは知恵を働かせ、悪徳敏腕マネージャーのアラン・クラインを切り、
 ビートルズの「APPLE」に続けとばかりに、ビジネス面をマーシャル・チェスに任せて、
 (チェス・レコードの設立者の息子)、レーベル・ロゴは、ポップ・アートの奇才である
 アンディ・ウォーホルのアート・デザインによる、あの“舌のロゴ・マーク”で、
 1971年4月6日に、自身のレーベル「ROLLING STONES RECORD」をスタートさせた。

 あれこれうるさい規制や注文してくるABKCOの束縛から離れ、ストーンズはこの作品から、
 とうとう創作上の自由と権利を手にしたのだ。

      

 まさに、ストーンズというバンドの歴史や性格、音楽性を反映し、ミック・ジャガーの
 口元の“タラコ”具合や舌の特徴も見事に表現した、もう今では見慣れてしまったものの
 素晴らしいアート・ワークの大傑作だ。

 あれから丁度40年経った今。  
 さて今年に入っても、ユニヴァーサル・レーベルでのストーンズ・アーカイブ祭りは
 止まることはありません。  遂にというか、まさか“マジ”で出してくるとは・・。

 実は待ってたんです。 「こんなん出たらなぁ・・」って。  ずっと思ってました。
 それは・・。
 商魂たくましいABKCO(デッカ/ロンドン時代)は、シングル・コレクションやシングル盤
 をボックスにまとめたセット(全3巻)を過去に発売してました。  が。 
 「ローリング・ストーンズ・レコード」設立40周年を記念してか、ベロ・マーク以降の
 最新シングルまでのシングル盤、合計45枚をセットにしたシングル・ボックスが、
 遂に4月20日に日本発売されるのだ。

    

 基本的にストーンズってバンドは、レコード会社ってのを信用してないんだろうと思ってる
 んですが(巨額の移籍金の魅力もあるでしょう)、 EMI、ソニー、Virgin、そして現在は
 ユニヴァーサルと、配給元をジプシーの如く転々としているから、移籍するたびに、
 過去のアルバム・カタログが再発される。 レコード会社が一番欲しい“ドル箱”だからだ。
 しかし、過去のシングル盤ってのは、言ってみれば、レコード会社にしたら「時のモノ」。 
 “出し捨て”の存在。 売れたら“もうけもの”。 悲しいけど、シングルってそんなモノ。
 なので、過去の配給元は、こんな企画すら頭になかったと思います。

 ただ今回のユニヴァーサル移籍後のアーカイブ・プロジェクトの“本気度”は本物。
 だって、ストーンズ・マニアが望んでる音源や映像を確実に順を追いつつ、丁寧に
 オフィシャル化していってる。 過去の配給元とは、“気持ちの入れ方”が違うから、
 ミックもキースも当然OKするワケだ。 だから今後も、“アッと驚く”音源や映像などが
 どんどんオフィシャル化されるのではないかと期待してしまう。

        

 1971年4月16日。  今から丁度40年前のことだ。
 新しく立ち上げた「ローリング・ストーンズ・レコード」からの第一弾シングルとして、
 “Brown Sugar”が英国で発売された。 この曲は、当時裁判で係争中だったアラン・クライン
 にも版権を押さえられていたため(“Wild Horses”もそう)、以前のABKCOレーベルからも
 編集盤に収められるという微妙な立場にある曲にも思うが、やはり“ニュー・ストーンズ”の
 実り多き70年代への華々しい船出として、新たに、“(I Can't Get No)Satisfaction”や、
 “Jumpin’Jack Flash”に続くパブリック・イメージを決定づけた超重要曲になった。

 1969年の全米ツアー中に、マッスル・ショールズで録音された。(“You Got A Move”と共に)
 キースの5弦ギターによる歯切れのいいオープンGとミック・テイラーの骨太いカッティングで
 始まるイントロがあまりにカッコ良過ぎて、ノッケから“ロックの王道”を突き付けられ、
 グイグイと引っ張られてしまう。

 ストーンズの南部志向は顕著で、当時南部でまだ残っていた黒人奴隷制度の事を揶揄して、
 黒人女性(奴隷)を夜な夜な乱暴する、極めて悪趣味で猥褻な詩だが、ライブ演奏では、
 スピード感とストレートなロックンロールに圧倒されっぱなしで、痛快な気分になる。
 ただスタジオ・テイクの方は、実に混沌とした独特のバンド・グルーヴで熱気ムンムンだ。
 (たぶんスタジオはマリファナの煙が立ち込め、ヘロインでハイになったまま録音してたのだろう)
 ミック・テイラーの陰で、キースのアコギや故イアン・ステュワートのピアノが更に泥臭さ
 に拍車をかけ、間奏をギターにせず、ボビー・キーズの目の覚めるようなサックス・ソロに
 したことが面白く、マラカスやカウベルも交えて“乱交騒ぎ”如く、ラストまで盛り上がっていく。  
 あまりの自信作だ。 この曲で、70年代のストーンズの“成功”は決まったも同然だった。
 (とはいえ、案外、波乱万丈だった70年代ではあったが)
 
