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紅と白の“枯山水”に宿った小宇宙は、“ひとりホワイト・アルバム”。 

           MUSICMAN     桑田佳祐

        

         現代人諸君!! (イマジンオールザピープル)
         ベガ
         いいひと ~Do you wanna be loved ?~
         SO WHAT ?
         古(いにしえ)の風吹く杜
         恋の大泥棒
         銀河の星屑
         グッバイ・ワルツ
         君にサヨナラを
         OSAKA LADY BLUES ~大阪レディ・ブルース~
         EARLY IN THE MORNING ~旅立ちの朝~
         傷だらけの天使
         本当は怖い愛とロマンス
         それ行けベイビー!!
         狂った女
         悲しみよこんにちは
         月光の聖者達 (ミスター・ムーンライト)


 2010年大晦日も大詰め。 日本歌謡界で最も盛大なセレモニーであり、国民的祭典でも
 ある「紅白歌合戦」も終盤を迎える頃。 遂に今回のスペシャル・ゲストが登場した。
 
 そこには、紋付き袴を纏い、黒いストラトを抱えた“日本のディラン”がマイクに向かう。
 「あっ、やっぱり病み上がりっぽいかなぁ・・」 思わず、こうつぶやいてしまったが、
 やや痩せたかなぁと感じた面とは裏腹に、まるで60年代のディランの髪形を意識したかの
 ようなボリュームのあるヘアーで、おもむろにワイルドなカッティングを始めた。 

 「 適当に手を抜いて行こうな。  真面目に好きにやんな。 」 

 まさか、術後初めての生出演、生歌披露に、未発表曲をブチかましてくるとは・・。
 しかもゲストとはいえ、「紅白」です。 一番日本国民が観てる「音楽番組」です。
 前代未聞。  こんなの観たことない。  やってもいいのか?
 普通なら、みんなが聞きたい曲や有名な曲を歌うのがパターンなのに。

 まず真っ先に、なんで「紅白」に出るの?って思いましたよ。 今さら。
 あの伝説と化してる、82年のサザン2度目の「紅白」出演。 今も脳裏に鮮明に刻まれてる。
 白塗りした“バカ殿”メイクに、紅白の紋付き袴で、当時は「紅白」常連だった
 三波春夫をパロって、「裏番組はビデオで取りましょう」と悪ふざけも甚だしく、
 “チャコ”を歌うパフォーマンスで、日本中の“大ひんしゅく”を買ってから28年。
 (当時の「紅白」は、まさに歌謡界の聖地。 これこそ“究極のパンク”だ!)
 翌年に出演したが、それ以来「紅白」のステージからは縁を切ったはずなのに。
 毎年毎年、NHKの幹部が“三願の礼”をしても、絶対首を縦に振らなかったのに。

 でも大晦日には、炬燵を囲んで、年越しそばを食べながら、一杯やりながら、
 ついでに、みかんも剥きながら、テレビは「紅白歌合戦」を家族で観る。
 これが、この日本(くに)の大晦日の最もスタンダードな過ごし方であったはず。
 そして昨年は、そのテレビの向こうには“桑田佳祐”がいたのであった。
 何たること。 何たる贅沢。 この上ない“幸せ”の時間(とき)ではないか。
 よく考えてみれば、「この日本のシーンには、彼がいるのだ」と感慨深くなった。

  

 術後初の復帰のステージは“何処”するか。  桑田は、あえて「紅白」を選んだ。
 「折角有難きお話をいただき、自らの復帰のタイミングとして甘えさせて頂いた」
 というコメントを残しているが、それは、永遠に枯渇することのないサービス精神
 に裏打ちされた感謝の気持ちそのものなだろう。 要は、単なる“出たがりスケベおやじ”
 なんですよ、桑田って。 (そのくせ、すごい“照れ屋”なのだが)
 彼は、自分が“国民的歌手”であるという自負など持っていないと謙遜するだろうが、
 最も分かりやすく、ファンに感謝の気持ちを表す“場所”は、今はココがベストだと。
 それは、ディランのライブ盤のタイトルと重なるが、まさに「偉大なる復活」だった。

