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3色のポップカラーは陽炎の如し。 

           MIRAGE      FLEETWOOD MAC
                 
            

             Love In Store
             Can't Go Back
             That's Alright
             Book Of Love
             Gypsy
             Only Over You
             Empire State
             Straight Back
             Hold Me
             Oh Diane
             Eyes Of The World
             Wish You Were Here

 すこし勝手にお休みをいただきましたが、戦線復帰いたします。
 あまり時間がない関係で、少々ハショりますけど、ご勘弁を。

 書きたいなと思っても、書いていないアーチスト、バンドがたくさんあるんですが、
 今日は、あの「I'm Lovin' It」でおなじみのハンバーガーの“マクドナルド”、
 Appleの“マッキントッシュ”と共に、世界3大マック(?)と言ってもいい
 “フリートウッド・マック”の話によろしくお付き合いを。

 バンド名の由来となった、ミック・フリートウッド(ds)とジョン・マクヴィー(b)で、
 リズム隊としてバンドの基礎を固め支えながら、フロントマン&ウーマンを
 入れ替えて、度重なる変貌を遂げ、延々と生き延びてきた奇特なバンドだ。

 フリートウッド・マックには大きく3つの時期があって、ピーター・グリーンが、
 メインだった、こてこてのブリティッシュ・ブルース初期。 次がボブ・ウェルチと
 クリスティン・パーフェクト(後にジョン・マクヴィーと結婚して“マクヴィー”に)が、
 加入した過渡期。 そして、リンジー・バッキンガムとスティーヴィー・ニックスが、
 加入してからのアメリカ・ナイズされたポップ・ロックのメジャー期がある。

 世の中のブリテッシュ・ロック、ブルースマニアには、初期のマックこそ、
 “真のマック”と言い張る諸氏もかなりいますが、(確かに、渋くてカッコイイんだ)
 やはり私にとっては、クリスティン加入以降の完全なポップ・ロック路線こそ、
 “真のマック”。 彼女とバッキンガム、ニックスの3人ヴォーカルの才能と活躍
 こそがマックの世界的超メジャー化への原動力であることは間違いなく、
 ポップ・ロック期のフリートウッド・マックのアルバムは、
 3人のライター・シンガーのコンピレーション・ベストといった趣きで、
 長年聴いても飽きることが無い。

    

 あの「噂」や「タスク」を差し置いて、この82年の作品をレビューするのも、
 どうなんでしょ?・・とは思ったんですが、なんだかんだ言って、よくよく思えば、
 一番好きなアルバムかもしれないんで・・。 今回は「MIRAGE」で参ります。

 この「MIRAGE」は特別に評価の高い作品ではないけれど、以前の作品より
 録音が向上しているため聴きやすく、全部の曲がキラキラしている印象で
 彼らの珠玉のクリスタル・ポップ・ワールドが堪能できる仕上がりだ。
 (黒を基調にしたジャケットもシックで美しく、メンバーの顔がよく見えるのがいい )

 リンジーがプロデュースを務め、彼のひねりの効いたポップセンスが光る
 シンプルなアレンジは、バンド・アンサンブルを最良に引き立てている。
 核になるような際立つ曲が無いように感じるけど、佳曲が揃っているため、
 1曲ごとのクオリティは極めて高いんじゃないかなぁ。
   
 また、このアルバムは、リンジーのギター・テクニックが冴えわたるアルバム
 でもあり、リズム隊のメリハリがついたおかげで、彼のプレイを堪能できる。
 リンジーはフリードウッドマックのギタリストとしては、アメリカのみならず、
 世界的に有名なんだけど、日本での知名度は残念ながら低いんだ・・。
 確かに目立たないが、彼は米「ローリング・ストーン」誌が2007年に発表した
 「史上最も過小評価されているギタリスト25人」で7位にランキングされるほど
 の隠れ名ギタリストで、もっと高く評価されていい“爪弾き”の達人なのだ。

   (ちなみに、そのベスト5はというと・・。 
     1位 プリンス
     2位 カート・コバーン (ニルバーナ)
     3位 ニール・ヤング
     4位 ジョージ・ハリスン
     5位 エース・フレーリー (元キッス)  )

 彼の愛器はリック・ターナーっていう知る人ぞ知る名ギタールシア(個人製作者)
 で、エレキ・ギターやピックアップ、アンプの分野で計り知れない功績のある鉄人
 の手によるもの。 彼の使用する“MODEL1”は、その筋では有名な名器だ。
 97年の復活ライブでは、MODEL1を久々に弾き倒す姿に感激したもんです。
 このピックを使用しないフィンガー・ピック(爪弾き)で、タッピングのテクも
 悶絶もの。
 (この独特の奏法は、カントリーのスリー・フィンガー奏法に影響されたみたい)

 このアルバムを象徴してる、キラキラとしたカラフル・ポップの名曲である、
 大ヒットした1stシングルの“Hold Me”は、クリスティンとのダブル・ヴォーカルが
 1番の聴きどころなんだけど、どっこいリンジーのアコースティックとエレキを
 絶妙にオーヴァーダブさせた音色と、彼の技術は隠れた名演奏。
 でも最大の聴き所は、スティーヴィーの“Gypsy”でのギター・ソロは圧巻。
 エンディング近くのきらびやかなギター・フレーズは、上手い、というより、匠の域。