 しかしココにきて、このボックスの最も“肝”であった目玉が白紙になってしまった。
 このボックスでは、その当時発売されたカップリングでオリジナル盤のモノラル・バージョン
 での待望の復刻が予定されていたが、残念ながら見送られてしまったのだ。 ショック・・。
 (“Wild Horses”、“Tumbling Dice”、“Happy”も通常バージョンにされてしまっていた)
 唯一オリジナル盤“Happy”のB面に収められた“All Down The Line”だけは、ミックス違いの
 ド派手なモノラル別バージョンで収録されているようだ)

 その“Brown Sugar”発売から一週間後の4月23日に、自らのレーベル初のアルバムである
 「STICKY FINGERS」を発表する。 プロデュースはジミー・ミラー。 「BEGGARS BANQUET」
 から「GOATS HEAD SOUP」までのストーンズ史上最重要期のアルバムは、彼が手掛けたものだ。
 エンジニアはグリン・ジョンズと弟のアンディ・ジョンズ。 “南部魂”炸裂の傑作に仕上げる。

  

 そしてジャケット・デザインは、先に紹介したポップ・アートの奇才アンディ・ウォーホル。
 Gパンの股間部分をアップにしただけのシンプルかつ卑猥なインパクトは、一度見たら忘れない。
 (実際Gパンのジッパーのついたジャケで、それを開くと、“モッコリ”ブリーフがお目見え)
 ストーンズというバンドのイメージにぴったりのデザインとセンスに、素晴らしいアイデアが
 結集した、ロックの歴史を代表するアルバム・ジャケット・アートである。

 しかし、マニアの方はご承知でしょうし、既にコレクトされている方も多いと思いますが、
 上の右写真が、ジッパー・ジャケが“猥褻”だという理由で、スペイン盤のみ差し替えて、
 発売されたジャケット。 でも、私はこっちのジャケの方が問題あると思うんだけど・・。
 中味も歌詞がアブナイ理由で“Sister Morphine”に変えて、シングル“Brown Sugar”の
 カップリング収録された71年3月のリーズ大学にてライブ録音されたチャック・ベリーのカバー
 である“Let It Rock”が、なんとリアル・ステレオ・バージョン(!)で収録された。 
 (欧州向け輸出仕様の2ndプレスは割に見つかるけど、初回盤はかなり貴重だ)

 ジミー・ミラーとのコラボレートした名作群の中でも、自身のレーベルの“売り出し”も
 意識してなのか、キャッチーでバラエティに富んだ曲が次々と飛び出してきて、最も
 コマーシャリズムな方向でまとめられているアルバムだ。
 よくストーンズは、黒人音楽のコピーからスタートしたと言われているが、ルーツである地で、
 (マッスル・ショールズは、サザン・ソウルのメッカでもある)様々なジャムを繰り返す中で
 ようやく血肉化し、黒人への憧れや“パクり”から抜け出し、ビートやリズムなど感覚的部分
 まで肉体に宿すことができたことが大きい。 もちろん敬意と懐の深さも兼ね揃えて。
 今後、ストーンズの音楽は、その“肉体”から生み出されていくことになる。

 特にミック・テイラーが、完全にストーンズに馴染んでハマってるとこが一番の肝。
 テイラーのヘヴィーなリフに縦横無尽に弾き倒すブルージーなギターと、キースのカッティング
 が対照的なギタリストが織り成すルーズなバンド・グルーヴこそ、ストーンズ最大の武器だ。

   taylor jpg

 シングル“Brown Sugar”のB面に、派手なブラスホーン隊をバックにするようなスタックス系の
 ファンキーな音にテイラーのリフとキースの絶妙なカッティングでヘヴィーに展開する“Bitch”や
 このアルバムで、最もテイラーのギターに注目すべき曲は“Can't You Hear Me Knocking”。
 右のスピーカーから、テイラーのメイン・リフを鋭角なカッティングでグイグイ曲をリードして、
 左のキースのカッティングも絡めながら、スリリングに曲が進んでいく7分強の大作だ。
 中盤以降はラテンやカリブ風に展開して、コンガやチャーリーのドラム・アンサンブルに乗って、
 テイラーのサンタナを意識したようなアドリブ満点の湿ったトーンが冴え渡るギター・ソロに、
 ボビー・キーズのサックス・ソロが見事にプラス。 緊張感あふれるジャム・セッションだ。

