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センスで固めたモダニズムは二度と振り返らず。(第2章) 

       Café Bleu     THE STYLE COUNCIL

         

         Mick's Blessings
         The Whole Point of No Return
         Me Ship Came In!
         Blue Cafe
         The Paris Match
         My Ever Changing Moods
         Dropping Bombs on the White House
         A Gospel
         Strength of Your Nature
         You're the Best Thing
         Here's One That Got Away
         Headstart for Happiness
         Council Meetin'

 フランスの国旗のトリコロールの青は、『自由』の象徴。   
 そのパリにある、一軒のカフェでの風景。
 洒落たテーブルを囲んで、人は絵画や芸術、時には恋人について議論する。
 BGMは、もちろんモダン・ジャズ(バップ)。  このトーンで決まり。
 アート・ブレイキー率いるジャズ・メッセンジャーズか、MJQか。 
 いや、マイルス・デイヴィスの「死刑台のエレベーター」みたいな、
 ミュート・トランペットの音色でしっくりまとめるのもいい。
 基調は、もちろん「青(ブルー)」で。

 これは、私のあくまで勝手な妄想なんですが・・。

 「Cafe Bleu(カフェ・ブリュ)」。 「青い喫茶店」でのこんな一コマを
 ポール・ウェラーも私と同じことを思い描いてたかは、わかりませんが、
 (たぶん、違うと思いますが・・)
 「クール」、「ヒップ」、「センス」といった記号だけでも成り立つような
 と言うか、ここまで似合うようなアルバムもそうはない。

 “ロックの人格者”であり、“永遠のモダニスト”こと、ポール・ウェラー。
 彼については、過去に一度取り上げたことがありますが、
 彼の哲学や音楽性について、もう一度、深く掘り下げてみたくなったんで、
 今宵は、その第2章「スタイル・カウンシル」について語ってみたく思います。
 (第1、3章も順次アップしていく予定) よろしく、お付き合いを。


 ポピュラー音楽の世界の中で、“英国”というのは、実に妙な存在でして。
 何か特別にオリジナルな音楽を生み出したわけでもないのに、独特の存在感がある。
 他の国の音楽が“英国”に入ると、妙な具合に変化しちゃうんです。

 例えば、レゲエならUB40とか、スカならスペシャルズとか。
 そもそも、ビートルズやストーンズだって、そう。
 彼らも、所詮はアメリカの黒人音楽のモノマネから始まったんです。
 彼らによって、“輸入”された音楽は、元々持っていた泥臭さみたいなものが抜けて、
 英国気質というか、ちょっと洗練されたようなセンスとムードの音楽になっていく。

 「スタイル・カウンシル」。 「おしゃれ議会」。
 ポール・ウェラー第2期の活動体は、まさにこの“スタイル”が当てはまる。
 (しかし、彼自身後から振り返って、「あれは黒人音楽の下手なコピーだった」と
  スタイル・カウンシルの失敗を認める発言をしているが・・)

 ザ・ジャムは、ほんとに、カッコいいバンドだった。 まさに“センスの固まり”。
 ギター・ベース・ドラムスという“3ピース”の最小限の楽器構成で、
 スモール・フェイシズをお手本にしたとおぼしきモッズ・ファッション。
 そのたたずまいだけで、もう単純にカッコいい。

 初期は、スピードとパワーにあふれたシャープな英国産ロックン・ロール。
 (あえて、彼らを“パンク・バンド”とは言いません)
 後にはそこにR&Bやソウルなど黒人音楽の要素が加わって楽曲の幅が広がった。

  

 ポール・ウェラーは、鋭くギターをかき鳴らしながらピート・タウンゼントみたいに、
 ステージ上でジャンプする。
 ブルース・フォクストンも、同じくジャンプしながら太い音で攻撃的ベース・ライン
 をはじき出し、
 リック・バックラーは、目にもとまらぬ速さで重機関銃のようなビートを叩きだす。
 とにかく、カッコいい奴らだった。

 解散の仕方だって、カッコよかった。
 「 このバンドでやれることは全部やった。このままバンドを続けていくことは
   できるが、そんなことをして醜い姿をさらしたくない 」と、
 当時、人気絶頂であったにも関わらず、ポール・ウェラーは解散を宣言。
 単純にウェラーがやりたい音楽と、パンクをやりたい他のメンバーの間に溝が出来て、
 己の“モダニズム”を追求していくには、ザ・ジャムの枠では収まりきれなくなった
 わけです。 そして、“Beat Surrender”という、めちゃくちゃにカッコいい
 シングルを最後にリリースして、ザ・ジャムを終わらせるわけです。
   ( ザ・ジャムについては、また第1章で書いていくことにします。 )

        

 そんなポール・ウェラーが次のステップとして始めたのが、
 「スタイル・カウンシル」という名のユニットだった。
 パートナーを組んだのは元デキシーズ・ミッドナイト・ランナーズに在籍してた、
 キーボード(オルガン)・プレイヤーのミック・タルボット。
 当時はバンド全盛の時代であり、“ユニット”という考え方自体、とても珍しかった。
 当初の構想では、アルバムを作らず、シングル・リリースをメインに活動をしていく
 という、かつてのモータウンでのTAMLAみたいなやり方を真似したものだ。
 そのため、ミニアルバムや、ヴァージョン違いのシングル等を数多く発表するし、
 “レスポンド”という自身のレーベルまで立ち上げたのも、その方向性からだろう。