 もう3月になったのに、今頃になって「紅白」の話をするのは、日本中で私だけだと
 思ってますが、昨年7月、日本中を激震させた初期の食道がん発見のニュースから、
 手術の成功とリハビリ療養後、中断していたアルバム制作の再開を経て、ようやく
 待望の4枚目のソロ・アルバム「MUSICMAN」を完成させた桑田佳祐。
 やはり今話さずして、いつ話すか。  いつもは歴史に残るアーカイブ・レビュー
 ばかりしてるんで、久し振りに新譜のレビューもいいかなと。
 今宵は、あの「紅白」で、老若男女、世代を超えて、真の意味で“国民的ミュージシャン”
 の座を射止めた、桑田佳祐の話によろしくお付き合いを。
 (今回もレビュー上、“桑田”と呼び捨てにて執筆いたします。 お許し下され。)


 「 このアルバムは、ここを注意して聴いて欲しいっていう限定などない作品と
   思ってるんで、どういう聴き方をしてもらっても構いません。
   無責任にポンポン飛ばして、シャッフルして聴いて欲しいですね。    」

 どういうことだ?   以前、ソロ・アルバムを制作するためには、明確な理由と
 意味がなきゃ作らないって、語っていたはずなのに・・。
 (ただ、前には質の高いシングル曲の寄せ集め的なアルバムでも構わないとも言ってるが)

 「ロックは英語でなきゃいけない」という、日本人のコンプレックスとアンチテーゼ
 に真っ向から挑戦した桑田初のソロ企画KUWATA BANDの「NIPPON NO ROCK BAND」。
 小林武史と藤井丈司とスタジオに籠り、サザンでは表現できない、緻密かつ斬新な
 エレクトリック・ポップを構築したスタイルを確立した「Keisuke Kuwata」。
 小倉博和と膝を突き合わせ、私的葛藤や社会への疑問や不満をアコギに乗せて、
 怒りをぶつけまくる、ラブ・ソングなどクソ食らえ的な男臭いアルバム「孤独の太陽」。
 斉藤誠を核としたバンドとタッグを組み、精巧かつクオリティの高い60~70年代の
 ロックの贋作をバックに、メッセージならぬ“ぼやき節”炸裂の「ROCK AND ROLL HERO」。

 どれもソロ・プロジェクトとして、明確なコンセプトが確立していた傑作ばかり。

 アルバムばかりでなく、96年から2009年までの間の11回「ACT AGAINST AIDS」チャリティー
 企画で、毎回洋邦ジャンル問わずテーマを設けた究極のエンターテインメントを披露。
 スタンダード・ジャズ、昭和歌謡、エリック・クラプトン、ビートルズ、R&Bソウル、
 英国ロック、アメリカン・ロック、紅白歌合戦、映画音楽と、考えられない振り幅の広さだ。
 
 そんなソロ活動で身に付けた“アイテム”をこれでもかとつぎ込んだ到達点が、
 この「MUSICMAN」。  私は“ひとりホワイト・アルバム”とあだ名をつけるが。

 この17曲すべてをレビューしたくも思うが、何曲かピックアップしてみたく思う。
 (初回版BOXにパッケージされたブックレットに桑田本人による詳細なライナーノーツ
  を読んで見てもらえばいいだろう。 この作品への熱い思いがひしひし伝わります)

 まずこのアルバムからのシングル曲は、サザンの無期限活動停止後から翌年の2009年12月に
 “君にサヨナラを”と、アルバム完成間際の食道がん治療による中断の最中の昨年8月に
 “本当は怖い愛とロマンス”を発売した。
 どちらも、メロディ・センスとポップ・センスのバランスが見事なレベルの高い楽曲だ。

    

 “君にサヨナラを”
 「 希望を胸に生きるは 僕ひとりのせいじゃない  ・・今もそばにいる 」 
 初期のビージーズやジェームス・テイラーを思い起こさせるような70年代初期の
 アメリカン・フォークのエッセンスや、ガズ・ダッジョンとやっていた頃の初期の
 エルトン・ジョンみたいなセンチメンタリズムあふれるメロディ・ラインを彷彿させて、
 爽やかなんだけど、どことなく“死の匂い”が漂う切ない歌詞が胸に響いてくる。
 2008年に実姉を亡くされたことも大きいのでは。 ある意味“鎮魂歌”だろう。
 