 そんな派手さの中にも、「死」の匂いが、所々に漂っているアルバムでもある。

 “Brown Sugar”の第一弾に続いて、ストーンズ流カントリー・ロックの名バラードである
 “Wild Horses”がシングル・カットされた。 この曲は、カントリー・ロックの先駆者で
 あったグラム・パースンズとの交流によって導かれた、あまりに悲しい友情の曲だ。
 
 「 命が果てた時。 あの世で一緒に暮らそう。  野生の馬に、ふたりで乗ろうな 」

         

 この曲の誕生については、色々と諸説あるが、やはりキースがグラムとの親密な関係が密接
 に関わっているに違いない。  グラムは、カントリー界の新鋭として期待されたが、
 ドラッグ過多によって、26歳の若さで生涯を終えてしまう。  グラムがバーズ加入後
 すぐに、ロンドンでミックとキースに出会ってから、彼はストーンズとの交流を深めていく。
 当時のストーンズには“ドラッグ”は必需品だ。 グラムも彼らと“つるんでる”うちに、
 ドンドン堕ちて行ってしまったのだろう・・。  キースは、今でも嘆いているのだ。
 「奴(グラム)と一緒に座って、この曲を演ったのを覚えてる。 いろんな事を思い出すよ。
  悲しい曲だしね。  あの時は本当に大変な時期だったんだ・・。 」
 キースとテイラーの2本のアコギのコードを縫うように、オーヴァーダブした2本のエレキと
 ジム・デッキンソンのピアノが浮遊する。(彼はFBBのプロデューサーでもあった)
 ミックの表現力豊かなヴォーカルも絡んで、ルーズさと美しさが醸し出すコントラストは見事だ。

 グラムの死にまつわる曲として“Dead Flowers”も、彼に捧げられた曲だ。
 グラムがバーズ脱退後の68年に結成したフライング・ブリトー・バンド(FBB)のファンが、
 彼らに薔薇を贈ったのだが、それが飛行機で輸送中に凍って枯れてしまったことを歌った。
 
 「 毎朝、死んだ花を贈り届けておくれよ。 俺はおまえの墓に薔薇を置いておくからさ。」
          
 “死の香り”は、悪魔(ドラッグを意味してるのか)に左右された生活の苦痛を歌う“Sway”
 や、ミックの当時の恋人だったマリアンヌ・フェイスフルが“モルヒネ狂いの嬢”と、自ら
 の麻薬の禁断症状の様子を詞に書いた、ミックとキースとの共作の“Sister Morphine”と
 (ライ・クーダーのスライドがむせび泣く・・)、プンプン匂わせて繰り返される。

 当時のストーンズには、やたらと“死の香り”が漂っていたのもそのまま反映されたのだろう。

 ドラッグ中毒に陥ったため、バンドの創設者でリーダーだったのに、クビにされて、あげくに
 廃人になったブライアン・ジョーンズは、その後間もなく、自宅のプールで変死してしまうし、 
 イーストコースト(東海岸)で多大な影響とムーブメントを起こした「ウッドストック」に対抗して、
 西海岸でも、大規模なフリー・コンサートを演ろうと立ち上げたら、暴力沙汰になり、遂には、
 殺人事件にまで発展してしまったりする(“オルタモントの悲劇”と言われる)。

 何かやるたび。 何か動くたびに。 犠牲者が出てきてしまうのだ。 さすがに“へこむ”。
 (“オルタモントの悲劇”は、映画「ギミー・シェルター」でドキュメントされているが、
  この事件での、ストーンズのへこみ方や沈痛な表情がはっきりと映像で残されている)
 当時のストーンズには、彼らの野心や冒険心とは裏腹に、混沌と“死の香り”が渦巻いていたのだ。
 彼らが野心や冒険心に忠実であろうとすればするほど、混沌と“死色”は色濃くなっていった。

   

 しかし彼らは、そうした逆境に打ち勝って、キャリアにおいて最高ともいえるアルバムを完成
 させるのだ。  何たる強固な意志だろう。  何たる勇気の持ち主なのだろう。

 見習わなければならない。   素晴らしい魂と冒険心だ。

 「手癖の悪い指」という意味深なタイトルは、あまりに的を得た見事なタイトルだが、
 この“絵”を見るなら、「右曲がりのダンディ」とでも勝手に題していいかな。

 40年前に書かれた、少々下品で泥臭いが、こんなに“深読み”が出来るロックの教科書であり、
 ブリーフの中に押し込められた“イキリ勃つ”、ロックの芸術の境地がコレだ。
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2011/04/09 Sat. 19:56 [edit]

Category: ローリング・ストーンズ

Thread:洋楽CDレビュー  Janre:音楽

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