 ザ・ジャムを解散させてまで、ウェラーがやりたかった音楽とは、
 黒人音楽やジャズなどをブレンドした洗練された高品質なサウンドに、
 アンバランスなくらいに過激な歌詞を乗せるというもの。 
 結成当初はハモンド・オルガンとエレキ・ギターを中心にした、いわゆる
 “ネオ・クラシカル”な方向を模索しており、既にリスナーがシンセ中心の最新技術で
 固められたポップ・ミュージックに疲れてしまうことを知っていたのだ。
 この目の付けどころというか、ウェラーの先見性はやはり凄いと思う。
 (でも、後期のサウンドは、ヒップホップ的にも聞こえるほど、トゥー・マッチな
 いわゆる打ち込みものを多用したサウンドに変化していくが・・。)

 白人特有の淡泊感と切れ味が、黒人特有のコクのあるR&B、ソウルやジャズから、
 “色気”を取り去って、すっきりとした味わいにうまくまとめるという、
 高純度の蒸留サウンド。 これに、ウェラーのメロディ・メーカーの才能が
 加わった。 これが「スタイル・カウンシル」の目指した音楽だ。

 でも、曲だけ聴くと、ほんとにシャレてて、センスの光る良質なポップスなんだけど、
 中身は危ないくらいにロックの反骨魂を残したまま。 頭脳的政治批判、体制批判。 
 結局ウェラーのモッズ魂、実験精神は、音楽的表現方法を変えただけで、
 ザ・ジャム時代と何ら変わってないまま。 怒ってんですよ、ウェラーは。

       

 彼らがデビューして1年がたったころ、待望のフルアルバム「カフェ・ブリュ」が
 ようやくリリースされた。
 このタイトルに込められた、冒頭に描いた“妄想”のように、ウェラーが指向した
 「1960年代のフランス・ファッション」の雰囲気をアルバム全体にちりばめたくて、
 白いコートを着て、どこかのフランスのカフェの前で撮ったセピア調の
 彼らの写真は、当時めちゃくちゃカッコよく思えたものだ。

 このアルバムの開店ナンバーの“Mick's Blessing”から、ワクワクさせる。
 小気味良く、シャープでファンキーなピアノ・ソロ。 カフェの雰囲気を醸し出すには
 これほどマッチしたオープニングはない、最高のBGMだ。
 “The Whole Point of No Return”では当時デビューしたばかりだった、
 エヴリシング・バット・ザ・ガールのベン・ワットが、ボサノバっぽいあの特徴的な
 フレーズのギターを響かせ、“The Paris Match”では、トレイシー・ソーンまで登場
 して、けだるげなヴォーカルを披露し、ウェラーとのヴォーカルのコントラストが
 印象的だ。 (シングルでは、ウェラーが歌ってたが、ムーディな方は、コレ)
 パリっぽい退廃的なムードが、このアルバムのアレンジでも生きていて、
 既にジャズのスタンダード・ナンバーと言っていい風格たっぷり。

 様々なタイプの曲を試しながら、その曲に相応しいミュージシャンやシンガーが
 いれば、呼んできてフロントに立ってもらう。 
 ウェラー自身は、自分は必ずしもフロントマンでなくてもいいってスタンス。
 これが「おしゃれ議会」だ。 なんて自由で革新的なユニットなんだろう。

   

 そして、アルバム前半のクライマックスは、“My Ever Changing Moods”。
 ここでは、シングル・バージョンとは趣を変え、アルバムの雰囲気に合わせて、
 ミックのピアノをバックに、ウェラーが熱いんだけど、シンプルに歌い上げる。
 このシングル・バージョンの元ネタは、カーティス・メイフィールドの“Move On Up”
 なんだけど、適度にファンキーで、ファルセットを使った歌い回しといい、
 ウェラーのリスペクトが透けて見えて、実に微笑ましい。 最高のシングルだ。
 
 アナログのA面は、 もろミュート・トーンな、いわばジャズ・サイド。
 ならB面は、スタックス系やファンクなどを下敷きにしたソウル・サイドとなる。

 ノッケから、ウェラーのラップがフューチャーされた"A Gospel"で始まる。
 当時は、ヒップホップがまだまだ新しい音楽だったし、意欲マンマン。
 ブレークビーツも織り込んだファンク・チューン“Strength of Your Nature”は、
 Pファンクを手本に料理して、ウェラーのファンク傾倒ぶりが伺える。
 そこから、彼らの持ち味である、爽やかなソウル・ミュージックの3連発。
 “You're The Best Thing”、“Here's One That Got Away”、
  "Headstart for Happiness"(このソリッドなアレンジも激シブ)と畳み掛けて、
 エンディングは、ブッカーT&ザ・MGズ風の、ミックの小品で締めるという、
 大好きな音楽を演奏する喜びが、伝染してくるようなアルバムだ。

 当時の私は、このアルバムから、まだ知らなかった音楽をたくさん教わりました。
 ジャズの楽しさ、心地よさ。 ちょっと首を捻りつつも背伸びをしましたし。
 ヒップホップやファンクのカッコよさ。 ボサノバなんて知らなかったですし・・。

 重苦しいザ・ジャムの呪縛から解放されたウェラーが、歓喜を謳歌するように、
 高らかに奏でた様々なスタイルの音楽たち。 それは、いつまでも新鮮。
 それはロックしか知らなかった私の前に開かれた無限の空間であったわけです。

 何度も読み返した教科書、もしくはガイドブックみたいな存在。
 私にとって、「カフェ・ブリュ」って、そんなアルバム。
 ポール・ウェラーという人は、当時の私にとって、自分の知らないカッコいい音楽を
 いっぱい知ってる、頼もしい兄貴だったワケです。

 ちょっと年上で、もちろん、それを楽しむ術を身に着けている人。
 しかるべき時に、そういう人と巡りあえることって、とても幸せなことだなと
 このアルバムを聴くたびに、つくづく思う。
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2010/03/21 Sun. 10:57 [edit]

Category: 80年代ROCK、POPS

Thread:洋楽CDレビュー  Janre:音楽

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