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少年の鋭い視線の先に映るものとは。 

            WAR(闘)        U2

           

             Sunday Bloody Sunday
             Seconds
             New Year's Day
             Like a Song...
             Drowning Man
             The Refugee
             Two Hearts Beat as One
             Red Light
             Surrender
             40

 新年、一発目はコレで参ります。 U2の「少年」3部作の最終章である、「WAR」。
 この時期寒くなってくると、初期のU2の冷めて乾きつつも鋭く切れ込むビートと、
 ボノのアツい“魂の叫び”が恋しくなるんですよ。

 初期U2サウンドの集大成であり、同時に80年代初期のロックシーンが生んだ傑作。
 このアルバムのクオリティの高さは、そのジャケットの少年の鋭い視線が物語る。
 (ボノの親友の弟である現在俳優のピーター・ローウェン君)

    

 U2はボノ(vo)、エッジ(g)、アダム・クレイトン(b)ラリー・マレン・Jr(dr)
 という結成以来変わらない鉄壁の4ピース・バンドで、現在もロックシーンのトップに
 君臨し、影響を与え続ける“現在”最強のロックバンドといっても過言じゃない。

 76年にアイルランドはダブリンで結成し、80年「BOY」で華々しくデビュー。
 当時のパンク/ニュー・ウェイヴの息吹を十分に吸い込みつつ、
 スリリングでかつ、荒削りでエッジの利いたサウンドと熱い政治的メッセージは、
 聴くものの心を揺さぶり起こした。 そんな彼らの初期のサウンドの魅力は、
 “冷たさ”と“熱さ”のコントラストの両立にある。

 直線的で複雑かつ空間を切り裂くギター音、腰で弾く強靭なベース音の巧みで
 正確なラインと、爆撃機のように連打されるドラムビートが織りなすアンサンブル。
 4ピース・バンドの特徴である楽器間の隙間だらけの空間をうまく生かした
 心地よい音の残響と、“ディレイ”を多様し、かつシャープで切れ味鋭い質感は
 実に鮮烈なんだけど、劇的にストイックなまでに繊細だ。

   

 こんなU2独自の音作りを手掛けたのは、XTCやピーター・ガブリエル、
 そしてデビュー以来から、彼らをプロデュースしてきたスティーブ・リリーホワイト。
 彼の手腕、エフェクト技術は素晴らしい。 ソリッドで荒削りなロックを録らせたら
 ピカイチだ。 それにメンバーの演奏力も相まって、一つの完成形を見ている。

 『 ここで、“ディレイ”について、簡単に解説しておきます。

   ディレイとは、原音と同じ音が、一定の時間、間を置いて聞こえてくる効果。
   「音の遅れ」のことです。 エフェクター(出力音を変化させる機器)から、
   リバーブ(残響)やエコー(山びこみたいに繰り返し遠ざかる音)のような
   残響系の録音技術も、総称して“ディレイ系”と呼ぶこともある。

   でも実際、1つの原音に対して、エフェクト音がだんだん小さくなりながら、
   繰り返して出力されています。 この繰り返しを“フィードバック”といい
   これを機器で、時間差や繰り返す回数なんかを調整して、空間演出してる。   

   初期のディレイ・マシンはもちろんテープ式の物でした。まず、磁気テープに
   原音を録音して、録音ヘッドと離れた異なるヘッドで、録音された音を再生して
   やれば、ディレイ音が出来る。

   レコーディングで取り入れられた歴史は案外古くて、50年代後半のプレスリーの
   ロックンロール・ヴォーカルもエコーとして、フィードバック・ディレイ
   が使われ、彼独特のヴォーカル・スタイルが確立した。
   (ジョンがロックン・ロール・ナンバーの中でフィードバック・ディレイを使う
    のも、この頃のエルビスの影響であるんじゃないかなぁ)

   60年代に入ってディレイ・マシンの使い方も様々になってきて、
   ビートルズの「イエロー・サブマリン」のサントラ盤は実は当時その
   最先端だった。
   ジョージ・マーティンは最新の録音機材に精通してて、そのサントラ盤の中で
   実験的にクラシック・パーカッションをディレイでフィードバックさせたり、
   テープを逆回転を使ったりしてより効果的な作品に仕上がっていました。

   70年代からは、ロックが目覚ましい発展を遂げる中、フィードバック・ディレイを
   うまく利用して、独自のスタイルを築き上げるアーチストが増えてきて、
   ピンク・フロイドのデイブ・ギルモアや、クイーンのブライアン・メイなんか
   マシンとテクニックを駆使した印象的な曲やフレーズを編み出していった。
   それ以降ディレイ・マシンはめざましい発展を遂げていくことになる。  

        

 80年代以降、“ディレイの達人”と言っていいのは、このエッジだろう。
 何て言うかなぁ・・。 不思議な奴ですよ。 オンリーワンな。 
 そんなギタリストだ。 でも、彼は取り立ててテクニックで魅せる
 タイプのギタリストじゃないと思うんだけど、
 (案外、その不足分をディレイでごまかしてたなんていう奴もいるけど、
  私しゃ、そうは思わない。 4ピースはヘタクソじゃ成り立たないんですから。)
 ディレイの音色を変幻自在に使い分け、彼が確立したギターサウンドは、
 限りなくギターの可能性を広げたことは間違いない。              』
    