 “本当は怖い愛とロマンス”
 「 男の些細な仕草が女は我慢出来ない 出逢った頃と違うよ 
   裁くチャンスを狙い澄ましている            」
 
 ズバリ、桑田版“Lady Madonna”。 「青盤」の頃のポールの楽曲要素をこれでもかと
 盛り込んだ、インパクトから、詞、曲、アレンジ、全てにおいて、非の打ちどころのない
 完璧なモダン・ポップ。  “キラーチューン”ってのはこういう曲ことを言うのだ。
 ワケも解らず女性に切り捨てられた男の情けない心情と言い訳する様子が歌われているが、
 桑田と同じく、私も“基本的に女性ってのは、不可思議な生き物である”と思うが・・。

 アルバムに収録される新たな楽曲も、実にクオリティが高い曲がズラリと並ぶ。

 “ベガ”
 「 離れたくない気持ちが All Night ふたりの桃源郷(Xanadu) そして
   指絡め 身を悶え 重ねたキッスは 喜びと悲しみを宇宙に(そら)に放って 」

 ベガ=織り姫。 七夕に彦星と年に一度の逢瀬。 きっと、いけない恋なのだ。
 官能的なのにクールでシャープ。 スティーリー・ダンでもなきゃ、ロキシーでもない。
 R&BやAORの技術的手法を用いて、打ち込みを駆使したフロー感漂うスウィート・ソウル
 に仕上がった。 もしマーヴィン・ゲイが生きていたら・・と解釈できる曲だ。
 前後の辛辣な曲にさりげなく挟まれているが、Bメロのメジャーからマイナーへ転調する
 コードなんか一筋縄じゃない。 こういうセンスが、ホントに凄い。
 
 “古の風吹く杜”
 「 古都を見下ろして長谷へと下る 旅路切通りよ
   そこに行き交う“今生きる”も“今は亡き”人も  」

 鎌倉 江の島 江ノ電 134号線・・。  今も変わらぬエバーグリーン。
 桑田は、今までソロ活動してきた中で、あえてサザンではやれない新しいフィールド
 で挑戦するスタンスでソロ・ワークを勤しんできたはず。
 しかしこれは、“サザンオールスターズド真ん中”。 しかも懐かしき曲想。
 例のワードを詞にバンド・フォークっぽくして、原坊がコーラスに加われば、もうサザンだ。
 桑田も、今になって、やっと若かりしデビュー時のサザンの姿を愛せるようになったという。
 “音楽人”としての自らのキャリアを考えてみれば、そんな垣根など桑田にはもうないのだ。
 これから、もうサザンだソロだという次元で、桑田を語ってはいけないのかも。
 
 “銀河の星屑”
 「 哀れみの献花(はな) そんなモノはまだ僕は欲しくない
   払い終わらぬ借金(ローン) エトセトラ・・
   まだ人生には未練がいっぱい              」

 この詞を初めて読んだ時、これは絶対“術後”に書かれた詞なのだろうと思った。
 アコーディオンやバイオリンをフューチャーしたジプシー調のアレンジを施した
 80'sっぽいニュー・ウェイブ・サウンドから放たれる言葉は、“涅槃の世界”だ。
 (このバイオリンやリズム・パターンは、ディランの“Hurricane”も想起したが)
 しかし、歌入れされたのは6月22日。 まだ“がん”発見前だったという。
 何たる偶然なのか、神のイタズラなのか。  やはり“持ってる男”なのだ。

 “グッバイ・ワルツ”
 「 この国に生まれたら それだけで「幸せ」と言えた日が懐かしい
   川に浮かんだ月にはなれず 時代(とき)に流され参ります  」

 何だ、この曲は。 エディット・ピアフさながらのシャンソンに、トム・ウェイツ
 みたいな“酔いどれ感”を漂わせて、出来たのは、古きワルツ歌謡みたいな。
 “東京”もそうだったけど、この曲も日本人、いや桑田にしか書けない曲。
 皮肉に満ちた郷愁と諦め。 バイオリン、チューバの響きが胸にグサリ。 深すぎる。 

