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“音の壁”の内なる小宇宙。(後編) 

    ALL THINGS MUST PASS    GEORGE HARRISON

         

    (NEW CENTURY EDITION -Degital Remastering-)

            ~ ADDITIONAL TRACKS ~
          I Live For You
          Beware Of Darkness (Demo)
          Let It Down (Demo)
          What Is Life (Backing Track)
          My Sweet Lord (2000)

 前編に続きまして、後編に参ります。  引き続き、お付き合いよろしく。

 オリジナル・アナログ盤の1枚目で、正直“お腹いっぱい”なのに、
 2枚目、いや、3枚目があるんです。 “実質”の初ソロ・アルバムなのに、
 (ジョンが、「あいつ、頭がおかしくなっちまったんじゃないか」と皮肉たっぷり)
 遠慮がありません。 あの控えめだった“第3の男”は、どこに行ったんでしょ。
                   
 2枚目は、“Beware Of Darkness”で始まる。 「暗闇に気を付けろ」と、
 ジョージの宗教的警句で追い込まれるも、幻想的でスケールの広い曲に。
 特に、バングラデシュ難民救済コンサートでのレオン・ラッセルとの、
 デュエットが印象的だった。 (このアルバムにはワケあり不参加?)
 ジョージ追悼コンサートでのクラプトンも素晴らしい名演でした。
 結局ヴォーカルもギターも、“ジョージ”であって、双方のヘロヘロ感が
 相互作用しあって、何とも言えない気持良い浮遊感を生み出してる。

 ディランとの共作やカヴァーがありながら、それ以上にディラン・サウンドなのが、
 “Apple Scruffs”。 グルーピーのことを歌った、もちろんジョージ作。
 アコギのストロークと荒削りなハーモニカが、やけに耳に残る。 
 ただし、サビのメロディーはジョージ以外作らないような、変なライン。
 ヘタクソなんだか、どうもわかんないハーモニカは誰なんだろう? 
 まさか、ディランではあるまいし。  正解は、ジョージ本人。 
 ホルダー付けて吹いてる様子。 ディランの真似でもしたのかな。

 “Ballad Of Sir Frankie Crisp (Let It Roll)”は、スペクターが、
 「歌詞を変えればヒットする」と言ったらしいが、それもうなずける。
 何しろスペクターの言う通り、地味だけど親しみやすく、いい曲なのだ。
 オルガンとペダルを壁に貼り、ジム・ケルトナーとおぼしき控えめなドラムや、
 アコギのバッキング、そして、スライドが効果的。 (泣きのメロディも)
 こういうのは、いじらないほうがいい。 スペクター、こいつ解ってる奴なんだ。 

 しかし、“Awaiting On You All”では、再び、大ウォール・オブ・サウンド大会。
 曲そのものはストレートなロックン・ロールだけど、たった2分半の間に、
 もの凄い勢いで音が埋め込まれている。“Wah‐Wah”のレベルじゃないくらい。
 ドラムも大量に、更にパーカッション。ホーン、コーラス、キーボード類、ギター、
 全てがエコーの波に飲み込まれた挙げ句に、あっという間に終わってしまう。
 この短さが生命線。 これ以上は、コテコテすぎて、くどくなっちゃうから。

 そして、この面は、タイトル曲“All Things Must Pass”で締めくくられる。
 ビートルズ時代、「GET BACK セッション」でリハーサルされていた曲で、何度も
 録り直しても完成出来なかった曲が、“友達”の助けによって陽の目を見ることに。
 今では「ANTHOLOGY 3」で聴けるけど、いまだにボツにした理由がわからない。
 ここでもリンゴがドラム。 ストリングスやホーンは控えめで、(かつ印象に残る)
 アコギとピアノ中心のシンプルなサウンドに仕上げている。 真の名曲だ。
 ジョージのツボを押さえたスライドもいいし、ピートのペダルも涼しげに、
 エンディング付近のベースのフィル・イン(たぶんクラウス)がまた効いている。
 (ジョージ追悼コンサートで、ポールがこの曲を歌ってくれていた。 泣けたなぁ。
  この曲をボツにした“犯人”とおぼしき「きみ」が歌ってる・・。 
  実に感慨深い・・。)

      

 またまた裏返して、“I Dig Love”からのスタート。
 ジョージ流屈折ソウルか。 他愛もない“プチ・エロソング”っていうかな・・。
 ピアノとエコーのかかりまくったドラムがメインになっている。
 (ピアノは“Something”のアウトテイクで弾かれていたものにも似ている。)
 ドラムはこれまたリンゴ。 ほとんどシンバル類を使わないお得意のスタイルで。
 正直、変な曲。 こういうのがいかにもジョージっぽい。