 ただ、このアルバムでは、3人の曲を比べると、リンジーの曲は今一歩の感が・・。
 (英国での3rdシングルで、“Oh Diane”がTOP10を記録しているけど)
 このアルバムの中でみると、スティーヴィーの出来が一番いいように思う。

 彼女のルーツであるカントリー・フレーバーあふれる“That's Alright”や、
 81年リリースの1stソロ・アルバム「BELLA DONNA」を思わせるロック・サウンドを
 彷彿させる“Straight Back”。 そして、このアルバムのベスト・トラックである
 “Gypsy”は、輝くようなようなポップス・オブ・ポップで、すっかり魅了されっぱなし。
 (曲はスティーヴィーで、アレンジはリンジー。 この2人の最高の共作だ)
 1stソロの大成功をマックに見事に反映させ、多彩ぶりを発揮している。

 プロモで観た“Gypsy”に、やられっぱなしのままの、この私・・。
 魔女のような声と、夢見るようなメロディー、童話から抜け出したようなセットで、
 ドレスを着て、まるで妖精の如く、ヒラヒラと舞うスティーヴィーの綺麗なこと。

 対する、“マックの姉御”クリスティンは、いつもながら質の高いポップスを聴かす。
 “Hold Me”、“Love In Store”とシングル・ヒットも彼女の作品だけど、
 アルバムのラスト・バラード“Wish You Were Here”がいい余韻を残して締める。
 「あなたがここにいてくれたら、私はまるで子供のようでいられるの」と、
 何気ない素直な言葉と旋律が、癒しの空間に引き込んでくれる。
 (スティーヴィーは、ある意味で、“毒”の要素なら、クリスティンは“解毒剤”。
  マックのこの2人の微妙なバランス感覚が、長く愛される要因ともいえるのでは)

  

 しかし、このアルバムで顕在化した3人のソングライターのそれぞれの個性は、
 それがあまりにも、独特のカラーを出し過ぎて、グループとしてまとまった雰囲気を
 作り出せないレベルに来てしまったことも事実。 

 このアルバム後は、3人のソロ活動も活発になり、ソロ・アルバムもヒットして、
 特にスティーヴィーの活躍ぶりは顕著で、それぞれ共にシングル・ヒットも出て、
 解散説まで浮上したことも。 次作までには、5年の時を要してしまう。
   
 存在は陽炎のように淡くも、カラーは鮮明だった、この当時のマック。
 思えば、皮肉なタイトルなんだけど、その色彩感とポップ・センスは抜群でした。

 もうこんなバンド出てこないでしょう。  いい時代でした。

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2009/11/15 Sun. 20:26 [edit]

Category: フリートウッド・マック

Thread:洋楽CDレビュー  Janre:音楽

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この記事に対するコメント

彼らのアルバムは、「ファンタスティック・マック」以降「タンゴ・イン・ザ・ナイト」までのオリジナル・アルバムを所持しておこうと考えているワタシであります。

現在のところ残すは「タスク」とこの「ミラージュ」なのですが、「セーラ」のロング・バージョンが収録された「タスク」のお値段が、ちと高いッス…★(^^;

ぶるじん #- | URL | 2009/11/16 23:59 * edit *

 >ぶるじんさん。
 「タスク」はCD化された際に、1枚仕様になってしまいましたが、
 “Sara”がエディット・バージョンになってしまったんですよねぇ・・。
 (一番短くしちゃダメな曲なのに) 現在は、「ファンタスティツク」「噂」「タスク」の
 3枚はデラックス仕様で出てます。  どれも素晴らしい内容ですよ。

たか兄 #- | URL | 2009/11/17 20:25 * edit *

m(_ _)m

この作品、記憶の奥の方にしまい込んでましたよ。
「噂」大ヒットして余裕の2枚組「Tusk」そして「Mirage」
個人的には2枚組が辛かった記憶がありますが「Sara」が素晴らしかったのが救い
でした。
そして紹介作品ですが「Hold Me」思い出しました。

知らない間にUK BandからUS Bandになった時代がありましたが
時代の寵児ですね。
リーダーのMickが破産宣告したってんで
皆が集まって作品を作ったなんて話があった記憶があります。

良いバンドですよね。

ジュンビキ #- | URL | 2009/11/22 18:38 * edit *

>ジュンビキさん。
 毎度どうもです!
 このアルバムって、案外忘れられてるっていうか、評価がイマイチなんですよねぇ・・。
 各アーチストの個性が強くなったけどポップに仕上げた分、印象が薄くなってしまったのかな。

 確かに、リーダーの破産が、きっかけではあったものの、
 (このバンドの人間関係は、他人では理解しがたいものがありますからねぇ)
 もしそれがなければ、解散かメンバー脱退の危機もあったでしょうから、
 結果オーライでよかったのでは・・?
 
 
 

たか兄 #- | URL | 2009/11/22 21:54 * edit *

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