 “それ行けベイビー!!”
 「 終りなき旅の途中は予期せぬことばかり
   命をありがとネ いろいろあるけどネ  それなのに明日も知らぬそぶりで 」

 鋭い眼差しと生々しい歌声と躍動感。 迷いなし。 遠慮なし。 容赦なし。
 簡潔にストレートに、粗めに掻き鳴らすエレキ・ストロークに乗せてブチまけるのみ。 
 やはりこの曲も“勘ぐって”しまったが、がん発見前の5月10日に歌入れされている。
 が。 術前であろうが後であろうが、死と声を失う恐怖を乗り越えた男の歌は強い。
 世界で最も高純度なディランの遺伝子を継承しているのは、極東のちっぽけな島国の
 音楽界でトップの走るこのオヤジなのだと、当のディラン本人は知る由もなかろう。

   kuwata musicman

 しかし、このアルバムの“肝”になる曲は、“月光の聖者達(ミスター・ムーンライト)”
 茅ヶ崎の一少年が、ビートルズとの出会いによって、すべてを変えてしまった。 
 「 知らずに済めば良かった  聴かずにおけば良かった 」 
 それは、取り戻すことができない時間の流れに思いを馳せて描かれる、自らの
 過去と未来を交錯させた人生観を歌にしたものだ。
 66年に羽田に来日したビートルズが、首都高を移動する4人の車の映像ドキュメンタリーの
 バックで流れていた“Mr. Moonlight”。  “音楽人”桑田の原点は、この風景にあった。

 「 古いラジオからの切ない“Yeah Yeah(イエ・イエ)の歌” 」
                           (She Loves You)
 「 ビルの屋上の舞台(ステージ)で、巨大(おおき)な陽が燃え尽きるのを見た 」 
               (映画「LET IT BE」での、アップル・ビル屋上ライブ)

 燃え尽きることのないビートルズへの愛を散りばめらながら、悩み苦しむ現代人への
 心を浄化し、歩き続けようと励ます壮大な賛歌だ。  なんと感動的な曲なのだろう。
 
 この年になって、生きてきた中で数え切れない様々な曲やアルバムを聴いてきて、
 自分が新曲を聴いて、感動のあまりに涙を流すことなど、もうないのかもと思っていた。
 しかしまさか、“ここに及んで”なお、こんなにも素晴らしい曲を生み出すとは・・。

 「 現在(いま)がどんなにやるせなくても 明日は今日より素晴らしい 」

 このフレーズで、私の乾ききった涙腺から、とめどなく涙が頬をつたっていった。


 桑田には、サザンという偉大なる“既成モンスター”の概念に捉われることなく、
 自由なフィールドで音楽活動をして欲しいと思いつつも、このアルバムを聴くまでは、
 「いつサザンが再始動するのだろう・・」なんて考えることもあった。
 でも、このアルバムを聴いたら、「しばらくサザンなんてやらなくてもいいよ、桑田さん」
 って、マジで思った。

 発売され聴き始めて10日あまり。  どっぷり聴き込んでいくと、聴くたびに
 新たな発見ができ、別のイメージも膨らむ。 非の打ちどころなし。 完璧。
 「MUSICMAN」。  桑田のソロ、いや・・。 サザンを含め、キャリアでの最高傑作である。  
 決めるのは、まだ早いかもしれないけど、そう言ってもいい。   うん、間違いなく。

 現代人諸君よ‼  桑田の声をしかと聴け!
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2011/03/04 Fri. 23:20 [edit]

Category: サザンオールスターズ

Thread:CDレビュー  Janre:音楽

TB: 0  /  CM: 2

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この記事に対するコメント

おー^^

こんばんは^^
おー、すごいジャケット写真ですね。
全身真っ赤に塗った人が雪(?)の上にいます。
楽曲、ビートルズの影響をかなり受けてますね。
"Early In The Morning~旅立ちの朝"、めざましテレビのテーマソングに使われてますね。
紅白での華々しいカムバック、すごかったですよね。

saya #Pe0og0Jg | URL | 2011/03/07 23:06 * edit *

 >sayaさん。
 いつもコメントくれてありがとうございます。
 このジャケットは、日本古来の石庭(枯山水)をモチーフにしてるんですよ。
 真っ赤に塗られた全裸の女性は、石にも見えるし、太陽にも、あるいは、胎児にも見える。
 (日本の国旗をも表しているようにも見える)
 白い砂と赤のコントラストは素晴らしいですよね。 赤く燃えるも、実に静寂している感じも。   
 シンプルながら、見事なビジュアル・アートだと思います。
 ビートルズもビジュアルには、こだわってました。  
 さすがは、ディランの遺伝子を継承した、ビートルズの申し子ですね(笑)。

たか兄 #- | URL | 2011/03/08 22:22 * edit *

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