 ビートルズ時代の66年頃の作品という、(アルバムで言うと、「REVOLVER」あたり。
 これをビートルズで聴きたかった。 このドライブ・グルーヴがどう料理したのか。
 いかに、この頃からジョージの才覚が充実し始めたかが分かる。)
 “Art Of Dying”だが、アルバム中、最も強靭なハード・ドライブ・ロック。
 イントロからの強烈なワウ・ペダルはクラプトンで、終始リードして疾走しまくる。
 ドミノスの面々のプレイも追従。 ジョージも必死に追っかける。
 (この曲で、無名時代のフィル・コリンズが、コンガを叩いていたのが有名。)
 これもウォール・オブ・サウンドにコーティングしているが、引っ剥がしてやりたい。

 “Isn't It A Pity (Version 2)”は、“1”よりシンプルなアレンジが特徴。
 2回入れるとはよほどの自信作なんだろうなぁ。 こちらは「音の壁」は控えめで、
 空間を演出するオルガンと隙間を埋めるクラプトンのギターが全体を彩っている。
 後半にはドラムやストリングスも登場するが、よりスペイシーな使い方がされている。

 ジョージとスペクターのヘヴィー・ゴスペル“Hear Me Lord”が、事実上のラスト曲。
 サビの最後の部分のコーラスとリズムチェンジが印象的で、緊張感を曲に与える。
 バランスは小さめだがジョージのスライドが全編に鳴り響く。 ゴスペルでも、
 シンフォニックにアレンジしてることで、宗教臭さが薄められ、まさに大円団。
 ジョージは、神へのご加護を壮大に歌い上げ、この“歌もの”は締めくくられる。

 もうお腹いっぱい以上でしょう。 でも、まだあるんですよ。 3枚目が。

       

 アルバム録音の合間に行われたセッションの様子をまとめた“おまけ”が収録。
 いわゆる、「アップル・ジャム」と呼ばれるものが、3枚目にあたるもの。

 ニュー・センチュリー版では、曲順が変わっているが、オリジナルの順で行くと。
 “Out Of The Blue”は、デレク&ザ・ドミノスに、サックスはボビー・キーズ、
 オルガンにゲイリー・ライト、ギターにジョージを加えてのセッション。
 11分にも及ぶジャムだが、各ソロよりグルーヴを聴かせるほうに集中してプレイ
 している感じだ。 ソロはキーズ→ ライト→ クラプトン→ ジョージ→
 ジョージ&クラプトンと言う順番かな。 

 “It's Johnny's Birthday”はジョージとマル・エヴァンスによる悪ふざけ(?)
 収録日が10月9日だったのかなぁ・・。
 “Plug Me In”もドミノスによる演奏。 ギターにデイヴ・メイスンが加わっている。
 3人のギタリストのバトルをメインに据えたロックンロール・ジャム。
 メインは主にメイスンだが、名ギタリスト達にジョージもしっかりついていってる。

 “I Remember Jeep”は、クラプトンを中心にドラムにジンジャー・ベイカー、
 ベースにクラウス、ピアノがビリー・プレストン、そして随所に聞こえる
 「飛び道具」ムーグを演奏しているのがジョージだ。 エリックとジンジャーの
 コンビネーションはさすがです。

 “Thanks For The Pepperoni”も"Plug Me In"と同じメンバーでのジャム。
 チャック・ベリー風リフから始まるロックンロール・セッションだ。
 デイブ・メイスンの好演が中心だが、単なるチャック・ベリーになりそうな所を
 巧みに外していくジム・ゴードンのシンコペーションしまくったドラムがカッコいい。
       
      

 最後に、ジャケットのカラーを色づけしたニュー・センチュリー版を触れると、
 オリジナル盤より、ノイズが軽減され、格段に収音レベルが上がったために、
 “音の壁”で埋没しがちだったヴォーカルや楽器群の音の分離が良く分かる。
   
 ボーナス・トラックも、ピート・ドレイクのペダル・スティールが素晴らしい
 “I Live For You ”に、“My Sweet Lord”のミレミアム・バージョンが新録音
 されている。 30年という年月が生んだこの深みと熟成された味わい。

 ほとんどの楽器を差し替えていて、ギター、スライドはもとより、シタールなども
 加えられて、インド音楽への深い傾倒が今もなお垣間見える。
 ただ、これには賛否があるでしょう。 枯れてなお、病んでなお。 老いの美学か。
 しかし、あのオリジナルの“ポップスの魔法”は残念ながらここにはない。

 ただひとつ、私にとってはっきり断言できることは、いまだに、このアルバムを、
 平気な顔をして“通り過ぎる”ことはできないということ。 ひょっとしたら、
 一生こだわり続けなくてはならないかもと思う。 それほど重要なアルバムなのだ。
   
 「ALL THINGS MUST PASS」  すべては過ぎ去っていく。 移り変わっていく。

       

 ビートルズ・ファン、いや、ロック/ポップス・ファンのみならず、 
 人生をただ通り過ぎるだけ」ということに疑問を感じている人がいたら、
 一度耳に入れておいててはいかがでしょう。

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2009/12/03 Thu. 22:37 [edit]

Category: ビートルズ・ソロ

Thread:洋楽CDレビュー  Janre:音楽

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