 だがここで最も成長著しいのは、やはりボーカリストとしてのボノだ。
 まさに倒れんばかりに情熱を爆発させて。それが残響と空間を切り裂くエッジの
 ギターと重なって、凄まじいばかりの緊張感を醸し出している。 さらに歌の内容も、
 政治的なもの、暴動や戦争を意味したものなど、疑問と問題提起がリアルな形で
 結晶化される。 「音楽で世界は変えられるんだ」という旗の下に。

 しかし、ただ声高に大声だけ張り上げて、反戦や平和を叫ぶんじゃない。 
 ピュアなラブ・ソングのようにして、もう一つ意味を持たせるような形で心に
 訴えかける。 そこら辺が実にしたたか。 実に冷静なのだ。

   

 “Sunday Bloody Sunday”は、72年1月30日の北アイルランドのロンドンデリーで
 起きたデモに対して英国軍が発砲し、14人の無抵抗な市民が殺害された「
 血の日曜日事件」を題材にした曲。 そのあまりに悲しく空しい無念さを、
 ビートと歌声は怒りに満ちた感情を爆発させる。 荒々しいバイオリンも
 入っていて効果的だが、カッティングやストロークの直線的ラインのカッコよさが
 名曲を決定づけた。 U2しか歌えない永遠の曲だ。

 “Seconds”は、行進曲のようなビートで独特の重圧と冷たさが印象的な曲。 
 核戦争について考えさせる歌詞からそう思えるのかも知れない。
 死の灰が降り注ぐ荒野なのか、それを予期しても防げなかった空しさなのか、
 感じ方は人それぞれだが・・。 

 そして、“New Year's Day”だ。「1月1日(新年の日)」と名付けられた歌詞の
 内容は、当時、社会主義だったポーランドからの民主化運動(連帯)の労働闘争
 への苦悩を歌い、それでも応援するという側面を併せ持つ曲。 
 サウンドは疾走感抜群。 流れるようなリズム隊のビートに、印象的なピアノの
 フレーズも絡んで、ギターのラインも滑走するような独特な奏法でスピード感を
 増している。 これも、U2永遠の名曲。

 こうやって見ると、頭3曲で、こんなに政治的でかつ宗教的問題も絡み、
 やはり我々には重すぎる。

 しかし、“Red Light”での女性コーラスと、ボノのファルセットヴォイスから
 幾度も叫ばれる「Love」の歌詞。 怒りの中にも、「Love」が刻むことができるか
 どうか・・。  「WAR」の肝心要のメッセージの本質は「そこ」にある。 
 「愛」なのだ。 すべてに「愛」が必要なのだ。

 アルバムの最後、初期のコンサートでは必ず最後に演奏されていた“40”でこう歌う。
 「僕らはいつまで、歌い続ければいい・・」
 このアイリッシュ・メロディの温かさが、最後に「闘い」の癒しと安堵感を包んで
 くれるが、 それは、幼かった少年がやがて大人になって現実と直面し、
 打ちのめされながらも、真剣にこの現実と向き合おうと精一杯抵抗を試みる、
 “悪あがき”の言葉なのかもしれない・・。
 
 けれど、今何かしなければ、誰かが叫ばなきゃ、何も変わらないのだ。
 
 デビュー作「BOY」から3年、まだあどけなかった少年が、
 今や射すくめるような厳しい視線でこちらを見ている。

 恐る恐る世界に歩き出した「少年」は、そこに厳然と存在する矛盾や怒りに対し、
 「音楽」という“武器”で「闘い」に果敢に挑んでいったのだ。
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2010/01/03 Sun. 23:01 [edit]

Category: U2

Thread:洋楽CDレビュー  Janre:音楽

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この記事に対するコメント

No title

たか兄さん、遅れましたが新年明けましておめでとうございます!
今年もどうぞ宜しくお願いいたします。

中学生の頃、レンタルでU2どのアルバムを借りようかと迷っているところ、ジャケットの少年の熱視線に負けて借りたのを覚えていますよw
このジャケットの少年は、現在俳優をしているのですね。
知りませんでした。

このアルバムから聴き始めたので、パンク/ニュー・ウェイヴの影響を強い初期のサウンドが今でも一番好きですね~
ボノの熱い歌唱で語られるメッセージが非常に印象に残っていて、中学生ながら色々考えさせられたアルバムでした。

wormboy #3hri4u1c | URL | 2010/01/04 12:24 * edit *

Oh

m(_ _)m たか兄さんへ

U2はこのアルバム位しか知らないんですが
名曲である New Years Day !
寒~い雰囲気ですが最高にイカす曲と思います、懐かしいですね。
Sunday Bloody Sundayも当時プロモをよく見かけましたね。

兄さんの引き出しの多さ、感心しました。

ジュンビキ #- | URL | 2010/01/05 01:46 * edit *

 >Wormboyさん。
 私が彼らを初めて意識した曲は"New Year's Day”でした。
 高1でしたねぇ。 ピアノと引っ掻くようなギターの音と
 ボノのハイトーンなボーカルが強烈でした。
 私もガキのくせなのに、難しくて考えさせられる曲でしたが、
 あのビートにやられてしまいました。

たか兄 #- | URL | 2010/01/05 20:11 * edit *

 >ジュンビキさん。
 "New Year's Day”の雪山での4人のシーンは印象深いプロモでした。
 この寒い時期には、ピッタリのロック・チューンですね。
 "Sunday Bloody Sunday”も、ボノが白い旗を高々と掲げ、
 反戦を叫ぶライブも凄かったなぁ。
 激しかったですよ、あの頃のU2は。
 

たか兄 #- | URL | 2010/01/05 20:20 * edit *

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